夏の甲子園 接戦を勝ち上がった「ヒーロー10人」のスゴい実力
一挙大公開!出場を逃したプラチナ選手の名鑑付き! コロナ禍の練習不足で地方大会は大荒れ!
8月10日から、2年ぶりに開催される夏の甲子園。コロナ禍の影響もあって、地方大会は波乱続きだった。13年連続甲子園出場を果たしていた福島の絶対王者・聖光学院が準々決勝で敗退。この世代の”BIG4”と呼ばれた4投手の森木大智(高知)、小園健太(市和歌山)、達(たつ)孝太(天理)、畔柳亨丞(くろやなぎきょうすけ)(中京大中京)も勝ち上がることはできなかった。また、センバツ王者・東海大相模、常連校・星稜は部員のコロナ感染により出場辞退に追い込まれた。
「練習時間を短くせざるをえなかったり、対外試合ができなかったり、なかなかチーム力を上げることが難しい1年でした。とくに県外の強豪との対外試合ができないのは痛かった。いくら試合形式の練習をしても試合とは緊張感がまったく違う。コロナの影響で、選手たちが力を伸ばすチャンスが失われてしまいました」(アマチュア野球関係者)
明桜・秋田 風間球打(きゅうた)【投手】
MAX157㎞ 北の速球王
そんな大荒れの地方大会を勝ち抜いた中にも逸材はいる。もっとも注目なのは、夏の秋田大会で157㎞をマークした世代最速右腕・風間球打(きゅうた)(明桜)だ。
「スピードばかりが注目されていますが、スライダー、チェンジアップ、カーブで緩急をつけて打ち取る技術もあるんです。また、甲子園で勝つには短期間で長いイニングを投げないといけませんが、彼は出力をコントロール、つまり全力投球しなくても打ち取れる力を持っています」(スポーツジャーナリスト・安倍昌彦氏)
”BIG4”と同レベルの力を持つ風間に一つだけ足りないものがある。
「大舞台で強豪相手に戦った経験がないんですよね。今回出場する大阪桐蔭、県岐阜商、愛工大名電といった全国屈指の強力打線と向き合った時、平然と投げることはできるのか。いい結果を出せば、ドラフト1位指名をする球団がいくつになるのか……」(安倍氏)
もう一人の注目投手は、今春のセンバツで好投をみせながら、初戦で敗れ去った、北海の木村大成だ。
「過去30年で、北海道では間違いなくNo.1のサウスポーです。150㎞のストレートを持っていますが、素晴らしいのは変化球。縦、横2種類のスライダー、スプリット、チェンジアップを使い分けてきます。試合中に相手の反応を見ながら腕の振りを変えるなど高等技術をもっています」(安倍氏)
”五刀流”の強打者
大谷翔平の二刀流をはるかに超える”五刀流”の選手がいる。愛工大名電の田村俊介だ。投手・一塁手・外野手・三塁手・チーム主将を同時にこなしている。
「今年の春、彼のスイングスピードは164㎞。十分、プロレベルです。また長打力も魅力。中京大中京との練習試合を見たのですが、畔柳(BIG4の一角)の初球ストレートを特大ホームラン。ファーストストライクをベストバッティングできる能力、まさにプロに求められているスキルを持っています」(安倍氏)
彼ら逸材が輝くのか、それとも思わぬダークホースが勝ち上がるのか。最後に大会の優勝候補を探ってみよう。
「今の高3で、中3だったときの能力が高かった選手はまず大阪桐蔭に集まっています。東は浦和学院。浦学は九州から有望な選手を集めたため『今年の九州のレベルが下がった』と言われたほど。2月にコロナのクラスターが発生して1ヵ月以上練習ができなくても、甲子園に出てくるのは相当な実力です。
また、地方大会で強豪校との戦いが続いた愛工大名電、前橋育英も地力はある。
面白いのが千葉代表・専大松戸。毎年千葉は日程が過密で千葉を勝ち抜くだけで力尽きているところがあった。今年は五輪の関係で日程が早まり十分な休養がとれているんですよ。専大松戸は春の関東王者。期待できます」(前出・関係者)
2年ぶりの甲子園を楽しもう。
愛工大名電・愛知 田村俊介【投手兼内野手兼外野手】
北海・南北海道 木村大成【投手】
宮崎商 中村碧人(あおと)【内野手】
東北学院・宮城 伊東大夢(ひろむ)【投手】
大阪桐蔭 池田陵真【外野手】
県岐阜商 高木翔斗【捕手】
前橋育英・群馬 皆川岳飛(がくと)【外野手】
智弁学園・奈良 前川右京【外野手】
二松学舎大付・東東京 秋山正雲【投手】
出場を逃したプラチナ選手
高知 森木大智【投手】
市和歌山 小園健太【投手】
天理・奈良 達(たつ)孝太【投手】
中京大中京・愛知 畔柳亨丞(くろやなぎきょうすけ)【投手】
昌平・埼玉 吉野創士【外野手】
東海大相模・神奈川 石田隼都【投手】
『FRIDAY』2021年8月20日・27日号より
- PHOTO:松橋隆樹(風間、木村、中村、伊東、池田、高木、前川、達、小園、畔柳、石田)、小池義弘(田村、森木)、真崎貴夫(皆川、秋山)、中里浩章(吉野)
- 企画協力:戸田道男