戦火のアフガニスタン 専門家が予測する「最悪の展開」 | FRIDAYデジタル

戦火のアフガニスタン 専門家が予測する「最悪の展開」

反政府武装勢力タリバンが全土を制圧して政権が崩壊

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国外へ向かう飛行機の中は鮨詰め状態だった。脱出のために滑走路に侵入し、車輪にしがみ付く人もいた

「主要都市が1週間で陥落したことは予想外に迅速で、我々の比類なき勝利だ」

アメリカ軍の完全撤退の開始に端を発した反政府武装勢力タリバンのアフガニスタン侵攻。8月15日に首都カブールを制圧すると、冒頭の公式声明を世界中に発信し、さらに『アフガニスタン・イスラム首長国』の樹立を宣言する見通しだ。現地在住のジャーナリスト・安井浩美氏は陥落当日のカブールの様子を明かす。

「街中はタリバン兵士で溢れており、お店や銀行は営業を停止。首都機能は完全にストップしています。かつてのタリバン政権を知る知人は『歴史が繰り返されると思うと怖い』と怯(おび)えていました。多くの人が自宅に身を隠しており、街は静まりかえっています」

首都制圧から一夜明けた16日、カブール国際空港には国外脱出を目論(もくろ)むアフガニスタン人が大挙して押し寄せ、中には飛行機の機体にしがみ付く人まで出てきてきた。その中で少なくとも7名が亡くなった。難民も大量発生しており、25万人以上が隣国へ流れるなど国内は大混乱。しかし、これらはまだ序章に過ぎない。国際ジャーナリストの山田敏弘氏は、アフガニスタンがたどり得る最悪のシナリオを次のように予想する。

「今のアフガニスタンはテロリストからすると”聖地”となっています。というのも、これだけの状況に陥りながらバイデン大統領は米兵撤退の姿勢を崩していません。これは国際社会に『今後どんなことがあってもアメリカは不介入である』と宣言しているようなもの。つまり世界で唯一、アメリカの手の届かない地域ということです。隣国のパキスタンとの国境地域に最高指導者のザワヒリ氏が潜伏している『アルカイダ』が、このチャンスを見逃すはずがありません。

元々密接な関係にあるタリバンが政権を取れば、アルカイダは簡単にアフガニスタンに戻ってくることができます。あとは全世界の流通量の8割を占めるというアヘン栽培で安定した資金力を持つタリバンをバックに、かつてのように活発に活動する恐れがあります」

関わりの深い両者だが、一方でタリバンは国際社会から認められるべく、度重なるアメリカとの会談で、何度も「健全な国家運営を行う」と語ってきた。実際、タリバンとアルカイダが再び手を結ぶことがあるのか? アフガン情勢に詳しいジャーナリストの常岡浩介氏が語る。

「タリバンの幹部たちはテロリストが国内に入ることを、本来は避けたいのです。過去に直接、幹部に話を聞いた際には『バーミヤンの大仏を破壊したり、女性の教育を禁止したこと大変な間違いだった』と前政権のやり方を否定し、反省を口にしていました。とはいえ未熟な組織であるタリバンが国際社会とうまく付き合っていけるかどうかは未知数です。孤立してしまえば、再びアルカイダと繋がってしまう可能性は大いにありえます」

実際にイギリスやドイツは、いち早く政府として認めないという声明を発表。欧米との対立が深まる中、関わりを強める国も現れている。前出の山田氏が語る。

「アメリカが手を離した地域には敵対するロシアや中国が介入するケースが多いのですが、その2ヵ国についてはすでにタリバンと協力合意を結んでいます。現にタリバンは何度もモスクワで会見を行っていますし、中国とは新疆ウイグル自治区で活動するイスラム系テロ組織に対処するのであれば、復興支援を行うという条件で折り合いがついています」

複雑な国際情勢も相まって、野放し状態のタリバンの侵攻。世界が再びテロの恐怖にさらされる”Xデー”が、刻一刻と迫っている。

強襲した治安部隊から兵器を奪い、侵攻した村の若者を兵士として迎え、驚異的な速さで首都を陥落させた
カブール市内に滞留するタリバン兵。多くの住民が恐れる一方で、過去の圧政を知らないのか、一緒に記念撮影するなど英雄視する若者の姿も

『FRIDAY』2021年9月3日号より

  • PHOTOアフロ(タリバン兵) 安井浩美(カブール市内) CNP/時事通信(飛行機)

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