写真比較で一目瞭然…!激ヤセ金正恩「もう一つの重大変化」
衝撃の激変ぶりだった。
9月9日の建国73周年閲兵式に現れた、グレーのスーツ姿の金正恩氏。首やアゴの肉が落ち、明らかにヤセていた。以前と比べ、かなりスリムに。ズボンの裾は風にはためき、サイズが合わなくなっている印象を受ける。
朝鮮半島情勢に詳しい、『デイリーNKジャパン』編集長の高英起氏が解説する。
「閲兵式の画像を見る限り、10kgから20kgほどヤセたのではないでしょうか。今年の5月までは、体重は130kgから140kgあったと推測されます。6月に公の場に現れた時には、かなりスリムになっていた。ダイエットに成功したという肯定的な見方がある一方、新型コロナウイルスのワクチン接種で副反応に悩まされという説もあるんです。高熱や激しい嘔吐で、体重が減ったと」
「黒電話」
あまりの激変ぶりに、閲兵式に出たのは金正恩氏の「影武者説」すら流れている。だが高氏は、目や鼻の位置や態度から「本人に間違いないだろう」と推測。さらに、重大な変化があると指摘する。
「別人に見えるのは、激ヤセしたからだけではありません。ヘアスタイルも違うからです。金氏は12年4月に北朝鮮の正式な指導者になってから、たびたびヘアスタイルを変えてきました(関連写真参照)。15年ごろまでは『黒電話』と揶揄されるような、頭頂部が盛り上がった髪型だった。当時の年齢は20代から30代前半と若く血気盛んで、公開処刑も頻繁に行われていました。前のめりな意識が、ヘアスタイルにも現れていた印象です。
16年以降に採用したのは、両サイドを極端に刈り上げる『覇気ヘア』と呼ばれるスタイル。金氏としては、強い意志で経済を立て直そうとしていた時期です。北朝鮮の青少年の多くは、指導者と同じ『覇気ヘア』を強要されたといわれます。今年7月に行われた政治活動家講演会でも、金氏の頭は『覇気ヘア』でした」
だが、今回の閲兵式ではーー。頭頂部もサイドの髪もバランス良く整えられ、落ち着いた印象を受ける。「黒電話」のような奇抜な印象は受けない。
「今年は、金氏が指導者になって10年の節目です。年齢も30代後半になりました。より重厚で、落ち着いたリーダーのイメージを打ち出そうとしているのかもしれません」(高氏)
気になるのは、いまだにくすぶる健康不安説だ。高氏が続ける。
「体調が万全でないのは、間違いないでしょう。昨年4月に、金氏の動静がわからなくなった際、死亡説が流れました。韓国メディア『デイリーNK』が『金氏は心血管施術を受けた』と報じたのがキッカケです。金氏は翌月に公の場に現れ死亡説は打ち消されましたが、右腕にはカテーテル痕らしきキズが確認されました。『デイリーNK』の報道どおり手術を受け、心臓に爆弾を抱えている可能性が高いんです。
当時から現在にいたるまで、金氏は朝鮮人民軍の現地指導を行っていません。以前は、時間を見つけて軍の視察に行っていました。視察自体が好きなのでしょう。いつも笑顔で演習を見学し戦車などに乗り込む様子が、たびたび報じられていましたから。
にもかかわらず、1年半近くも視察に行っていないのはおかしい。軍の多くは山岳地帯など、移動が難しい場所にあります。おそらく身体への負担を考慮し、現地指導を控えているのではないでしょうか」
激変した体型にヘアスタイルーー。金氏の変化からは、健康状態や政治スタイルまでうかがえるのだ。
- 写真:ロイター/アフロ KNS/KCNA/AFP/アフロ