オリンピックにスター選手が参加しなくなっている「本当の背景」 | FRIDAYデジタル

オリンピックにスター選手が参加しなくなっている「本当の背景」

強行開催の代償はあまりに大きかった 野球強豪国の台湾は参加断念、バスケ大国・アメリカはスター選手不在で黒星発進 満足に予選もできず、出場辞退者が続出!

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7月24日、侍ジャパンは楽天と強化試合を行った。エンゼルス・大谷翔平や巨人・菅野智之が出場を見送った

8大会序盤から金メダルラッシュでメディアは五輪一色。開催前の停滞ムードが「強いニッポン」によって払拭された感があるが――本当にそうだろか。

たとえば7月25日、こんな異変が起きていた。五輪3連覇中のバスケ大国・米国が初戦で格下のフランスに逆転負けを喫したのだ。「偶然ではない」と嘆くのは日本バスケットボール協会関係者だ。

「バスケのアメリカ代表といえば、前大会までは世界最高峰のバスケットボールリーグであるNBAの各チームからスター選手を集めた『ドリームチーム』でした。しかし、東京五輪は違う。”レジェンド”レブロン・ジェームズ、歴代最高シューターのステフィン・カリー、得点王のジェームズ・ハーデンらスター選手がことごとく出場を辞退。

NBA側は五輪後のリーグに影響が出ないように、明らかに『あわよくばメダルが取れればいいだろう』程度の最小限のメンバーを派遣しています。東京五輪はコロナ感染やケガのリスクを冒してまで、バスケ大国の威信を示す舞台ではないと判断したわけです。ドリームチームの不在こそが、盛り上がらない東京五輪を象徴しているのではないでしょうか」

フランス代表のキリアン・エムバペなどヨーロッパの若手スター候補の大半が出場を辞退している男子サッカーでは、もっとも恐れていた問題が起きた。強豪の南アフリカ代表の選手2人がコロナ陽性となり、18人が濃厚接触者と判定されたのだ。十分な練習や調整ができないまま、試合は予定通り行われた。

男子野球はさらに悲惨な状況に陥っている。スターどころか、参加国自体が満足に集まっていないのだ。スポーツ紙野球担当記者は苦笑いをする。

「6ヵ国でのトーナメントですから半分はメダルがもらえるわけです。最短で3回勝てば金メダル(笑)。親善試合かよって規模です。世界ランク2位の強豪である台湾に続き、中国、オーストラリアがコロナを理由に出場を辞退。世界最終予選はたったの3ヵ国で争っていました。ベースボール発祥の国・アメリカ代表ですら、DeNAのオースティンやソフトバンクのマルティネスら、メジャーで通用せずアジアでプレーしている3Aクラスの選手中心です」

問われているのは「メダルの価値」だ。スポーツ文化評論家の玉木正之氏はこう苦言を呈する。

「IOC(国際オリンピック委員会)は五輪を”平和の祭典”や”世界最高峰を決める大会”と都合がいいように、その時々で言い換えている。世界的なコロナ禍でもトップアスリートを東京に集める口実は、『著名な選手が出場することで世界平和に貢献できる』ですが、これは建て前。ホンネはスポンサーがお金を出しやすくするためでしょう。スポーツを資金集めに利用しているんです。平和という幻想を振りまき、スター選手を集めて放映権料を高くしたい、というIOCの思惑が透けて見えます」

感染対策の甘さを度々指摘されていたとおり、大会5日目には東京の新規感染者は2848人にものぼった。選手たちが五輪参加に二の足を踏む原因はコロナ以外にもある。

「NBL(ナショナルバスケットボールリーグ)やMLB(メジャーリーグベースボール)は選手へのリーグ収益の配分が40〜45%ある。ところが、東京五輪は選手への放映権料の還元が雀の涙ほどです。IOCは残りの収益は難民選手団や発展途上国へのスポーツ援助に回している、と言っていますが、実際にどう使われるのか詳細は発表されません。危険を冒して最高のパフォーマンスを見せる選手へ支払われないことはたしかで、実利の面からの不参加表明も起きるわけです。IOCが儲けたいがために俺たちを利用するな、という選手の主張は当然のことです」(玉木氏)

メダルの価値はいま、かつてないほど下がっている。一部の人間の私利私欲のために強行開催された東京五輪。シワ寄せは参加した選手たちに来ている。

7月22日、選手にコロナ陽性者が出るなかで1次リーグ日本と南アフリカの試合が行われ、1-0で日本が勝利した

『FRIDAY』2021年8月13日号より

  • 写真アフロ(野球)JMPA(サッカー)

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