CM13本の芦田愛菜　カギは『マルモ』子役イメージからの脱却

《芸能リポーター・石川敏男の芸能界”あの出来事のウラ側は……”》

ある有名人らと温泉旅行したことがあった。翌朝に帰るとき、旅館の番頭さんが

「毎日楽しく見ていますよ」

と、声を掛けた。だが、その有名人は

「僕は毎日出ていません」

と、むっとした顔で答えた。

たしかに毎日は出演していないんだけど、その答えにはビックリした。「ありがとう」で済む話じゃないかと思ったが、なぜか不機嫌。この人は、知らない人には“いつもこんな感じなのかな”と思ってしまった。

テレビでよく観かける人に対して「観ていますよ」と言うのは、社交辞令も含めてよくある話。番頭さんには“有名人に話しかけたい”という思いがあったのだろうけど、彼はそれ以上、話しかけるのを辞めてしまった。

「出演している番組、観てますよ」

と言えばよかったのかな。

それにしても、ホントに毎日テレビで見ない日がないという売れっ子タレントさんは存在する。芦田愛菜さんもその１人だ。

5歳で子役デビューし、6歳で初主演ドラマ。続く2作目の主演ドラマ『マルモのおきて』（フジテレビ系）では主題歌も話題になった。

共演していた鈴木福くんと歌った「マル・マル・モリ・モリ」でNHK『第62回紅白歌合戦』（2012年）に9歳と239日で史上最年少出場。いまだに記録は破られていない。

15歳の時には、皇居前広場で開かれた「天皇陛下御即位をお祝いする国民祝典」で、着物姿で祝賀メッセージ。彼女の記録は書いたらきりがない。

学業のために一時は芸能活動をセーブしていたが、中学に入学が決まってからは、徐々に芸能活動を本格化させてきた。その芦田さんをなぜ、毎日観ているというのか。

それはテレビCMだろう。彼女は現在13本のCMに出演している。‘21年上半期CM女王は15本（ニホンモニター調べ）の本田翼さんなのだが、なぜか芦田さんのCMが目に付く。

携帯電話「Y!mobile」や英会話のECC、将棋の藤井聡太くんと共演して話題となった、サントリー「伊右衛門」などなど、ホントによく目にする。よく放送されているCMに出演しているからなのだろうか、それともオレが観ている番組のスポンサーCMになっているのだろうか…。

それにしても、彼女が出演しているスポンサー企業を見ると、上記以外でも誰もが知っている大企業ばかり。スキャンダルとは無縁の芦田さんは、企業にとっては是非ともイメージキャラクターになってもらいたい存在なのだろう。

バラエティ番組『サンドウィッチマン＆芦田愛菜の博士ちゃん』（テレビ朝日系）でのMCもすっかり板についている。読書が趣味だと公言しているが、本当に博識で驚かされる。

中学受験を経て、現在は超有名難関高校の1年生。大学では医学部に進学し、病理医(採取した患者の細胞から病気を調べる医師)を目指したいと言っているそうだ。

子役で爆発的な人気を得ても、大きくなるにつれて徐々に人気に陰りが見えてしまう人も多い。その中で芦田さんは、受験や学校の勉強をしながら、さらに人気が出てきているというのだから、本当にすごい。

『マルモ』で人気を得たあと、‘13年にはハリウッドデビューも果たした芦田さん。その後も出演オファーは殺到していたはずだが、中学受験のために仕事量をセーブしたことが結果的に良かった。

再デビューなんて大げさなことじゃないんだけど、『マルモ』の子役からうまく脱却できたんじゃないかな。今は博識でカワイイ“お嬢様学生”というイメージが確立された。今後、大人になるにつれて、どんな女優さんに成長してくれるのか、本当に楽しみだ。

ご自身は病理医を目指しているようだけど、オレは芸能界で活躍する芦田さんをずっと見ていたいなあ。

そういえば、小さい頃からスターダムを歩いてきた芦田さんだが、テレビ局関係者などから「生意気」「わがまま」などの悪い話を聞いたことがない。話を戻すが、彼女なら「毎日観ていますよ」と声をかけられたら、たとえ違っていたとしても素直に「ありがとうございます」と、答えるだろうな――。