飛石連休・藤井ペイジ『辞めた芸人に話を聴こう』が共感を呼ぶ訳 | FRIDAYデジタル

飛石連休・藤井ペイジ『辞めた芸人に話を聴こう』が共感を呼ぶ訳

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「辞めるのと続けるの、どっちが幸せ?」 

YouTube『藤井ペイジちゃんねる』の「辞めた芸人に話を聴こう」シリーズ。 芸歴27年目の飛石連休の藤井ペイジが、元芸人たちに辞めた理由を聞いていくというシンプルな内容ながら、テレビでは流れないディープな話が聞けるとウケている。 

これまでに、元「シェイクダウン」後藤秀樹、元漫才師の野々村友紀子、元「ハリガネロック」大上邦博(現・おおうえくにひろ)、元「底ぬけAIR-LINE」小島忍、元「ツインカム」島根定義、元「ビッキーズ」木部信彦、元「ホーム・チーム」檜山豊、元「18KIN」大滝裕一、元「カリカ」家城啓之(現・マンボウやしろ)、元「えんにち」望月リョーマなどといった、30人以上の元人気芸人たちが出演している。 

芸人界隈やオンバト世代といったコアなお笑いファンはもちろん、90年代・2000年代を知らない人にも通じる内容で、徐々に認知度を高めつつある。 

現在は、お笑い芸人を続けるかたわら、YouTubeを中心に活動している藤井さんに、インパクトに残っている人の話や芸人を続けること・辞めることの難しさなどをうかがった。 

少し大げさかもしれませんが、「辞めた芸人に話を聴こう」シリーズには、その人の人生が詰まっている気がします(撮影:大西基)

10年以上あたため続けYouTubeで開花した神企画 

――YouTubeで「辞めた芸人に話を聴こう」をやろうと思ったきっかけは?

「この企画を思いついたのは、実は10年以上前で、雑誌などで連載させてもらえないかなとボンヤリ考えつつ、何となくまわりにも話していました。2018年からYouTubeを始めて、その頃は主に子どもの成長記録をアップしてましたが、なかなか視聴回数が伸びなかったんですよね。その後、少しずつ編集に慣れてきたんで、元ピン芸人の大輪教授にこの企画をやりたいと声をかけたら快諾してもらえて、2020年の2月に1本目をアップしました。 

教授とは、昔からよく飲みに行く仲だったんですが、当時は芸人を辞めることについて、詳しい話を聞けなかったですね。本人も話す気はなかったでしょうし……。今は辞めてから何年も経つし、いろいろと話してくれたので、シリーズ化に踏み切りました。ちなみに、スタート時期がコロナと重なったのは偶然です。はじめはカラオケボックスで撮影してましたが、コロナになったんで一旦お休みして、Zoomが流行りだしたので今のスタイルになりました」

――コロナのおかげで、大阪にいる元芸人さんの話も聞けるようになったんですね。

「僕自身が一度も芸人を辞めることを考えたことがなくて、『なぜ辞めるのだろう?』と不思議に思っていました。それに、『この人は絶対に辞めないだろう』と思ってた人が辞めていくこともあって、理由を聞きたいと思うようになったんですよね。 

僕たちの時代は、まずは芸人の世界に身を投げうって、成功するために人生を捧げるというのがありました。けど、全員が成功するわけではなく、途中でリタイアしてしまう人もいます。でも、リタイアした時点で、その人の人生が終わるわけじゃなくて、ずっと続いていくし、その後の新しい人生をどう生きているのかって、気になりませんか?それを聞ける場所が、YouTubeの『辞めた芸人に話を聴こう』なんです」

元18KIN・大滝に言われた「そんなに真剣にやってないでしょ?」

――出演してもらう基準はありますか?

「基本的には面識がある人ですね。あと、ちょっと失礼な言い方になってしまいますが、この企画の根本には、『売れかけた人の話を聞きたい』というのがあります。きっと売れていたら辞めずに今でも第一線で活躍しているはず。でも、辞めたということは何かきっかけがあって、違う方向に舵を切ったということだと思うんで」

――辞める芸人に共通点はありましたか?

「線引きとして多かったのは、『年齢』と『収入』ですね。ある程度芸歴を重ねてから、それらを比べた時に、現実に引き戻されるんだと思います。『家族』という人もいました。だけど、そこに至るきっかけや経緯はそれぞれで、今のところ同じパターンはありません。 

印象に残っているのは、元18KINの大滝さんです。『みんな、そんなに真剣にやってないでしょ?』と言われたのをすごく覚えています。30歳を超えて、売れずにバイトをしているのは『芸人』という鎧が守ってくれているからで、世間一般からは厳しい目で見られても仕方がないんだと。

だから、やっぱり賞レースとかで勝たなきゃダメなんだよって。結局、今テレビで売れている人たちは勝ってきた人たちだから、そこに行くために勝つ努力をしなきゃダメなんだって。『自分ができてなかったから』ともおっしゃってましたけど。ほかの方も、みんな刺さることを話されるんですよね。僕個人としては、ずっと切られながら話を聞いている感じです(苦笑)」

あとは元ストリークの吉本。あんなにズバズバ相方の悪口言うんやと(笑)

――このシリーズを聞いてほしいターゲットは? 

