2021甲子園 キラリと光ったドラフト候補10人を一挙紹介!
大雨とコロナで異例ずくめの大会で輝いた球界を支える「未来のスター」たち
2年ぶりに開催された夏の甲子園。大雨による順延、コールドゲーム、コロナによる出場辞退、ベスト4はすべて近畿勢……。まさに異例ずくめの大会の中でも球児たちは躍動した。
そして、10月にはプロ野球ドラフト会議が開かれる——。スポーツライター・安倍昌彦氏に、甲子園で活躍した選手の中から今後の球界を背負っていくであろう人材をピックアップしてもらった。
「ドラフト1位重複指名は確実」風間球打(投手・明桜・2回戦)
開幕前から「大会No.1投手」と言われた風間。強靭な上半身のパワーを原動力に、豪快に真上からの角度で投げ下ろす。コンスタントに145キロ前後をマークできる優秀なエンジン、カーブ、スライダー、フォークを交えられる技術。素材は文句なしで、あと欲しいのは、高いレベルでの経験値だけ。「作ったその日の最高級カレー」みたいな投手。しばらく時間をかけて熟成させた後の「変貌」に期待したい。雨天での登板が続き、2回戦で明徳義塾に敗れ去ったもののドラフト1位指名重複確実だ。

「“弱気”が消えて爆発 」前川右京(外野手・智弁学園・準優勝)
間違いなく高校トップクラスのスラッガーなのに、どこか弱気な面が見えたセンバツ当時から今夏は一変。チャンスにも「俺の出番だ!」とばかり強打炸裂。チェンジアップにのめりながら、ライトポール際上段にあわや!の猛ライナーファウルには驚愕。打球のスピード、外野手頭上でひと伸びする打球のすごみは、とても高校生のものじゃない。
スカウト連が懸念した走力も、積極的な走塁を披露し、一躍ドラフト候補に台頭。「体の強さも感じられる。1年目から2軍で使い続ければ、バッティングは3年目くらいから1軍の戦力になれるのではないでしょうか」とプロスカウトも評価している。

「ドラフト2位までには消える」花田旭(外野手・大阪桐蔭・2回戦)
攻守走の総合力で、今季の高校球界No.1外野手。プロ志望届を出せば、ドラフト2位までに消える選手だ。優勝が期待されたチームは2回戦で敗れてしまったものの、雨中の東海大菅生戦(1回戦)打った瞬間に入ったのがわかるバックスクリーン弾。低めの変化球も頭が動かずにとらえる技術はプロ仕様だ。

「驚異のスイングスピード」田村俊介(内野手&投手・愛工大名電・1回戦)
スイングスピード160キロ台はプロでも上位の驚異の数字。それでも力任せにならず、呼び込んで、見極めて、正確にボールをとらえるバッティングはドラフト指名確実。甲子園では実現しなかったが、左投げで三塁手もやってのける意欲前向きの野球上手だ。

「ドラフト2位は確実視」木村大成(投手・北海・1回戦)
北海道の高校球界で、これだけの実力派左腕はここ30年出会ったことがない。今夏地方大会で150キロ台に到達した速球にタテ、横2種類の軌道を使い分けるスライダーを持ち、真っ向勝負をかける。ドラフト2位は確実の快腕だ。「雨天順延で調整が難しい中、粘りのピッチングが見られたのはよかった」(スカウト)

「抜群の制球力」深沢鳳介(投手・専大松戸・2回戦)
初戦でセンバツ準優勝校・明豊を0封した。打席では「合わせるタイミング」、マウンドでは「外すタイミング」…野球で最も大切な抜群のタイミング感覚を持つ。サイドハンドから140キロ前後の速球とカーブの緩急、70%以上構えたミットにきめる制球力でドラフト4位までに消えるだろう

「来年のドラフト候補に浮上」森下瑠大(投手・京都国際・ベスト4)
初出場のチームをベスト4に導いた2年生エース。見るからに意志の強そうな面構えそのままの投球が頼もしい。三振を奪える球質に向上した速球に、いつでもストライクがとれるスライダーにカットボール。球筋も見にくく来秋ドラフトの有力候補に浮上した。

「プロの魂を持つ左腕」秋山正雲(投手・二松学舎大付・3回戦)
「攻めの投球」とは、まさにこれ。打者の様子を見極めながら、ストライクゾーンにガンガン投げ込み、3球勝負も辞さず。やられた直後に3球三振でやり返す魂はプロの資格アリ。

「甲子園2本塁打」代木大和(投手・明徳義塾・ベスト8)
甲子園で2本塁打し、3回戦の松商学園戦では完封勝利した二刀流の活躍でベスト8の原動力となった。昨秋以降、カットボールを習得して投球が一変。両サイドに自在にコントロールできて、自信満々、堂々の投球を展開。その気で練習すればプロでも活躍できる可能性を秘めた打撃センスと長打力にも豊かな将来性を兼備している。

「2年で高校通算35本塁打」浅野翔吾(外野手・高松商・3回戦)
2年夏の甲子園時点で、早くも高校通算35弾は驚異のハイペース。それでも本塁打欲しさのムチャ振りをするわけじゃなく、変化球でも正確にとらえて振り抜く王道のスイング。強肩・俊足も兼備して、来季はドラフト上位候補だ。

PHOTO:小池義弘