親元を離れホームシックに…レスリング・須﨑優衣の「原点写真」
激戦の国内代表選考を勝ち抜き、いまや日本選手団の旗手も務めるエースの秘話&秘蔵写真
いよいよレスリング女子50㎏級代表で、日本選手団の旗手も務めた、須﨑優衣(22)が頂点を目指す。8月6日の準決勝でアゼルバイジャンのマリア・スタドニクを下し、8月7日夜に行われる決勝の舞台へと駒を進めた。
FRIDAYは8年前の13年から彼女を追いかけてきた。当時、須﨑はJOCの「エリートアカデミー」に所属していた。エリートアカデミーとは、全国の中学生、高校生から精鋭を集め、将来のメダリストを養成する組織のことだ。
「アカデミー生は、東京・北区にある『味の素ナショナルトレーニングセンター』で練習を積み、併設された宿泊施設で共同生活を送ります。中学生、高校生は近くの学校に通い、実家に帰れるのはゴールデンウイークと正月、それと少しの夏休みだけ。費用はすべてJOCが負担しますが、アカデミー生は文字通り練習漬けの過酷な生活を送るのです」(全国紙記者)
当時、14歳の須﨑も同世代の選手44名とともに、親元を離れて共同生活を送っていた。本誌は五輪開催前に、エリートアカデミーコーチの吉村祥子コーチに話を聞いた。吉村コーチが当時を振り返る。
「当時から光る素質があり、攻撃のスピードや勝負への執着心が突出していました。努力する姿勢も際立っていましたので、『この子は将来、素晴らしい選手になる』と感じていました」

須﨑は中学1年のときに、全国中学選抜選手権で優勝するなど、紛れもない逸材だった。しかし、そうは言ってもまだ中学生にすぎない。なかなか実家から離れられず、入寮が1年遅れた。エリートアカデミーに入ったあとも、ホームシックで涙を流すこともあったという。
しかし、そんな少女は、持ち前の努力する姿勢でひとつひとつ階段を登っていった。17年、18年の世界選手権で金メダルを獲得。そして、「国際大会で優勝するより、国内を制するほうが難しい」と言われるほど激戦の50㎏級で、リオ五輪の金メダリスト・登坂絵莉や入江ゆきといった強豪選手を退け、見事代表に選ばれたのだ。
当然のように金メダルを期待され、選手団の旗手という立場ものしかかる。しかし、そんな重責も彼女にとってはプラスに働くという。吉村コーチが語る。
「彼女はプレッシャーを力に変えられるタイプの選手です。本人は『日本選手団の先頭に立って旗を振ることで、自分の気持ちを高められる』と話していました。ここまでやってこられた努力の成果を発揮して、『東京五輪で金メダル』という彼女の目標を勝ち取ってほしいと思います」
もはや死角は見当たらない。「エリートアカデミーの最高傑作」が頂点を目指す。



PHOTO:会田園