夏の甲子園 優勝候補筆頭は「明豊」と「智辯和歌山」! | FRIDAYデジタル

夏の甲子園 優勝候補筆頭は「明豊」と「智辯和歌山」!

大阪桐蔭は4番手! 創刊44年『報知高校野球』編集長が老舗のプライドに賭けて大胆&徹底分析

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2年ぶりの開催となる夏の甲子園

8月10日から2年ぶりに開催される夏の甲子園。無観客の開催となったのは残念だが、やはり“夏の風物詩”は存分に楽しみたいところだ。ということで、今回の夏の甲子園の見どころを、創刊44年を誇る老舗雑誌『報知高校野球』の編集長・山崎智さんに聞いた。

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今年は飛びぬけて強いチームはありません。ですので、優勝候補を挙げるのは難しいのですが、あえて格付けをするなら、

A+ 明豊(大分)、智辯和歌山

A  智辯学園(奈良)、大阪桐蔭

A- 愛工大名電(愛知)、盛岡大付(岩手)、東海大菅生(西東京)、神戸国際大付(兵庫)、京都国際、浦和学院(埼玉)、静岡、県岐阜商

となります。

3回戦までの組み合わせ表

明豊 強さの原点は智辯和歌山にあり

明豊は、春のセンバツで準優勝しましたが、夏にむけてさらに強くなりました。“超高校級”と呼ばれるような選手はいませんが、どの選手が出ても活躍できる層の厚さがあります。

特に投手の成長には目をみはります。春は京本真、財原光優、太田虎次朗の3本柱の継投で勝ち上がりましたが、夏までにそれぞれが1試合を任せられるほどに成長し、“太い3本柱”ができあがったようです。また、打線はセンバツ同様、ほぼ日替わり打線なんですが、どんどん人材が出てきている印象です。総合力がとても高い。

戦い方もまさに変幻自在。投手戦、打撃戦、どんな試合展開で、ビハインドになっても対応できる柔軟性があります。これは川崎絢平監督が智辯和歌山出身ということも大きいかなと思います。川崎監督が1年時、智辯和歌山は全国制覇をしていますが(1997年)、柔軟な試合運びは当時の智辯和歌山に似ているんですよね。大分大会は、雨でノーゲームになったり試合中止になったり、イヤな日程が続きましたが、しっかり勝ち切りました。「負けないチーム」という感じがします。

大分大会を勝ち上がった明豊。センバツは準優勝。頂点まで登れるか?

「変幻自在野球」vs.「今年最高の投球術を持つ右腕」

ただ、明豊の組み合わせはかなり厳しいです。初戦はセンバツにも出た専大松戸(千葉)。エースの深沢鳳介は、「今年の高校生の中で1番ピッチングがうまい」と感じる投手です。スリークォーターから140キロを超える速球を投げ、内外角、高低、緩急すべてを使った投球術が見ものです。深沢は疲労がたまると足がつりやすいようですが、今年の千葉大会は例年より早く終わりました。試合間隔は十分にあいて明豊戦を迎えるわけです。

注目カード①大会4日目第2試合 専大松戸-明豊 

明豊がこの試合に勝つと、3回戦で順当に行けば北海(南北海道)と神戸国際大付の勝者と戦うことになるでしょう。ともに実力校です。北海のエース・木村大成は素晴らしいスライダーを投げる左腕。スピードも150キロ出ます。神戸国際大付は楠本晴紀、阪上翔也の2枚看板がいます。ちなみに今年の近畿勢はどこも強いですよ。西高東低の大会になるかもしれません。また、この北海‐神戸国際大付はセンバツの開幕戦の再現なんです。注目の一戦ですね。

注目カード②大会3日目第3試合 神戸国際大付‐北海 

「イチローの教え」は聖地でも見られるか!?

続いてA+の評価をした智辯和歌山は、“強打のチーム”というイメージが強いですが、和歌山大会ではそこまで打線の調子があがらず、エースの中西聖輝、背番号18の伊藤大稀ら投手陣が頑張りました。決勝は、超高校級投手・小園健太のいる市和歌山をロースコアながらしっかり力で押し切り、甲子園出場を決めています。

今年の智辯和歌山に感じるのは決勝戦でみせたような、野球IQの高さです。智辯和歌山の8回の攻撃。二死で走者一、二塁。打者はショートゴロを打ちました。ショートはセカンドフォースアウトを狙います。ぎりぎりのタイミング。そんなとき、一塁走者は普通、スライディングしますよね。でもランナーは駆け抜けたんです。結果はセーフ。驚いた市和歌山内野陣が一塁走者を見ている間に、二塁走者が一気にホームイン——。このプレー、あのイチローが教えたそうです(イチローは昨年12月、智辯和歌山を3日間指導した)。

