「千年の宿敵」と日本を批判 不参加・北朝鮮の複雑な「五輪事情」 | FRIDAYデジタル

「千年の宿敵」と日本を批判 不参加・北朝鮮の複雑な「五輪事情」

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スポーツ好きとして知られる金正恩氏。東京五輪不参加は苦渋の決断だったのかもしれない(画像:KNS/KCNA/AFP/アフロ)

「倭国(日本)は朝鮮民族千年の宿敵であり、悪性ウイルス(新型コロナウイルス)よりさらに危険な平和の破壊者だ」

7月26日、北朝鮮の対外宣伝メディア『黎明』は、日本を批判するメッセージを発表した。「東京五輪を帝国主義の復活に利用している」と糾弾。なぜ北朝鮮は突然、日本を非難し始めたのだろうか。

「北朝鮮は『悪性ウイルスによる危機的状況から選手を守るため』という理由で、今年4月に東京五輪への不参加を世界でイチ早く表明しました。新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、五輪は失敗するだろうという目算があったと思います。

しかしフタを開けてみれば、スタッフや参加選手に感染者が出ているとはいえ、それなりに盛り上がりをみせている。北朝鮮の指導者・金正恩氏は、自身の判断を正当化するため、五輪開催を強行した日本を苦しまぎれに批判したのでしょう」(韓国紙記者)

金正恩氏は、大のスポーツ好きとして知られる。96年9月からスイスへ留学した際は、バスケットボールにハマり友人を集ってプレー。最高指導者に就任後の12年10月には、「わが国を『スポーツ強国』にしなければならない。(東京五輪までの)8年間にスポーツを新しい境地に引き上げよ」と表明している。14年1月の自身の誕生日には、米国NBAの元スター選手デニス・ロッドマンを招いた。

本心では、東京五輪に参加し北朝鮮の強さを世界にアピールしたかったのかもしれない。

五輪見たさに毎日会社訪問

「表面上、東京五輪への不参加は新型コロナが原因とされますが政治的な影響も大きい。最大の要因は韓国です。韓国の文在寅大統領は、東京五輪で南北同時入場を果たし18年2月に行われた平昌五輪の再現を目論んでいたとされます。金正恩氏か、妹・与正氏と会談。今年4月に国際オリンピック委員会に提出された『南北共同招致提案書』で32年の五輪開催を企画していますが、その足がかりにしたいと。

韓国の目論見を、金正恩氏は一蹴します。近年の韓国の対応に、不満を抱いているんです。文大統領は、18年4月の南北首脳会談で決めた開城(ケソン)工業地帯や観光事業の正常化などの合意事項を、なにひとつ実行していない。さらに今年1月に金正恩氏は、『(首脳会談が実現した)3年前の状態に戻したいのなら米韓軍事演習は止めろ』とメッセージしました。にもかかわらず、文大統領は演習を強行。文大統領への反発が、東京五輪不参加という結論になったんです」(同前)

北朝鮮では、指導者の選択は絶対だ。海外の情報に無断で触れただけで、公開処刑などの厳罰に処せられる。東京五輪も例外ではない。だが、国民は意外な反応をみせている。『デイリーNKジャパン』編集長の高英起氏が語る。

「米国の『ラジオ・フリー・アジア(RFA)』 によると、北朝鮮から外国に派遣された労働者には、五輪のテレビ中継に夢中になっている人々が少なくないようです。中国・瀋陽の住民はRFAの取材に、こう話しています。『北朝鮮の貿易関係者が毎朝、私の会社を訪ねてくる。彼らは「今後のビジネスについて話し合おう」と言っているが、本当は五輪のテレビ中継を見たくて来ているようだ』と。スマートフォンで、あらゆる競技中継を食い入るように見ている人もいるとか。

北朝鮮国内では、規制があり海外の中継は見られません。中国にいる労働者は、五輪を観戦できる自由を謳歌しているのでしょう。北朝鮮のスポーツレベルは、これまで夏の五輪で16個の金メダルを獲得するぐらい高い。国民の五輪への関心は、想像以上に大きいんです」

指導者も国民も、本当は五輪に熱中したい……。それを許さない現実が、北朝鮮の複雑さだろう。

  • 写真KNS/KCNA/AFP/アフロ

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