「菅は終わり。次は…」総裁選を操るキングメーカー二階の謀略 | FRIDAYデジタル

「菅は終わり。次は…」総裁選を操るキングメーカー二階の謀略

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「その話はお受けできません」

自民党の総裁選が異様な盛り上がりを見せている永田町だが、ここにきて菅総理「退任の深層」が明らかになってきた。

退任を決める前、9月2日16時のことだ。菅義偉総理は自民党本部4階の幹事長室で、二階俊博幹事長、林幹雄幹事長代理に向けてこう切り出した。

「林代理には党四役の好きなポストをお選びいただきたい」

このときまだ総理を辞めることなど考えていなかった菅氏は、5年を越えて幹事長職でカネと人事を握り、党内からの批判が強まる二階氏を外すことで、自分に集まっている批判を逸らすことを狙っていた。その約1週間前に、総裁選に名乗りを上げていた岸田文雄元政調会長が「自民党を若返えらせる」と宣言し、総裁を除く党役員の任期を「1期1年連続3期まで」とすることで実質的な「二階外し」で名を上げていた。菅氏には、ライバルのお株を奪い、争点を潰す狙いがあった。

とはいえ、一年前の総裁選で菅政権誕生の流れをいち早く作り政権を支えた二階氏を無下にもできない。そこで二階氏側近の林幹事長代理を格上げし、二階氏には副総裁ポストで金庫も預けたままで、変わらず自民党を仕切ってもらえないか…と提案したのだ。

二階氏は卒寿を超えても党内随一の政局感の持ち主で、菅総理も「政局観、政治観がずばぬけている」と一目置いている。そんな二階氏なら、菅氏の提案の意図も汲み取ることは造作もない。もちろん傍らで二階氏を支える林氏も同様だ。林氏は総理の言葉を噛みしめるように聞き、こう返したという。

「ご提案、ありがとうございます。ですが、林幹雄個人としてもそのお話はお受けできません」

策士策に溺れるの如く、「人事の菅」と評された総理が、その人事で足元を掬われた瞬間だった。三人とも一切、表情を変えぬまましばし時間が流れると、菅氏は足早に官邸に戻っていったという。

二階氏も林氏も、菅氏の「魂胆」を読み解いたうえで、「その意図はわかるが、ここまで尽くしてきた我々を政権維持の道具にするのは無礼だ」という気持ちがあったのだろう。ここで林氏が提案を飲んでいれば、その後、党四役をすべて変え、石破茂元幹事長や河野太郎行革担当相など国民的な人気の高い議員を重用し、イメージを刷新。支持率を上げて、解散になだれ込み、二期目を狙う…というプランが進んだはずだが、その冒頭から躓いてしまったわけだ。

菅氏のショックは筆舌に尽くしがたいものがあっただろう。その翌3日の臨時役員会で「総裁選に出ずにコロナ対策に専念したい。お願いしていた役員人事は撤回したい」と頭を下げたのは周知の通りだ。

「全方位外交だ」

続投に意欲を示していた菅氏が退場したことで、総裁選の駆け引きは流動的となった。真っ先に出馬を表明した岸田氏と、河野氏も意欲を示している。石破氏、高市早苗元総務相、野田聖子幹事長代理の出馬も取り沙汰されている。

候補者乱立の様相となり、どの派閥が誰を推すのか――菅総理のことなど忘れたかのように、その話題で永田町は持ちきりだ。皮肉なことに、いま一番注目を集めているのは、「切られる」予定だった、二階氏の動向だ。予定されていた人事も見送られ、二階氏の幹事長職は続投となった。幹事長在職日数は最長記録を更新中だ。

「最後のキングメーカー」はどう動くのだろうか。

総理の心が折れた9月3日夜、赤坂議員宿舎の武田良太総務相の部屋に、二階派の幹部が集結した。

「(総裁選の投開票)29日までまだ一ヶ月近くあるな」

二階氏がそうつぶやくことで、居並ぶ幹部らは互いに顔を見合わせた。一年前のように他派閥より先駆けて新しい総裁への流れを作ることはしないようだ…と察した。しばらくは様子を見るにしても、どのタイミングでどう動くのか議論は白熱した。菅政権では閣僚・党内ポストなどで「我が世の春」を謳歌した二階派。どの総裁候補者にどのタイミングで助力するか、それを見誤れば派閥の存亡にも繋がりかねない。真剣になるのも当然だ。

議論が続く中、菅氏が続投に強い意欲を示すために二階氏を幹事長ポストから外そうとしたことを「総理への怒りはありませんか」とある幹部が尋ねると、

「ちっとも」

二階氏は短くそう返したという。幹部たちにさえ本心を見せない二階氏だが、恨みを晴らしたことで穏やかなのか、はたまた退陣の展開まで想定済みだったのか…。

超然とする二階氏をよそに話題は移っていった。林氏が河野氏の支援に回ること、石破氏が推薦人集めに苦労し、「札(推薦人)をお貸しください」とお願いしてきたら武田氏が交渉役となり、何人か回すこと…などが決められた。その一方で、基本方針は「全方位外交」とし、推薦人を頼んできた候補者には何人か回すことも確認された。

二階派としては今回の総裁選には積極的に関与せず、「流れが決まりそうなになったら勝ち馬に乗る」方針になったようだ。

二階派の静観は嵐の前の静けさか。状況が流動的なためにまだ軽々とは動かない、と見るべきか。82歳のキングメーカーの「次の一手」に、この国の政治の命運は握られている。

  • 写真AFLO取材・文岩崎大輔

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