伊藤美誠、瀬戸大也…「誹謗中傷と炎上」が加速した東京五輪の影 | FRIDAYデジタル

伊藤美誠、瀬戸大也…「誹謗中傷と炎上」が加速した東京五輪の影

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五輪とSNSの残念な関係

2021年8月8日、2020年東京オリンピック競技大会が閉幕した。多くの国民がテレビにかじりついて夢中になる一方、インターネットでは選手への誹謗中傷や関係者の炎上など、問題が多く見られた。

なかでも大きな問題は、メダルを獲得した選手への誹謗中傷だろう。

7月27日、卓球の混合ダブルスで中国ペアを破った水谷隼・伊藤美誠ペアのSNSに対して、試合の直後、中国人とみられるユーザーから多数の攻撃的なメッセージが送られた。

これを受けて水谷選手は「とある国から、『○ね、くたばれ、消えろ』とかめっちゃDMくるんだけど免疫ありすぎる俺の心には1ミリもダメージない」と“効いてないアピール”をしたものの、今度はその「とある国」という表現に対して「差別だ」との批判ツイートが国内から相次ぐ事態となった(現在、当該のツイートは削除されている)。

誹謗中傷をしてくる人に反撃したら、なぜか違う方面からも攻撃されたという格好だ。「とある国」と、国でくくることで何もしていない人をも巻き込んでいるとも取れるかもしれないが、実際に多数の攻撃が行われていたことを忘れてはならない。

この状況で特定の国に対して反感を持つなというのはかなり難しいことだろう。

また、反撃せず沈黙している伊藤選手に対しては、いまもSNS上で中国語の攻撃的なメッセージが送られ続けている。

五輪反対派からの誹謗中傷

水谷・伊藤ペアの例は国家間の争いだが、五輪開催をめぐる争いに巻き込まれた選手もいる。それが体操女子の村上茉愛(まい)選手だ。

村上選手は個人総合決勝後に行われたインタビューでこれまで受けてきた誹謗中傷について聞かれ、誹謗中傷をしてきた人に対して「見返したい」「思い知ったか」とコメントした。

しかし、これが五輪に反対してきた人に対して言ったと受け取られて炎上した。

インタビューは誹謗中傷に対してのものであり、誹謗中傷をしてくる人のなかには五輪に反対している人もいるといった内容だったのだが、記事の書き方の問題により「五輪反対派に攻撃された」と受け取られてしまったのだ。

結果、村上選手にはさらに攻撃的なメッセージが送られることとなった。記事はすでに修正済みだが、「攻撃された」と勘違いした五輪反対派の怒りは収まらなかった。

競技の結果がふるわず誹謗中傷

ほかにも競技の結果が良くなかったがために炎上する事例もあった。それが水泳の瀬戸大也選手だ。瀬戸選手は400m個人メドレー、200メートルバタフライの両方で予選敗退という結果におわった。

この結果について「ネットですごく、いろいろなことを言われて、めっちゃむかつきますけど。でも、戦っているのは自分なので」とコメントしたところ、過去の不倫騒動を蒸し返すかたちで炎上した。

「めっちゃむかつきます」が生意気な発言と取られたようだが、もともと「ネットですごく、いろいろなことを言われ」たのが原因だ。黙って殴られ続けろというのだろうか。

ちなみに、不倫騒動での被害者とも言える妻の馬淵優佳さんは「競技に対する批判というのは絶対してはいけない」とコメントしている。

「ネットですごく、いろいろなことを言われて、めっちゃむかつきますけど。でも、戦っているのは自分なので」とコメントした瀬戸大也選手。黙って殴られ続けろというのだろうか…(写真:アフロ)

競技に関係ない場外でも炎上

これまでにあげた例はすべて選手らに関係するものだが、東京五輪は場外でも炎上している。

なかでも興味深かったのはニューヨーク・タイムズの記者による「放射能いじり」だ。

SNSでは東京五輪に取材にきた記者が日本のコンビニの食べ物を「うまい、うまい」と褒める“いわゆる日本スゴイコンテンツ”が人気だったが、こうしたツイートのうちたまごサンドを取り上げたものに対して、NYTの記者が「ちょっと放射能を含んでそう」とツイートしたのだ。

ただでさえ韓国の選手団が「福島の放射能汚染が~」などと騒いでいるなかでの放射能発言である。もちろん炎上した。NYTの記者は「言葉の選び方が悪かった」と釈明して問題の投稿を削除したが、記者ともあろうものが言葉選びを間違えて差別発言をするとは思わなかった。

それともあれが海外記者の本音なのだろうか。

もうひとつはもう皆さんもご存知のとおりというか、いまも燃え続けている名古屋市の河村たかし市長による金メダルかじり事件だ。

他人のメダルをかじるという常識のなさ、気持ち悪さから燃えたこの事件だが、その後の報道で後藤希友(みう)選手に対して「旦那はいらないか?」などとセクハラ発言をしたことがわかり、さらに炎上した。

しかもその発言が「セクハラだ」と批判されているにも関わらず、「セクハラと思っていたら言いません」などと弁解するものだからたまらない。常識に欠けた市長と言わざるを得ないだろう。

選手への誹謗中傷、どう防ぐ?

このように炎上事例が相次ぐ東京五輪だが、問題となるのはやはり選手への誹謗中傷だろう。

この問題、JOCやIOC、そして政府も対策に乗り出してはいるものの、解決は非常に難しい。

というのも、国内の問題は解決できても、海外からの選手への攻撃を防ぐことは難しいからだ。規制する法律が国によって異なり、現地警察の協力も必要なため捕まえられるともかぎらない。

実際、五輪出場選手への海外からの誹謗中傷は過去にも例がある。たとえば2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでは、サッカーで韓国代表を破ったホンジュラスのチームの選手に対して攻撃が行われた。

2018年の平昌オリンピックでは、ショートトラック女子500メートル決勝で韓国の選手と接触したカナダの選手に対してやはり攻撃が行われた。

もはや競技結果が起こす選手への誹謗中傷は切っても切れない関係にあると言って良いだろう。

こうしたことへの唯一の防御手段は、選手はSNSをしない、ということだろう。アカウントを作らなければ誹謗中傷の送り先がなく、目にする機会もない。

「さすがにそれは……」という場合は、オリンピック期間中は選手のSNSをスタッフが管理するようにし、選手の目には触れさせないといった手法もあるだろう。ただし、普段からSNSに触れている場合、SNSができないことがストレスとなり競技に影響する可能性も考えられる。

五輪とSNSのこの残念な関係が解決することはあるのだろうか……。

  • 取材・文篠原修司

    1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりインターネットを中心とした炎上事件やデマの検証を専門にフリーランスのライターとして活動中。

  • 写真アフロ

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