超絶ポジティブ思考…!?菅義偉首相「私はできる」自信の源のナゾ | FRIDAYデジタル

超絶ポジティブ思考…!?菅義偉首相「私はできる」自信の源のナゾ

新型コロナ感染拡大のなか、前向きな発言を繰り返す理由は…

  • Facebook シェアボタン
  • X(旧Twitter) シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

「私が、この感染対策を自分の責任のもとに、しっかりと、対応することが私の責任で。私はできると思っています」

緊急事態宣言延長を発表した7月30日の会見で菅義偉首相は、記者の質問にこう答えた。海外からの五輪関係者とは「完全にレーンを分けている。しっかり対策できている」感染対策は「私はできる」。

この自信はどこからきているのだろうか。

会見で、記者の質問にいつもの「リピート」で答え続けた菅義偉首相。隣に控える尾身会長の表情にも、疲労と苦悩がにじむ 写真:代表撮影/ロイター/アフロ
会見で、記者の質問にいつもの「リピート」で答え続けた菅義偉首相。隣に控える尾身会長の表情にも、疲労と苦悩がにじむ 写真:代表撮影/ロイター/アフロ

このところ菅首相のもとには、政界関係者、政治評論家、マスコミ関係者などから頻繁に直電が入っているという。いわゆる「首相周辺」が、諫言(かんげん)するようになったのである。

メディアが菅首相の「側近」「周辺」などと呼ぶ「取り巻き」たちは、首相になにを伝えているのか。

「政策以前に、まず現実をしっかりみてほしい。その1点ですよ」(首相周辺)

菅首相には、国民生活の「実態」が、まったく見えていない。見たいものしか見えないその脳内は「お花畑」だというのだ。

「人流は減っていると報告を受けている。docomoの携帯電話情報では都内どこの繁華街でもそのような数値になっているそうじゃないか。なのにどうしてこれほどの感染者になるんだ」

そう真顔で言う菅首相に、総務大臣時代から相談に乗っているという政界関係者はこう伝えた。

「地下鉄の通勤ラッシュ、夜の繁華街、国立競技場周辺、たいへんな人出です。視察してみてください」

派閥をもたず、独自の人脈に乏しい菅首相には、今、正確な情報がまったく入っていないのだ。感染が急拡大しているなか、高齢の重症者は減少してきた。ある側近が、首相との会話を明かした。

「ワクチンを打った高齢者の感染は4%前後、大きな効果があったじゃないか」

と対策を自賛する首相に対し、「しかし、高齢者に代わって3040代が増えているのですよ」と返すと

「若い人たちにも、早くワクチン打ってもらうしかないんだがな」

「ワクチン接種は、まだ予約がとれない自治体も多いです。打ちたくても打てない人がいるんですよ」

「えっ

実態が、伝わっていないのだ。国民の不安とは明らかに大きなズレがある。

そして感染者が急拡大するなか政府が発表したのは「新薬」だった。

「中外製薬の新薬を承認した。政府が全量買い付ける準備を進めているから、入院逼迫の問題を解決出来る」

トランプ大統領が使用して話題となった軽症患者用の「カシリビマブ」と「イムデビマブ」の「新薬」。2種類を同時投与してウイルスの働きを抑えるもので、アメリカFDA(食品医薬品局)は昨年11月に緊急使用の許可をした。「抗体カクテル」と呼ばれるこの療法、治験では入院・死亡リスクが約70%減少と報告されている。

菅首相は厚労省の担当者に承認手続きを急がせ、加藤勝信官房長官には定例会見で発表を指示した。コロナに振り回される菅首相はさすがに焦燥感があったのだろうか、かなりのスピードで実用化させたのだ。

支持率低下の政権を保持するために

「国民の一定数にワクチン接種を完了させることが菅政権の仕事だ」

今年初冬にかけて「全国民にワクチン2回接種」を目指している菅首相が初めて、政権の去就を意識させる発言をした。その後「最優先の仕事」と言い直したが、菅首相の頭の中に、政権の存続が問われているという自覚がようやく芽生えてきたのだ。

「首相はコロナ対策のすべてをワクチンに賭けている。が、『ワクチン接種は菅さんのおかげ』と国民が思っているわけでは、もちろんありません。自民党選対本部もそこを注視している。ネットや自民党情勢調査、各メディアの政権支持率をつぶさに見ていくと、むしろ新型コロナは菅政権による公衆衛生行政の大失策と捉えられている。菅首相には政権を任せられないという声のほうが圧倒的になっています」

そう危機意識を募らせるのは安倍政権で閣僚だった自民党議員だ。

田村厚労大臣は、今回の想像を絶する感染拡大に、

「もうこうなると、どうしていいのか分らなくってくる」

と、行政放棄とも聞こえる発言をしている。

打つ手がなくなった厚労省はついに、自宅待機を求められた帰国者が行方不明となったことから氏名公表に踏み切った。これでは、まるで警察国家だ。政権は冷静さを失い、完全に切羽詰まった乱暴な政権運営に陥った。そしてついに、今後「感染しても中等症の患者は自宅待機」を打ち出した。

厚労省キャリアは、疲れ切ったようすでこう言った。

「人流は減っている。国民にワクチンが行き渡る。特効薬もできた。首相は本気で、そう信じているんです。もう、お花畑といわれても仕方ないですね」

二階俊博幹事長は3日、「国民の間にも党内にも、続投してほしいという強い声がある」と、菅首相を支持する発言をした。そして、菅首相のこの自信の源はなになのか。それが幻想でないことを祈るばかりだ。

  • 取材・文岩城周太郎

FRIDAYの最新情報をGET!

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事