2年間で本塁打0のレッズ秋山 移籍もできない「厳しい今後」
厳しい試合が続いている。レッズの秋山翔吾(33)だ。
日本時間8月2日のメッツ戦8回に代打で出場したが、見逃し三振となった。これで打率.200、0本塁打と低迷(以下、成績は8月3日現在)。先発出場の機会が減少し、代打や守備固めでの起用が増えているのだ。メジャーに詳しい、スポーツジャーナリストの友成那智氏が語る。
「秋山は16年に216安打をはなち、日本の年間安打記録を塗り替えた好打者として昨年レッズに入団しました。契約は3年総額2100万ドル(約23億円)。これは巨人からヤンキースへ移籍した、松井秀喜と同規模の金額です。1番打者として、相当期待されていたのがわかるでしょう。イチロー並みの活躍ができと目されていたんです。
しかし、フタを開けてみればメジャー投手の豪速球に押されっぱなし。60試合に短縮された昨年は、8月まで打率1割台。出塁率は282と散々でした。9月に復調したため今季はトップバッターに固定される予定でしたが、春のキャンプ中に太モモ裏側の筋肉を痛め戦線離脱。5月上旬に戻ってきても、調子がいっこうに上がりません」
今季のレッズはカステヤノスやウィンカーなどの外野陣が打ちまくり、秋山は4番手、5番手の扱いだ。打率もさることながら、気になるのが入団2年目をむかえても、いまだ本塁打0という長打力のなさ。首脳陣も頭を抱えているという。友成氏が続ける。
「レッズが掲げるのは、『ビッグボール(攻撃野球)』ですからね。球団は秋山に、長打力を上げるため筋力トレーニングでパワーをつけるよう打診したそうです。この要請を秋山は拒否。理由は『筋トレに耐えられる身体ではないから』だったとか。
秋山は西武時代から、強いゴロやライナーを打つことに徹しています。打撃スタイルを変えたくなかったのでしょう。しかし、メジャーの他球団は日本からデータを取り寄せ、左打者の秋山対策として右寄りの守備陣形を敷いています。内野を抜けるヒットが減り、打率低迷の要因となっているんです。現状では、チャンスメーカーとしてまったく機能していません」
4億円のマイナス
メジャーが重視する指標の一つに「OPS」がある。出塁率と長打力を合わせたもので、強打者の指針とされる。メジャーの平均は.722だが、秋山は.507。今季100打席以上たった386人中、377番目の成績だ。
「メジャーには、チームへの貢献度を総合的に表す『WAR』という指標があります。秋山はマイナス0.6。レッズでは最も悪い数字です。『WAR1.0』イコール600万ドル(約6億6000万円)と考えられていますから、秋山は360万ドル(約4億円)分足を引っ張っていることになる。レッズにとっては、完全にお荷物です」(友成氏)
散々な状態の秋山……。トレードに出されてもおかしくないが、それもできないという。
「ここまでヒドい成績だと、獲得に乗り出す球団はいないでしょう。年齢的にも30代半ばをむかえ、伸びシロは期待できません。レッズが『年俸の半分を負担するから』と好条件を出しても、手を上げるチームはいないと思います。それだけ評価がガタ落ちしているんです。
2100万ドル(約23億円)と高額の複数年契約をしたレッズとしては、そう簡単にクビにすることもできません。今季はガマンして使い続けるでしょうが、来季も復調しないようなら早い段階でマイナーに落とすでしょう。今季メジャー40人枠から外れた筒香嘉智(ドジャース)と、同じような運命になると思います。現状では、かなり厳しい未来しか予想できません」(友成氏)
大谷翔平の活躍ばかりが目立つが、どん底で喘ぐ日本人メジャーリーガーも多い。生き残りをかける秋山は、最悪の状態を脱せられるだろうか。
写真:共同通信社