「人生に行き詰っている人ですかね。転職を考えているけど、次に行く踏ん切りがつかない人や迷っている人には、何かしらのヒントがある気がします。あと、お笑い養成所で講師をしていることもあって、生徒たちに対して『もっと、一生懸命やっていいんじゃない?』という気持ちが強くなった気がします。 

本人たちは一生懸命なのもわかるし、その結果として辞めていくんだと思いますが、見切りをつけるのが早い気もするんですよね。それもひとつの方法だけど、『それで、本当に後悔しないのだろうか?』『せっかく養成所に入ったんだから、もっとガムシャラでもいいんじゃない?』と思う時があるんです。 

芸人って特殊な仕事で、100人に1人も成功しない世界だけど、それをわかって入ってきているはずですから。全力でやり切って、もう本当に限界だってなってから辞めた方がいいんじゃないかと思いますね」

僕はドライな人間ですし、「うるせーなー」って思われたくないですから、養成所の生徒たちに直接言うことはないですが(笑)

――辞めない芸人さんにもお話を聞いてますよね。

「単純に動画の数が足りないからです(苦笑)。コンビの片方は辞めていて、片方は続けているケースもあるので、最近は『辞めた芸人』というくくりはあまり意識せずにやっています。例えば、昨年再結成した号泣とか。それぞれ個別で話を聞いてみると、意外と行き違いや思い違いがあるんですよ。それがまた面白くって。勝手に整合性とっている感じです(笑)」

辞める芸人、続ける芸人、どちらが幸せ?

――芸人さん以外の方が出演される回もありました。 

「元女子プロレスラーのブル中野さんと、元乃木坂46の斉藤優里さんですね。プロレスもアイドルも人生を捧げてやっているわけなんで、興味がありました。実際に話を聞いてみると、なるほどと思うところがたくさんあったんで、ほかにも『引退』がある職業の人に話を聞く機会があれば、ドンドンやっていきたいですね。 

芸人との違いでいうと、ゴールの目安が決まっていて、そこに向かってどう燃え尽きるのかというところです。反対に言えば、芸人にはゴールがない。どこで線引きするのかは、自分で決めないといけない。だから、元芸人の話は面白いんだと再確認しました」

――辞めるのが幸せなのか、続けるのが幸せなのか……?

「難しい問題ですよね。これをはじめてから『辞めるの?』ってよく聞かれるんですが、僕は辞めたくないって気持ちが強くなりました。大体、次を見つけてから辞めるのがほとんどだと思うんですが、僕の場合は、辞めた先に自分が何をしているのか、全く見えないんですよ。昔は、仕事が一切なくなったら、状況的に辞めなきゃいけないんだろうなと思ってましたが、YouTubeはゼロから自分で作ってるようなものなんで、無限に続けられますし、辞める理由がないですよね」 

先日、同期のチュートリアルの徳井が出てくれました。ブラマヨや野性爆弾といった、ほかの同期も引っ張り出したいですね

――今後の目標は? 

「ありがたいことに『辞めた芸人に話を聴こう』シリーズの認知度が少しずつ上がっているようで、オファーをするとほとんどの人から『見てます』と言ってもらえるようになりました。元シェイクダウンの後藤さんが出てくれた時は、メッセンジャーさんがラジオで話してくださったりして、芸人界隈で広まっているのは嬉しいですね。

でも、断られることも多々あります。『会社のOKが出なかった』『裏方に回ったから、もう表には出ないと決めてる』など、理由は様々ですが、本当なら出てほしいです。 

面識はないんですけど、フォークダンスDE成子坂の桶田さんに話を聞きたかったんです。みんなが口を揃えて『天才』と言われる方で、この企画を思いついた時はご存命だったけど、今となってはもうお話を聞くことができません(コンビ共に死去)。そういう方もいるから、ますます今のうちに話を聞いておかなきゃと思いますね。だから、みんなも断らずに出てください」

  • 取材・文安倍川モチ子

    WEBを中心にフリーライターとして活動。また、書籍や企業PR誌の制作にも携わっている。専門分野は持たずに、歴史・お笑い・健康・美容・旅行・グルメ・介護など、興味のそそられるものを幅広く手掛ける。

  • 撮影大西基

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