日本語はアニメから「日本に行きたいルイくん」動画が笑って泣ける | FRIDAYデジタル

日本語はアニメから「日本に行きたいルイくん」動画が笑って泣ける

アフリカ・ベナンに住む「日本系男子」14歳の「めっちゃ熱い夢」

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「はいどうも! 日本系男子のルイです」

こんな挨拶から始まるYoutubeチャンネルがある。現在、登録数5700人。アフリカ・ベナンで暮らす、14歳のルイくんの番組だ。

アフリカ・ベナンの14歳「ルイくん」の動画が話題になっている。日本語で熱く語る彼のキラキラした瞳には夢が溢れているみたいだ

日本系男子とは、日本が大好きな男の子という意味だという。ベナン人のルイくんが話しているのは日本語。ちょっとシャイな感じがかわいい、一生懸命な日本語トークに癒されるとじわじわ話題になっている。

番組の内容はベナン紹介や日本への愛などさまざまで、ともかくルイくんがじつに「今っぽい」日本語でトークを展開する。日本語のテロップまでついている。

ときどき例えば「今日ご紹介するのは」が、「きょごしょかいするのは」と、たどたどしくなる。一生懸命作ったんだろうなと感じる。日本語は、独学だというから驚く。

そもそもルイくんが日本語でYouTubeを始めたのは「有名になって日本に行きたい」から。

7歳のとき、日本に遊びに来たのがきっかけだという。前駐日大使でもあり、タレントとしても活動しているゾマホン・ルフィン氏はルイくんのおじさんなのだ。日本にいたおじの招待で3か月、日本に滞在した。そのときの体験ですっかり日本が好きになったという。その後、帰国して日本のアニメを山ほど見て、日本語をマスターしたのだ。

アニメを見まくって日本語を覚えた

「気がついたら、日本語を話してました」

ルイくんの友人で、アフリカ系男子ナイケルこと内藤獅友(しゆう)さんが言う。

アフリカと日本の企業をつなぐ仕事をしている内藤さんは、アフリカでは、ルイくんの家に間借りしていて、家族ぐるみのお付き合いは5年になる。YouTubeでルイくんに突っ込んでいるのは内藤さんだ。最初はルイくんと一緒に出演していたが、

「分析すればするほど、僕は必要ないなと思うようになりました」

現在、内藤さんは日本にいて、ルイくんはベナンで一人、動画を作成、ベナンの生活について、思っていることなどを伝えているのだ。

とうもろこしジュース、パスタ、お菓子などベナンの食べ物を紹介する回では、その率直すぎる反応が秀逸。とうもろこしジュースを飲んだあと、思い切り顔をしかめて一言。「すっぱい!」。パスタは「あまり好きじゃありません」。素直すぎる。

テロップも、自分で作っている。ときどき、すごく間違っている

長い手足を持て余すようにアクションを入れて、ベナンのいろいろを紹介してくれるルイくんの動画は、作為的なところがなくて、素直な性格がそのまま表れているようで、自然に応援したくなる。

「みんないい人だから、日本に行きたい」

ルイくんが番組を始めたのは、「日本に行く!」夢を実現するためだという。

「ルイは、アフリカの弟的存在。日本に行くためにはどうしたらいいかと聞かれ、YouTubeを勧めたんです。本気で日本に行きたいという気持ちが伝わってくるし、アドバイスをしたら、素直にやってみる。自分でちゃんと努力するから、僕も手伝いたくなるんです」(内藤さん)

「面白いところがいっぱいあるから」「友だちがいっぱいいるから」日本に行きたいというルイくん。友だちって?

NPO法人のアフリカホームステイ活動で、ベナンのルイの家もホストファミリーをしたんです。これまでに30人くらいの日本人を受け入れていますね。その人たちに会いに行きたいみたいです」(内藤さん)

日本人との交流も日本語上達の一つになったようだ。

「チャンネル登録5000人超えましたー、めっちゃうれしいです」

YouTubeを始めて1年、ついに登録者数が5700人を超える人気コンテンツになった。「今日は頭が痛い」と、元気のない姿を見せたこともあったが、いつもニコニコ笑顔を絶やさず、穏やかで、利発さを感じさせるルイくん。話している最中に、背後で「コケコッコー」とニワトリが鳴きだしたりもする。

