激ヤセに髪型変更…イメチェン金正恩「北朝鮮庶民の驚きの肉声」
激ヤセしスリムになった体型、バランスの整った髪型ーー。
9月9日の北朝鮮建国73周年の閲兵式に登場した金正恩氏は、以前とイメージが大きく変わっていた。別人のような変貌ぶりに、「影武者説」まで噂されるほどだ。朝鮮半島情勢に詳しい、『デイリーNKジャパン』編集長の高英起氏が語る。
「たしかに金氏はかなりスリムになりました。激ヤセには、さまざまな理由がささやかれています。新型コロナウイルスのワクチン副反応が激しく体調を崩し体重が減った、ダイエットに成功した……。要因はなんであれ、10kgから20kgほどヤセたのは間違いないでしょう」
ヘアスタイルの激変ぶりも、話題になっている。
「金氏は15年ごろまで『黒電話』と揶揄されるような、頭頂部が盛り上がった髪型でした。当時は30歳前後と若く血気盛んで、公開処刑も頻繁に行われていた。前のめりな意識が、ヘアスタイルにも現れていた印象です。16年以降に採用したのは、両サイドを極端に刈り上げる『覇気ヘア』と呼ばれるスタイル。金氏としては、強い意志で経済を立て直そうとしていた時期です。
今回は、頭頂部もサイドの髪もバランス良く整えられています。落ち着いた印象を受けました。『黒電話』のような奇抜なイメージはない。今年は、金氏が指導者になって10年目の節目です。年齢も30代後半になりました。より重厚で、落ち着いたリーダー像を打ち出そうとしているのかもしれません」(高氏)
「どういうつもりなんだ」
安定感があり、スマートな雰囲気になった金正恩氏。だが北朝鮮国内では、意外にも不評のようだ。高氏が続ける。
「米国の『ラジオ・フリー・アジア』が、庶民の肉声を伝えています。西部・平安北道の住民は、こう語っているそうです。『最高尊厳(金正恩氏)が見せたのは、偉大なる祖父(建国者・金日成氏)をマネたヘアスタイルと服装、歩き方だけだった。実質的な変化がなく、外見だけ変わっても意味がない。どういうつもりなんだ』と。暮らしが一向に豊かにならないのに、金氏はパフォーマンスばかりが先行していると怒っているんです」
『ラジオ・フリー・アジア』によると、そもそも閲兵式を行ったこと自体に庶民の不満が高まっているという。
「昨年10月の朝鮮労働党創建75周年、今年1月の第8回党大会、そして9月と、閲兵式を行うのは1年間で3回目ですからね。昨年10月の閲兵式では、大勢の兵士が6ヵ月間もろくに食事も取らず、過酷な練習をさせられたそうです。
経済制裁、新型コロナウイルス、自然災害の三重苦で、国家は崩壊の危機に瀕している。そんな緊急の時に軍事パレードをやっている余裕などないだろうと、多くの国民は考えています。その上、9月15日には巡航ミサイル発射でしょう。金氏は軍事に没頭するばかりで、国民の生活など眼中にないと思われているんです」(高氏)
スマートになり悦にいっているのは指導者のみ。独裁国家のリーダーが「裸の王様」にならなければ良いが……。
- 写真:KNS/KCNA/AFP/アフロ