専門家が警鐘 致死率97%の殺人アメーバが九州から上陸する | FRIDAYデジタル

専門家が警鐘 致死率97%の殺人アメーバが九州から上陸する

凶悪生物が水道水に混入して全米がパニックに

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フォーラーネグレリアの発見や感染による死亡例の発表が相次ぎ、米疾病対策センターはHP上で注意喚起
フォーラーネグレリアの発見や感染による死亡例の発表が相次ぎ、米疾病対策センターはHP上で注意喚起

「テキサス州ウェーコにある人気サーフリゾートに滞在していた男性サーファーが9月下旬に急死。月末にこのリゾートが閉鎖され、当局が調査に入ったことが10月頭に一斉に報じられ、全米が騒然としています。というのも、このサーファー、”殺人アメーバ”に脳を喰われて死んでいたのです……」(国際ジャーナリスト・山田敏弘氏)

米・ニュージャージー州に住むファブリツィオ・スタービルさん(29)は、9月8日から14日まで「BSRケーブル・パーク」に宿泊。人工の波が楽しめるプールでバカンスを満喫していた。

だが、帰宅後2日目、自宅の庭の芝生を刈っている際、スタービルさんは激しい頭痛に襲われる。薬を飲み、ベッドに横になっても、痛みは収まらない。

翌日午後にはうまく喋(しゃべ)れなくなり、ベッドから起き上がることも困難に。母親が911に電話して緊急搬送されるも、21日に脳死状態となり死去した。

「アメーバの名はフォーラーネグレリア。南極以外のすべての大陸で発見されており、’12年までに16ヵ国で310件の感染が報告されています。研究が進んでいるアメリカでの報告件数が最も多く、米疾病対策センター(CDC)によれば、1962年から昨年までの間に143件の感染が報告されています。うち、生き延びた人はわずかに4名。致死率97%という、恐ろしいデータが残っています」(山田氏)

この殺人アメーバは土中および、湖や池、川などの淡水に生息。25~35℃の温かい水の中で活性化するという。

アメーバ性髄膜脳炎の権威である、カリフォルニア大学サンディエゴ校のラリッサ・ポダスト博士が解説する。

「湖や川、池で泳いだり、ダイビングした人――とくに若い男性が統計的に多く感染しています。フォーラーネグレリアは鼻から人体に入り、脳につながる嗅神経を通って、脳に侵入。脳の奥まで達すると、薬は効きません。生き延びることができた患者はすべて、初期段階で抗寄生虫薬などの投与を受けています」

ただの一滴でも、フォーラーネグレリアの潜む水が鼻に入ると感染してしまうという。ひとたび感染すると、殺人アメーバは5日ほどで匂いを司る脳組織「嗅球」に入り、嗅覚と味覚が失われる。

続いて脳の中枢に侵入。免疫細胞がアメーバへの攻撃を開始して、頭痛や嘔吐などの症状が現れる。その後、感情を司る前頭葉が喰われて精神錯乱や幻覚に襲われ、脳幹と脊髄が分断されて、呼吸不全に陥るという。ポダスト博士が言う。

「初期症状が風邪に似ているので、多くの人は病院には行かずベッドで休んで治そうとします。その間、どんどん脳が食べられてしまう。進行が非常に早く、ほとんどの患者が、初期症状が表れてから1~18日の間に死に至ります」

アメリカでは温暖な南部を中心に毎年、0~10件弱の感染が報告されている。海外ではインドやパキスタンで感染例が多くみられる。ただ、パキスタンの場合、医療の遅れから、見逃されているケースが多く、実際、どれだけの死者が出ているか見当もつかない状態だという。

「脳内で感染が起こることが研究の足枷(あしかせ)になっていて、特効薬の開発は進んでいません。培養液の中のアメーバを殺すことはそれほど難しくありませんが、脳内のアメーバに効果があるかどうかは、動物あるいは人体実験を積み重ねるしかない。つまり、非常にコストがかかるのですが、患者数が少ないため、医薬品メーカーは研究費を提供してくれません。研究が進まないのです」(ポダスト博士)

現時点での対策は鼻栓の使用のみ。

塩素による消毒も殺人アメーバの低減および除去に効果があるとされていたが、冒頭のスタービルさんは消毒されているはずのプールで感染。つづく9月26日には、ルイジアナ州北西の水道システムからフォーラーネグレリアが発見されたことでパニックはさらに拡大した。

「温暖化の影響か、寒冷なアメリカ北部のミネソタ州でも発見されており、脅威は拡大する一方です」(前出・山田氏)

そしてこの殺人アメーバ、実は日本でも被害者が出ている。国立感染症研究所によれば、初の感染報告は’96年11月。

被害者は佐賀県鳥栖市の25歳OLで、発熱して会社を休むも熱は下がらず、頭痛や嘔吐に苦しんだ。その後も熱は下がらず、昏睡状態で久留米大学病院救命救急センターに緊急搬送された翌日に感染が判明。発症から10日ほどで死去した。女性の脳は原形をとどめないほど、軟化していたという――。

注目すべきは、この被害者が感染したのが冬だったこと。川や湖の水経由とは考えにくい。

「アジアでは相当数、患者がいると思われますが、モニターされていないので、実際のところ、どれだけの人が感染したのかはわかりません。日本の場合、水田はネグレリアが生息するには絶好の環境です。水田で泳ぐことはないでしょうが、作業中に一滴でも鼻に水が入ったら危険です。そして――もうひとつ考えられるのが温泉です。フォーラーネグレリアは46℃のお湯の中でも生息できるという報告があります。温泉に頭まで浸かるのは危険でしょう」(ポダスト博士)

日本で最初にフォーラーネグレリアが見つかったのは佐賀。九州は温暖で、かつ温泉があちこちにある。殺人アメーバが九州から日本に上陸する――そんな悪夢が起きても何の不思議もないのだ。

’13年、湖を泳いで感染したアーカンソー州の12歳少女。一時、自力で呼吸できなくなったが薬物投与で回復
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点線で囲まれた、人の顔のようにも見える物体が脳に入り込んだ殺人アメーバ。下は水中での活動時の姿
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本誌未掲載
本誌未掲載

PHOTO:アフロ AP/アフロ(2枚目写真) ユニフォトプレス(3枚目)

 

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