「得点圏にランナーがいるとき、一塁ランナーはセカンドフォースプレーで滑り込むよりは駆け抜けろ。そっちの方が速くてセーフになる確率が上がり、さらに離塁することで挟まれたりする間に前のランナーを生還させられる」と。

これは、なかなか頻繁には起こらないプレーです。それを決勝の重要な場面でしっかり実践できるのは、本当にすごいことだと思います。「智辯和歌山の実績と経験」×「イチローの教え」。もしかすると甲子園で新たな「イチローの教え」が見られるかもしれません。

智辯和歌山を指導するイチローさん。どんな秘策が授けられたのか

「高IQ野球」vs.公立商業校の雄

個人的には、智辯和歌山と智辯和歌山で学んだ野球を大分で実践する明豊が決勝で当たったら、ワクワクしますね。本家と分家の対決、になりますから。1997年に優勝した智辯和歌山の主将だった中谷仁監督と、1年生だった明豊・川崎監督がどんな采配を振るか楽しみです。

しかし、智辯和歌山の初戦の相手・宮崎商は難敵です。背番号1の日高大空はものすごく丁寧でゲームメイクのできるピッチャーですし、2番手の長友稜太は2年生で146キロを出します。野手も遊撃手の中村碧人はプロ注目選手で、西原太陽は春の九州大会で1試合3本塁打を打った強打者。かなりタフな試合になりそうです。

注目カード③大会6日目第1試合 智辯和歌山‐宮崎商

並みいる難敵との戦いが控える智辯学園

続いて智辯学園。ピッチャーの西村王雅、小畠一心は、1年生のときから甲子園の経験があります。打者の前川右京、山下陽輔も非常にいいバッター。センバツは初戦で大阪桐蔭に勝って、ベスト8に進出しました。明豊に負けたんですが、もし勝っていたらそのまま優勝までいっていたのでは、と思います。

投打に柱がきっちりそろっていて、経験値も十分にあるチームです。投手がそれほど伸びていない、という声もありますが、左の変則投手の西村は、ハマったときはすごいピッチングをします。昨夏の交流試合の中京大中京戦のようなすごいピッチングが再現できれば、面白い。

組み合わせは初戦の倉敷商(岡山)に勝ったとしても次に当たるのが横浜(神奈川)と広島新庄の勝者。どちらが来ても厳しい試合になると思います。そこに勝っても3回戦は静岡大会37回無失点、192センチの好投手・高須大雅の静岡と当たる可能性が高く、難敵が続きます。

智辯学園のプロも注目する強打者・前川。1番バッターとして切り込み隊長となる

大阪桐蔭に垣間見える「コロナの影響」

世間で評価の高い大阪桐蔭を4番手にしたのは、投手陣がやや心許ないからです。松浦慶斗はだいぶ状態が戻ってきたようですが、関戸康介は大阪大会で投げていません。ただ、打線はすごいです。長打あり、足もあり、準決勝では9回に同点本塁打が出るような勝負強さあり……。トップクラスの人材がそろっていますから、強いのは間違いありません。

桐蔭を見ていると、私立校には、コロナが2シーズンにまたがっているダメージが大きくのしかかっているのでは、と感じます。私立校は練習量や対外試合などの「量」で公立校に対してアドバンテージを取ってきたのですが、どこの私学に話を聞いても、定期的な合宿や遠征に行けなくなっており、練習時間も制限されています。公立校はもっと厳しいところもあると思うんですが、私立は「やれなくなったこと」の数が公立よりはるかに多くなります。センバツの大阪桐蔭も、守備の連携で例年見られないような、ちょっとしたミスをしていました。いつもならきっちりやっているプレーができていない。細かいプレーを詰めきれていない。それは練習時間の短さや実戦の少なさが影響しているのではないでしょうか。

復調がみられる大阪桐蔭・松浦

「球数制限」との戦いも……

そんな桐蔭が初戦で当たるのがセンバツベスト8の東海大菅生。難敵です。エースの本田峻也が肩の状態がよくなかったのですが、復調してきました。打線は千田光一郎、小池祐吏を中心に強力です。小池の父は松坂大輔とともに甲子園春夏連覇した小池正晃・横浜DeNAコーチです。おそらく打ち合いの展開になると思いますが、1回戦屈指の好カードです。

