プロが見ても驚愕…!『科捜研の女』『CSI』のスゴいリアリティ | FRIDAYデジタル

プロが見ても驚愕…!『科捜研の女』『CSI』のスゴいリアリティ

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「『CSI』を観て驚きました。素晴らしい機械が並んでいるので」

こう言うのは、日本有数の民間科学鑑定機関である法科学鑑定研究所の代表・山崎昭氏。同氏の研究所では、科捜研(科学捜査研究所)や科警研(科学警察研究所※)のOBや各方面の科学鑑定の専門家を組織し、裁判所や検察、警察などからの依頼はもとより、企業や個人などの依頼で年間800件を超える鑑定を行う。また、テレビドラマなどの指導・監修も数多く行っている。

素晴らしいというのは、現実にはないけれど、あったらいいなと思うものがあるから?

「いやいや。『科捜研の女』でも『CSI』でも、使われているのはすべて実際にあるものです」(山崎昭氏 以下同)

では、なぜ驚いたのか?

「最新機器ばかりだったからです。鑑定に使う機械は、最低でも1台500万円する。10年前にアメリカ製のDNAを鑑定する機械を買ったときは、1台3000万円しました。毎年新しい機器が開発されますが、現実的には、とても新機種ばかりそろえることはできません」 

「ドラマでは、マリコさんたちは現場に行っているけれど、現実には科捜研の人が現場に行くことはありません。現実と違うところはあるけれど、僕は沢口靖子のファンで、よく見ています」と法科学鑑定研究所・代表の山崎昭氏(写真:アフロ)

殺人罪の時効が廃止されたのは、科学捜査の進歩のおかげ

年々進歩する鑑定機器。昔は筆跡鑑定といえば、文字の形を目視で鑑定していたが、今はコンピュータで、筆圧、書くときのスピードなど150以上もの筆跡の特徴を数値化して鑑定するという。書類にわずかに残った筆跡の跡を可視化する機器もある。プリンターで出力された場合には、プリンター機固有の跡を識別して、プリンター機の種類、メーカーまで特定できるとか。もはや偽造文書を作ることなど不可能に思える。

「中には巧妙に作られた偽造文書もあります。本物のように思えるけれど、違和感がある。そのようなときは予断をもたず、とにかく検査していく。そうやって偽造だとわかったときは、『やったね!』という気持ち。科学捜査により、真実を見つけていくことにやりがいを感じます」

テレビドラマでは指紋を採取するとき、刷毛のようなものでポンポンと粉をつけているが、今や光を当てて指紋を浮かび上がらせる機器もある。テレビドラマより、現実のほうが格段に進んでいるのかもしれない。

「コンピュータなどの発達によって、昔は解析できなかった指紋もクリアに見ることができるようになってきた。昔の指紋を再鑑定して、犯人が逮捕されたこともありました」

2010年に、殺人などの時効が廃止されたが、これもDNA鑑定が進んだおかげだとか。

「それまで殺人の時効は15年とされていましたが、これは15年も捜査しても検挙にいたらない場合、それ以上捜査しても検挙するのはむずかしかったから。ところが科学が進歩したことによって、過去の犯罪も暴けるようになってきた。だから今、科捜研や科警研では指紋と同じようにDNAのデータベースを一生懸命作っています」 

アーモンド臭を感じたら、その時点で匂いを嗅いだ人も死んでいる

そのような現実はテレビドラマからではわからない。ドラマでは、さまざまな鑑識作業が登場するが、現実的でない場面もいくつかあるという。

パソコンに遺書が残されているということがあるが、

「だれでも打つことができる。あんなものは証拠になりません」

キーボードの指紋を調べれば、だれが打ったかわかるのでは?

「しょっちゅう使ったり、大勢の人が触るところでは、指紋がこすれてしまって採取できません。ドアノブをポンポンして指紋を調べているシーンもありますが、あんなところからは採取できません。パソコンのマウスからも採取できないし、キーボードからもほぼ採取できません」

なるほど。

よく遺体に顔を近づけて「アーモンド臭がする。死因は青酸カリ中毒だ」というシーンがあるが、

「青酸は胃酸と反応してアーモンド臭のあるガスを発生させ、そのガスを吸うことが原因で死んでしまうんです。死んだあともおなかの中では胃酸と反応し続けている。アーモンド臭を感じたということは、そのガスを吸ったということ。その人も死んでしまいます。現実にはあり得ない。そういうシーン一つを見ても、作り手がどれだけ勉強して制作しているかわかります」

DNAで顔までわかってしまう未来も、すぐそこ 

ドラマでも現実でも犯人を追いかけるのに威力を発揮しているのが防犯カメラ。今、警視庁では街灯の防犯カメラのほかに事件や事故が起こったとき、通報ボタンを押すとインターホンで警察官と話ができる「スーパー防犯灯」を公園や道路に設置するとともに、撮影された映像が警察署や警視庁に送られる「該当防犯カメラシステム」の導入を進めている。

不鮮明な画像を鮮明な画像に処理する技術も進んでいる。

「ドラマでは簡単に行われているようですが、実際は、防犯カメラの規格が統一されておらず、現在100種類ほどの防犯カメラがあります。それぞれに解析ソフトや解析手段を変えなくてはいけないので、犯人の人相が特定できるまでに鮮明にするには、充分な経験と技術をもった解析者が必要なんです」

画像が鮮明になれば、それをもとに3D画像を作成。人間の顔の特徴点は256ヵ所あり、骨格に関係する特徴点は整形手術しても、体形が変化しても、変わらないため、表面的にどんなに変化していても、識別は可能だという。

さらに今、アメリカなどではDNAから犯人の顔を再現する研究が進められているとか。近い将来、たばこの吸いさしや使用済の割りばしなどから、指名手配写真が作られるかもしれない。日本ではまだ研究に着手していないそうだが、AIを使った犯罪防止策もとられ始めている。

「過去の犯罪データを見て、何時ごろ、どういう季節で、どのような天候のとき、どのような犯罪が起こりやすいか統計をとり、それをAIに学習させて、重点的にパトロールしたりしています。実際に犯罪抑止につながっています」

どんどん進化しする科学捜査。『科捜研の女』で主人公のマリコは、「科学はウソをつきません」と言っているが、

「科学はウソをつかないけれど、万能ではない。科学を利用してウソをつくこともある。だから、予断をもたずに謙虚に検証していくことが大事なんです」 

※ 科捜研は都道府県の警察署に所属。科警研は警察庁の所属機関。科捜研で扱うことのできない大規模な事件の鑑定や、高度な技術を必要とする鑑定を行っている。

山崎昭 2001年に法科学鑑定研究所を創設。日本法科学技術学会正会員。同研究所では、DNA鑑定、薬毒物分析、異物混入検査、偽造/改ざん解析、画像解析、筆跡鑑定、指紋鑑定、交通事故鑑定、火災鑑定、血液分析、音声/声紋鑑定など多岐にわたる鑑定や分析などを年間800件以上行っているほか、ソフト開発、学術論文の発表も行っている。

  • 取材・文中川いづみ

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