車いすラグビー日本代表 「快挙達成の知られざる舞台裏」 | FRIDAYデジタル

車いすラグビー日本代表 「快挙達成の知られざる舞台裏」

見事パラリンピック2大会連続の銅メダルを獲得! 絶対的エース・池崎大輔選手とリオ五輪代表・岸光太郎氏が明かす

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オーストラリア戦で敵陣へと攻め込む池崎選手。圧倒的なスピードと闘志を前面に押し出したプレーでチームを牽引

「天国と地獄を経験した、あっという間の5日間でした」

その激しさから”殺人球技(マーダーボール)”とも称される「車いすラグビー」。8月29日に行われた東京パラリンピックの3位決定戦で、日本は前回のリオ五輪で敗れている世界ランク1位・オーストラリア代表を圧倒。2大会連続となる銅メダルを獲得した。

翌日、エースの池崎大輔選手(43)に話を聞くと、冒頭のように大会を振り返ったあと、日本の強さの理由を明かした。

「最大の勝因は障がいの重い選手たちの活躍です。車いすラグビーでは、障がいの重さに応じて各選手に持ち点が割り振られます。僕を含め障がいが軽い選手は『ハイポインター』と呼ばれて持ち点が高い。障がいが重い選手は『ローポインター』で持ち点が低い。コートに立てる4人の合計点数の上限が決まっているので、バランスよくチームを組むことが重要になります。

各国とも運動能力が高いハイポインターを中心に戦略を立てる中、日本はローポインターの活躍が光った。3位決定戦では倉橋香衣(かえ)選手(30)と長谷川勇基選手(28)が、相手のエースをバンバン押さえ込んでくれたことで、効率よく得点を重ねることができました。この2人が日本のMVPだと思います」

メダル獲得に安堵する一方、結果には心からは満足できないと語る池崎選手。特に準決勝の敗戦が受け止められず、競技人生で一番の悔し涙を流したという。

「リオからの5年、金メダルだけを目指してきました。1年半前からはパーソナルトレーナーもつけ、生活の全てを捧げた。それでも金メダルに挑戦することさえできなかった。『絶望』を初めて実感して、涙が止まりませんでした。 するとその夜、キャプテンの池透暢(ゆきのぶ)選手(41)がミーティングを開いてくれたんです。

行ってみて驚いたのが、みんな目を泣き腫(は)らしていたこと。それを見て、全員同じ気持ちなんだと再確認できました。池選手が『最後まで自分たちの信じてきたラグビーをやろう』と鼓舞してくれたから、もう一度前を向けました」

大きな挫折とライバルとの激闘を乗り越えた代表戦士たち。そんな彼らの意外な一面を明かしてくれた人物がいる。長らく日本代表の最年長プレーヤーとして活躍してきた岸光太郎氏(49)だ。

「普段は真面目で物静かなキャプテンの池ですが、意外にオシャレ。障がいを負った後、実家の仕事の手伝いで個人宅の庭のデザインをしていたことがあり、東京に来た際は、時間を見つけては服や雑貨などのセレクトショップに足を運んでいます。スーツの着こなしにもこだわりがあるようで、イベントに登壇する際には、直前までポケットチーフの細かい位置に悩んでいます。

池崎はプライベートまで兄貴肌。試合中は怒鳴り散らすし、真剣すぎて怖いくらいですが、終われば『飯に行こう』と率先してメンバーを誘っています。後輩からも『焼き肉奢(おご)ってください!』なんて言われて、懐かれてますね」

岸氏から見ても、今の日本代表は歴代最強で、世界のトップまであとわずかだという。しかし課題は山積みだ。

「池崎や池をはじめ、主力選手の多くが40代です。日本代表の今後の問題は世代交代でしょう。若手育成のためにもプレー環境の整備が必須です。コロナの影響もありますが、車いすラグビーができるバリアフリーに対応した体育館は都内にたった1つしかないんです。また競技用車いすは一台100万円以上もします。トップ選手は1年で壊してしまうこともざらなので、経済的負担をどう軽減するかが、課題となっています」

来年10月には世界選手権が、さらにその先にはパリパラリンピックが控える。頂点を目指す日本代表の挑戦は続く。

リラックスした様子で取材に応じる。激闘の翌日だが、すでに気持ちは次に向いていると語る
強烈なタックルを繰り出す主将の池選手(右)。代表の全選手中最長の出場時間を誇り、正確なパスで攻撃をリード
代表の紅一点・倉橋選手は、屈強な海外選手にも物おじしない大胆さが魅力。天真爛漫な性格もチームに欠かせない

『FRIDAY』2021年9月17日号より

  • 写真毎日新聞社/アフロ

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