後悔も「あとの祭り」…五輪後に東京を襲うヤバすぎる財政問題 | FRIDAYデジタル

後悔も「あとの祭り」…五輪後に東京を襲うヤバすぎる財政問題

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「こんなに儲かる」と自信があったはず‥?(写真・AFLO)
「こんなに儲かる」と自信があったはず‥?(写真・AFLO)

東京大会は後半戦を迎えメダルラッシュに湧いている。だが、「開閉会式に165億円」「日本の魅力発信371億円」をはじめ、関連経費に3兆円も投じられていることを忘れてはいけない。そのうえ、海外の選手団が事前キャンプを地方都市で行う場合の感染対策費などは経費に盛り込まれておらず、実際にいくらかかったのか、開催費用の詳細は大会後の決算が出るまでわからないのだ。

また、今回の五輪はコロナ禍での無観客開催となったが、赤字の負担は組織委員会、都、国がどう分担するのかは曖昧なままだ。

「宴のあと」には何が起こるのか。ひとつだけ確かなことは、お金の面でみれば、ヤバイ現実が待っている…ということになる。東京都のカネが尽きかけようとしているのだ。

「都には30兆円近くの資産があるので、直ちに財政破たんするような心配は薄い。だが、1999年の石原(慎太郎)都政一期目は一般会計の赤字が3500億円に達し、財政再建団体転落は目の前だった時期もあることを忘れてはいけない」

都庁幹部はそう嘆息する。

財政再建団体とは、企業でいえば、会社更生法の適用に相当するもので、総務省の管轄下で、「コピー一枚を、ボールペンを一本買うのも総務省が目を光らせる状態」といわれる。五輪後、日本の首都・東京がその岐路に立たされることになる、というのだ。都庁幹部は続ける。

「開催決定時、『五輪は経済の起爆剤になる』といわれ、32兆円の経済効果があると試算されていたのが夢のよう。当時の安倍政権でもアベノミクスの『第四の矢は東京五輪』と高い経済効果を謳っていたのに……。

外国人観光客は来ない。無観客で国内での観光客も来ない。経費ばかりが増え、落とされるはずのカネは見込めない。経営に苦しむ観光や飲食、宿泊などのサービス業にもおカネが落ちずに税収も見込めない。コロナで迷走続きの中、東京大会の負担を一方的に押しつられそうで都財政はどうなることやら」

そもそも招致時の契約では「コンパクト五輪」を標榜し、コストの総額は7340億円の見込みだった。ところが大会の一年延期、コロナ対策の継続と経費は山積みとなり、4倍の3兆円となった。

この膨張した費用をめぐり、誰が負担するのかを巡るさや当てが始まっている。

無観客によりチケット売上900億円の目算は消えた。組織委員会は公益財団法人で、基本財政は3億円しかない。7月11日、NHKの番組に出演した武藤敏郎・組織委員会事務総長は「チケット収入は何十億円に激減する。収支が整わないことは間違いない」と白旗をあげている。

「小池百合子都知事は『赤字負担はIOC、政府、組織委員会を含めて協議が必要』と繰り返し述べ、不合理な負担の押しつけを牽制している。だが、政府は、開催契約を結んだのは東京都だという原則論で都に負担を押し付けようとしている。一年延期を決めたのは時の安倍政権で、IOCが承認。その決定に都はかかわっていないのだが…」(都庁幹部)

自治体の内部留保である財政調整基金の財政状況も、新型コロナ対策で悪化している。東京都には多くの企業が集まり、好調な都税収入に支えられ、2020年3月末時点で過去最大の9345億円まで増えていた。しかし、コロナ対策で1兆6300億円も投じ、残高は21年度末時点で21億円となる見通しまで言われた(その後、約2800億円に見通しは上方修正された)。

「景気悪化による都税収入の落ち込みは想定の範囲内で、財務当局もひとまずは安堵している。ただ、新規感染の抑制にも打つ手がない事態に至っている。飲食業への時短・休業要請、酒類提供自粛の要請といった事業者への働きかけも限界。感染拡大の爆発的な拡大を止めなければ、財政面でも予断は許さない状況に陥る」(都民ファーストの会の尾島紘平都議)

前回1964年の東京大会は、その後のいざなぎ景気につながり、日本全体に「恩恵」がもたらされた。しかし21年の東京大会の経済効果への期待は看板倒れで、コロナ感染拡大で先行きは見通せないまま。「宴のあと」の行き着く果てが、都民への負担…とならないことを願うほかない。

  • 取材・文岩崎大輔写真AFLO

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