「ベナンの人は平和主義。アフリカでは政権が変わるたびに暴動が起きたりする国もあるけれど、ベナンでは暴動はめったに起きない。隣国のナイジェリアはアグレッシブで交渉とかでも絶対折れないけれど、ベナンの人は交渉がまとまっていなくても、最終的に握手してハグすればOKみたいなところがある。競争はあんまり得意じゃないかもしれません」(内藤さん)

ベナンは、ギニア湾に面した西アフリカに位置している。面積は日本の3分の1ほど。人口約1200万人の小さな国だ。公用語はフランス語で、ほかに現地語が40ほどあるという。ルイくんが通っていたナイジェリア系の私立学校では英語で授業が行われるため、ルイくんはフランス語、英語、現地語、そして日本語が話せる。今は独学でスペイン語も勉強しているとか。努力家なのだ。

前駐日大使のおじがいて、私立学校に通うルイくん。ひょっとして、お坊ちゃま?

「ベナンで年金をもらえるのは、公務員や専門職についていた人たち。ルイの母親は、ベナン女性では珍しく政府系の機関で働いていたキャリアウーマンで、今60歳。すでに退職していますが、年金をもらえる立場です。ルイは幼いころに実父母と離れ、今の母のもとで比較的恵まれた家庭で育ちました。家の敷地には賃貸用の建物もあって、ベナン人としては経済的に恵まれているほうですね」

けれども1年ほど前、経済的な理由で、通っていた私立校から公立の学校に転校した。英語は先生よりも話せるため、転校先の学校に溶け込めず不登校に。今は家で勉強しているのだという。

YouTubeのフォロワー数が5000人になって「めっちゃうれしいです」と満面笑顔で喜んでいるルイくんだが、彼なりの悩みがある。「日本に行く」という目標が、ルイくんの大きな力になっているのかもしれない。

「日本に行きたいんです。日本に住みたいんです」

現在、内藤さんはアフリカホームステイなど、アフリカと日本をつなぐ活動を行うNPO法人AYINAに所属し、アフリカの企業と日本の企業をつなぐ会社アフリカ・ネットワークに勤務。「アフリカ・フィールド・スタディ」というテーマで筑波大学で講師も務めている。

「アフリカと日本では文化も歴史も違う。一つトラブルが解決すると、また新しい問題が出てきて、自分のレベルをどんどん上げていかないと前に進めない。アフリカとの活動は、まるでロールプレイングゲームをやっているような感じです(笑)。時間を守らないし、どんなに納期が迫っていても宗教的な休日には絶対仕事をしない。理解できないことも多いけど、理解できなくて当たり前なんですよね。理解とまではいかなくても、お互いに尊重し合える関係にもっていくのが僕の仕事。半分以上言っていることがわからなくても、好きだから尊重しようというのが、グローバルな関係ではないかと思っています」

理解できなくても尊重し合う。それは日本人同士だって同じ。つい自分の考えが当たり前のことだと思ってしまうけれど。

「ルイにも、いろいろ経験してほしい。日本に来て、つらいことも経験して、『違うな』と思ったら、ほかの興味のあるところに行ったらいい。自分で道を開ける自立心をもった子になってくれればうれしいです」

ルイくんは日本への「愛」を、屈託なく発信する。

「日本に行きたいんです。日本に住みたいんです。うどんとカレーライスと牛丼は大好きです。ディズニーランドもめっちゃいいところですから」

こんなふうに思ってもらえる日本って、もしかしたら捨てたものじゃないのかも。

夢を叶えるために努力を続けるルイくん。思い通りにならないこともあるかもしれないけれど、夢や希望は生きる力。真っ直ぐに夢を語る彼の姿は、清々しい。

ルイくんの家に滞在中の内藤さん、誕生パーティを開いてもらったときの記念写真
このテキストで日本語の読み書きを練習している。表紙はもう、ぼろぼろだ(2021年6月のYouTubeより)
自宅の庭にある井戸から水を汲む動画も。後ろにニワトリが通る笑(2021年5月YouTubeより)
「ベナンの洋服屋さんを紹介しますー」と言って訪れたのはここ。ミシンで、服を縫っている。カラフルな生地!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日本に行きたいルイくんの挑戦」https://www.youtube.com/watch?v=-83ilAIFdQc

  • 取材・文中川いづみ

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