まもなく台風到来…水害から家族を守るために知っておくべきこと | FRIDAYデジタル

まもなく台風到来…水害から家族を守るために知っておくべきこと

都会でもマンション暮らしでも高台でも油断は禁物。降り始めてからでは間に合わない 今のうちに備えておくべきことがある

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8月中旬は例年ならば晴天が続く。だが、今年は九州・広島を中心に激しい雨が降り続いた。そして、9月は台風の季節。水害に対する備えを今のうちに見直して損はない。

8月14日、日本各地で記録的な大雨が観測され、佐賀県鳥栖市では道路が冠水し、トラックや乗用車が水没した
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まずやるべきは情報収集である。

危機管理アドバイザー・国崎信江氏はこうアドバイスする。

「国交省の『ハザードマップポータルサイト』で自宅があるエリアの洪水や土砂災害などのリスクを確認しておきましょう。国土地理院の『地理院地図』もオススメです。過去に災害があった場所を調べることができます。他には国交省の『川の防災情報』には『水害リスクライン』という項目があります。ここを見れば近くの川の水位が分かる。また『自宅等のリスクを調べる』という項目で地点を登録すれば、雨量やダムの放流情報など自宅周辺に特化した様々な情報を簡単に見ることができるようになります」

大雨が降る前にしておくことは沢山ある。ハザードマップを参照して、自宅が浸水エリアだと分かれば、財産を”疎開”させておいたほうがいい。

「貴重品は2階に移動、または実家に預けておくという手があります。費用はかかりますが、貸金庫やトランクルームの利用も検討してください」(国崎氏)

翌日や翌々日に豪雨が予想される場合は何をすべきだろうか。備え・防災アドバイザーの高荷智也氏が言う。

「浸水の危険性が低いエリアに住んでいる場合でも、ライフライン停止に備えて必要な物資が揃っているか、あらためて確認してください。特に夏場は冷凍庫をペットボトルなどでパンパンにしておくといいでしょう。冷気が長持ちしますし、凍ったペットボトルは熱中症対策にもなります。各種バッテリーを満充電にしておくことも忘れてはいけません。浸水エリアに住んでいる場合は車両を水没リスクのない場所に移動してください。また、東京都の東部低地帯に位置する江東5区などで大規模水害が発生する可能性があれば、交通網が混乱する前に早目に安全な遠方に脱出することも考えてください」

浸水エリアに住んでいる場合、今年は最大限の警戒が必要だろう。災害危機管理アドバイザー・和田隆昌氏が言う。

「土嚢(どのう)で浸水を食い止めれば、家財や家屋が傷むのを防ぐことができます。自治体によっては、土嚢ステーションといって、土嚢を配ってくれる場所があるんです。また、ビニール袋に水を詰めて水嚢をつくり、トイレや風呂の排水口をふさいでおけば、汚水の逆流を防げます」

当然ながら、自宅から避難場所に向かう準備もしたほうがいい。水害対策に詳しい公益財団法人リバーフロント研究所技術審議役の土屋信行氏はこう語る。

「ライフジャケットを各家庭に備えてほしいですね。3000円ほどで購入できますが、代用品を作ることもできます。洗濯ネットに発泡スチロールを詰め込み、それをリュックに入れて前に抱えればOK。避難用リュックには必ず乾いたタオルを2~3枚入れておいたほうがいいです。濡れた身体を放置すれば、低体温症になり、命の危険があるからです」

雨の中の移動を想定すれば、ポンチョやレインコートではなく、撥水(はっすい)ウエアだと動きやすい。また、両手を空けるために防水性のヘッドライトが便利だ。水が入ると歩きにくい長靴ではなく、トレッキングシューズも用意しておこう。

そして、なにより難しいのが、避難のタイミングである。

「水かさが増した状況で移動するのは、リスクが高い。視界の悪い夜間の避難も危険です。頑丈な建物の二階以上に避難して救助を待つ、あるいは水が引くまで待ったほうがいいということもあります。自分が住む地域の情報を複数の方法で入手し早めの判断をしましょう」(和田氏)

前出の国崎氏は「気軽に避難すること」が大切だとしてこう続ける。

「ドアが水圧で開かなくなり、逃げ遅れることがありえます。1時間あたりの雨量が30mmになったら、安全なエリアにある避難所、もしくはネットカフェやホテル、24時間営業の温浴施設などを調べましょう。50mmになったら、危険な地域に住んでいる人は避難開始です」

豪雨の中では防災無線は聞こえない。事前に自分で「避難の基準を決めておくこと」が命を守ることになる――。

佐賀県武雄市では幼稚園が完全に浸水。乗用車は屋根まで水につかった
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周辺が冠水した順天堂病院(佐賀県大町町)から、自衛隊隊員によってボートで救助される医療関係者たち
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広島市安佐南区の住宅地に土砂が流れ込み、家屋や車両が被害に遭った
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福岡県久留米市の避難所に身を寄せる住民たち。コロナ禍もあり、プライベートスペースが確保されている
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『FRIDAY』2021年9月3日号より

  • PHOTO毎日新聞社/アフロ(1、4枚目) 朝日新聞社(2枚目) 共同通信社(3、5枚目)

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