注目カード④大会5日目第1試合 大阪桐蔭-東海大菅生

また、大阪桐蔭と明豊は日程がややキツいですね。勝ち上がると1週間で500球という投手の球数制限を考慮しないといけません。今年は3回戦終了の翌日にも休養日が設けられましたが、2回戦が大会9日目となるチームは2回戦から準決勝まで1週間で4試合、3回戦からカウントしても決勝まで1週間で4試合になり、ほかのヤマよりも過密日程です。もちろん両校とも複数の投手がいますから大丈夫だとは思いますが……。

地方大会が激しすぎて……

愛工大名電は二刀流の田村俊介や好投手の寺嶋大希を擁し、実力的にはトップクラスのチームです。しかし、愛知大会が激戦過ぎでした。「私学4強」と言われている享栄、中京大中京、東邦の3つをすべて倒すという、愛知の夏では初の快挙を成し遂げたのですが、地方大会と甲子園をセットにして「ひと夏をどう乗り切るか」と考えると、地方大会でかなりエネルギーは使ったなという印象はあります。これで甲子園も勝ち上がったら尋常じゃないことです。

その名電と同じブロックに入ったのが県岐阜商です。強力な打線がウリですが、初戦で明徳義塾(高知)と激突します。明徳は世代No.1投手と言われた高知・森木大智を攻略したしたたかなチーム。県岐阜商・鍛治舎巧、明徳・馬淵史郎という勝ちに貪欲な名監督同士の対決でもあります。

注目カード⑤大会3日目第2試合 県岐阜商-明徳義塾

また、このブロックには最速157キロを投げる大会No.1投手・風間球打を擁する明桜(秋田)もいます。風間はストレートが一番の魅力かもしれませんが、カーブとフォークも精度が高い。相手が直球を狙っていると気づけば変化球で攻めるクレバーさもあります。

最もタフなチームが優勝する

名将・森士監督の最後の夏となる浦和学院は、比較的組み合わせに恵まれました。力を発揮できればベスト8入りは果たせそうです。他のチームの疲弊具合次第ではさらに上位を目指せるかもしれません。

優勝未経験の東北地区では盛岡大付が圧倒的な打力を誇ります。金子京介は岩手大会全5試合でホームランを打ち、松本龍哉は高校通算64本塁打。『報知高校野球』の7月号では岩手の本命にしていた花巻東を決勝でねじ伏せて勝ち上がってきました。“優勝旗の白河越え”を成し遂げる可能性は十分にあります。

京都国際も森下瑠大、武田侑大という2年生の中では全国上位の選手を擁しますが、組み合わせがハード。同じブロックは、好打者・皆川岳飛がいる前橋育英(群馬)、サウスポー・秋山正雲を擁する二松学舎大付(東東京)、ハイレベルな福岡大会を勝ち抜いた西日本短大付。“死のブロック”と言ってもいいかもしれません。

いろいろ予想をしてきましたが、優勝するのはもっともタフなチームだと思います。肉体的なものはもちろん、コロナの影響でどんなアクシデントが起こるかわからない状況です。そんな予想外の事態にも動じない精神的なタフさが求められる大会になると思います。

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『報知高校野球』7月号が絶賛発売中だ。

「地方大会の展望号ではありますが、甲子園の観戦のお供になる内容です。また今年のドラフト候補、注目の1、2年生の情報も満載です。甲子園、秋のドラフト、来年のセンバツのチェックもできる保存版です」(山崎編集長)

また、『報知高校野球』は今年からボーイズグループ『JO1』の川西拓実さんをメインキャラクターに起用した。高校野球専門誌としては異例のことだ。

「川西さん自身、高校まで野球一筋で頑張ってきた元高校球児です。彼を起用したのは、プロ注目選手じゃなくても野球雑誌の表紙を飾るチャンスがある、ということを球児たちに伝えたかったから。高校3年間頑張ったあと、高校野球の経験を生かしてその先の世界でも頑張ってほしい、そしてもう一度高校野球の舞台に戻ってきてほしい、という思いを込めました。おかげさまで<自分がいつも買っている雑誌を娘が買ってきた。これまで全然、野球に興味がなかった娘が買ってきて、親子の会話が増えました>なんてお便りもいただいています」(山崎編集長)

報知新聞社直営ウェブサイト「ショップ報知」では、『報知高校野球』最新号からバックナンバーも購入できます。https://shop.hochi.co.jp/shopbrand/ct78

『報知高校野球』7月号は、同誌のメインキャラクター『JO1』の川西拓実さんを表紙に起用
『報知高校野球』7月号裏表紙は、惜しくも甲子園出場はならなかった剛腕・森木(高知)
  • PHOTO共同、大分合同新聞社/共同通信イメージズ(明豊)、

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