4校で甲子園出場 専大松戸・持丸監督「勝てるチームの育て方」 | FRIDAYデジタル

4校で甲子園出場 専大松戸・持丸監督「勝てるチームの育て方」

竜ヶ崎一高→藤代高→常総学院。「野球をやっていたからこういう人生になった」

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「俺ね、恥ずかしいんだよね。この歳になってまだ野球やってるのって。甲子園に行って、名将なんていわれるのも恥ずかしい。だって、野球やってるのは子どもたちだもの。俺はグラウンドに入れない。バットも持てない。偉いのは選手だからね」

千葉大会の決勝、13回タイブレーク「サヨナラ満塁ホームラン」で劇的な優勝を決めた専修大松戸高校野球部。監督の持丸修一さんは、日焼けした笑顔でこう言った。

母校・竜ヶ崎一高、藤代高、常総学院、そして専大松戸。指導した4高校すべてで甲子園に来た持丸修一監督。その素顔は意外にも…  撮影:TEN

「どうすればチームを強くできるんですか、なんで甲子園に行かせられるんですかって、きかれるけど、そんなのわかんないよー、自分でも」

専大松戸は、センバツに続いて春夏連続の甲子園。前任の茨城・常総学院も甲子園に導いた。さらにその前は茨城県の県立藤代高校。そしてその前は、母校でもある県立竜ヶ崎一高の監督として、甲子園に出場している。公立私立4高校、指導した全ての野球部を甲子園に導いたのだ。

「もともと、教員ですから。日本史の教員。高校野球はあくまで教育のなかにあると思ってるんです。甲子園も大切かもしれないけど、野球さえやってりゃいいというものではない。プロを目指す子もいるけど、ほとんどの子はプロにはなれない。でもね、『野球をやってたからこういう人生になった』っていうなにか手応えを教えたいんです」

高校生としてあたりまえのことを積み重ねる

「野球、ずっとやってきて思うんだけど、高校野球は、とにかくしっかり練習すれば強くなれるんです。ある程度センスがあって、しっかり練習して。子どもらのふんばりがあれば、勝てるチームになるんです。高校生だから、勉強もしなきゃいけない。生活も、きちんとしなきゃいけない。学校行って、授業受けて、生活して、野球も一所懸命やって。

一所懸命やりましたって、それは本人にしかわからないでしょ。どこまでやるか、どうやるか、自分で考えて考えて、実行していく。その積み重ねなんです」

持丸監督は、選手を怒鳴ったりすることはほとんどないのだという。

「監督は部員ひとりひとりを見てるんです。威張ったりしない、すごく優しいです」(野球部マネジャーの3年·飯髙菜緒さん)

私立の強豪校だが、野球部の寮はない。

「部員はだいたい、千葉や東京の自宅から電車で通っています。放課後、学校からグラウンドへはバス移動するので、試験前はバスのなかで問題を出しあったりしてます。部員はみんないい子。優しい人の集まりなんです」(同3年·三浦未来さん)

「説得力があって、”The 主将という性格」の石井詠己くんを中心に、チームの雰囲気は明るい。「いつも全力」という吉岡道泰くん、「主張しないタイプ」のサイドスロー深沢鳳介くん、「寡黙でクール」な投手岡本陸くん、そして「ベンチに必須」の石神遥樹くんと、キャラの立った部員たち。みんな伸び伸びして見える。

部室に監督が入ってきても、選手たちはとくに緊張することもなく寛いでいる。「試合中も、ベンチはほどよい緊張感」なんだという

教え子には、プロ野球選手も多い。ロッテの美馬学(藤代高)、日ハムの上澤直之(専大松戸)、ソフトバンクの高橋礼(専大松戸)。今年4月17日には、プロ野球パリーグの「勝利投手3人が全員教え子」だったというサプライズもあった。

「あの日は誕生日でね、彼らから誕生祝いのメッセージもらって。うれしかったですよ。それは」

この日も、何人ものOBがグラウンドを訪れ、監督に挨拶をしていく。

「こうやって顔見せてくれるのは、けっこうよく叱った子も多いんですよ」

かつての教え子に見せる笑顔は格別なのだ。

途中、卒業したばかりの若いOBが持ってきたアイスを食べながら、楽しそうに話してくれた

「今、思うとね、いろいろ恥ずかしいですよ。若いころ、竜ヶ崎一高で監督になったころはね、自分がやってやるなんて思ったけど、間違い。周りに恵まれてきたし、野球をやるのは生徒たち。それを信じて助けるのが役割です。子どもらの助けになることをやるだけ。自分のベースはやっぱり教員なんです。今、授業は持っていないけど、古代史が好きで、そこばっかり詳しく教えたりした教員時代と同じ気持ちですね」

24年間勤めた竜ヶ崎一高時代の教え子は、今でも「監督」ではなく「先生」と呼ぶ。

「そんなに好きでもない野球だけど(笑)やってきてよかった。教員になった教え子たちがあちこちの高校にいるから、練習試合にいってもね、『先生ー』って。恥ずかしいよね。幸せな人生ですよ。人に恵まれてるんだな。子どもたちにも、こういう気持ちを味わわせたいと思うんですよ」

初戦は雨天順延で3日も待った。コロナ禍なので、練習以外は宿舎から外出できない。

「体調とか気持ちとか、力は下がるかもしれないけど、それは相手もどこの学校も同じだからね。子どもたちは、けっこうのびのび過ごしてますよ(笑)。どっちにしても、高校生がやることだから。なにが起こるかわからないね」

こう言って、おおらかに笑う。持丸修一73歳。甲子園の1勝を、おそらく4校すべてのOBたちが応援している。がんばれ、持丸先生!

チームの雰囲気は「とても明るい」。甲子園、初戦の相手は優勝候補だ
「小さなミスも許さないぞという野球を」と指導する。「あとは、各自の目的意識で」
部員49人、マネジャーは3年の三浦さん、飯髙さん、太刀川さんと1年生2人。「監督の考え方が大好き」だと言う
「新聞記者になりたかった」が、母校のコーチを頼まれてその流れで教員になった。「その流れに感謝してる。今も気持ちは教員」

Photo Gallary7

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