「生涯後悔するぞ」死刑判決の工藤会総裁「法廷発言」恐怖の意味 | FRIDAYデジタル

「生涯後悔するぞ」死刑判決の工藤会総裁「法廷発言」恐怖の意味

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工藤会への家宅捜査で捜査員に同行した野村被告。10年4月撮影(画像:共同通信社)

福岡地裁101号法定ーー。

それまで落ち着いた様子で裁判長の発言を聞いていた暴力団トップの様子が、主文を告げられると一変した。証言台近くの長イスから立ち上がると、裁判長をこう威嚇したのだ。

「公正な裁判をお願いしていたんだけどねぇ。こんな裁判あるんか……。アンタ、生涯このことを後悔するぞ!」

ともに審理されていたナンバー2の被告も、退廷直後に言い放った。

「ヒドイなぁ、アンタ……。足立さん!」

8月24日、福岡地裁(足立勉裁判長)で重大な判決が言い渡された。特定危険指定暴力団「工藤会」トップの総裁・野村悟被告(74)に求刑通り死刑。ナンバー2の会長・田上不美夫被告(65)を無期懲役としたのだ。

「キッカケは福岡県警が14年9月に始めた、野村被告ら工藤会の幹部を一斉逮捕する『頂上作戦』です。98年に起きた元漁業組合長の射殺や歯科医師刺傷など、4つの凶悪事件に工藤会トップが関与していると認定。約3800人規模の態勢で捜査にのぞみ、野村被告らを逮捕したんです。

公判は19年10月から始まりました。福岡地裁は選出された人に危害が及ぶ危険性があるとし、裁判員裁判の対象から除外。野村被告は7年近い勾留期間を過ごしましたが、無罪に自信をみせていたそうです。実行犯として、関与を裏づける明確な証拠はありませんでしたからね」(全国紙社会部記者)

「詮索するとヤバいことになる」

工藤会は、福岡県北九州市に本部を置く。その存在は特別だ。地元では「凶暴な組織」として知られ、恐れられているのだ。北九州市に住む住民が語る。

「工藤会がらみの傷害事件が起き、被害を受けた関係者に事情を聞いたことがあるんです。すると彼は私の肩をポンポンと叩き、こう言いました。『オマエのためや。何も知らないほうがイイ。オマエの親も兄弟も地元におるやろ。下手に詮索するとヤバいことになる』と。

問題が起きれば一般人にも手を出すこともあった。昔のことですが、北九州市内のバーが、『暴力団お断り』の張り紙を玄関に貼っていたことがあるんです。しばらくすると、そのバーは銃器で破壊されたような惨状になっていました。工藤会の倉庫には、対戦車用のロケットランチャーなど、自衛隊も驚くような武器が保管されているといわれます。目的達成のためには、どんなに残忍な方法だろうと手段を選びません。

今回の裁判で、野村総裁らが退廷直後に言った『生涯後悔するぞ』という言葉を聞くと背筋が凍ります。わざわざ、裁判長の名前まで出して威嚇したんですよ。残った部下に対するメッセージ、ととらえられても仕方ないんじゃないでしょうか……」

野村被告が自信をのぞかせていた通り、警察が問題視した4事件に工藤会トップが関与した明確な証拠はなかった。だが工藤会の結束は、毎朝、野村被告を幹部組員が正座で出迎えるほどかたい。足立裁判長は、「(野村総裁ら)両被告に無断で(組員が単独で事件を)起こすとは到底考えがたい」とし、重い判決に踏み切ったのだ。「反社会的集団である暴力団組織により計画的に実行されている点でも厳しい非難が妥当」とし、「極刑の選択がやむをえない」と結論した。

暴力団事情に詳しい、フリージャーナリストの鈴木智彦氏が語る。

「今回の判決は画期的です。工藤会のような暴力が突出した団体は、警察も世論も許さないという強いメッセージを発したのですから。他の暴力団の暴走にも、歯止めがかかるでしょう。極刑が適切かは別とし、有罪判決は妥当だと思います。犯行関与への明確な証拠がなくても、トップの指示がなければ組員が動けないのは暴力団社会の常識ですよ。

ただ法廷での野村被告の発言は、問題視されるべきです。工藤会のトップの言葉は、それだけで威圧になる。短い内容でも、一般市民を震撼させる恐怖が潜んでいることが、あらためてわかりました」

野村、田上両被告は判決を不服とし控訴する意向だという。北九州の市民を恐れさせる暴力団への最終判決は、高裁以降にもちこされる。

  • 写真共同通信社

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