地域住民は大歓迎!パチンコ店がワクチン接種会場になったワケ
大阪の大型パチンコ店「フリーダム」でワクチンの大規模接種が行われた。4日間の営業停止で売り上げ減は1億円弱。それでも接種会場を提供した理由とは
「ワクチンを接種するチャンスがなかったので感謝しています。この店でパチンコをしたことはないんですけれど(笑)。パチンコ屋でタマを打たんと注射を打つなんて傑作やなあと思いました」(近隣に住む40代主婦)
日本一長いと言われる大阪「天神橋筋商店街」の近くにある大型パチンコ店「フリーダム」で、9月13日、新型コロナウイルスのワクチン接種が実施された。商店街組合員や近隣住民などを対象に、合計1500人に接種を行う。パチンコ店が接種会場になるのは極めて異例のことだ。
午前9時半過ぎに接種が開始されると、千台を超えるパチンコ台が並ぶホールに予約をした人々が入ってきた。1台ずつ間隔を空けてパチンコ台の前に大人しく座り、順番を待つ老若男女。やがて医者がキャスター付きの椅子を転がしながら、次から次へとワクチンを打ち始めた。パチンコ台にはタイマーが表示してあり、接種から15分経って異常がなければ終了である。
1回目の接種は13~14日、2回目は10月13~14日に行われる予定で、店は4日間休業することになる。「フリーダム」を経営する株式会社「アバンス」の平川順基社長は、接種会場を提供した理由をこう語る。
「職域接種が国の支援で行われることを知ったのが6月の事でした。地域貢献を理念として考えているわが社に何かできるのだろうか? と考えた結果が店を使っての集団接種だったというワケです。何人かの知り合いからは『よくやるね』と冷ややかな口調で言われましたが、『いまやらんとしょうがないでしょう』と気にもしませんでした。
パチンコ店は人口集中地域に立地しており、便利だし駐車場も完備している。空調設備も整っているから安全・安心。本当に接種に適していると思います。4日間の休業で損失は1億円弱ですが、そんな事よりも社会貢献のほうが大事です」

本誌は接種を受けた近隣住民にインタビューをしてみたが、同店を利用したことがあるという人はほとんどいなかった。しかし、全員が「ありがたいことだ。別の場所でもぜひやってみほしい」と口をそろえた。
感染拡大を招くとされ批判の対象となることが多かったパチンコ店。今回の接収会場提供が、イメージアップになったのは間違いなさそうだ。

