丸佳浩×柳田悠岐 スイング解析で見えてきた日本シリーズの勝者

野球人生が交錯しあう二人のバッター

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CSで2本塁打した丸。柳田とは同じ背番号9で中堅手と共通点が多く「日本で最も意識する打者」と語っている

広島カープと福岡ソフトバンクホークスが日本シリーズで熱戦を繰り広げている。

広島で開催された2試合は、広島の1勝1分。3試合目は30日、福岡に場所を移し、ソフトバンクの本拠地ヤフオクドームで開催される。日本一に輝くのはいったいどちらのチームか。

両チームの打線に注目すると、それぞれに絶対に欠かせない強打者がいる。そう、丸佳浩(29)と柳田悠岐(30)だ。日本シリーズの行方を握る彼らの姿に迫った。

「丸はもともと、三度のメシより好きというほどの雀士なんです。麻雀で夜更かしして、翌日の練習に目をこすりながら現れることもたびたび。乱れた生活習慣は、緒方(孝市)さんが’15年に監督になってからガラリと変わりました。チームリーダーに指名され、本人も『これではいけない』と自覚したのでしょう。脱麻雀宣言をしたんです。以来、雀荘に行くことはなくなり、ヒマを見つけてはジムに通って肉体改造に励んでいます。おかげでボディービルダーのような筋肉質の身体を獲得。長打力が飛躍的にアップしました」(スポーツ紙広島担当記者)

チームの雰囲気作りにも腐心している。

「41歳でチーム最年長の新井貴浩を敬遠する選手が多い中、積極的に話しかけています。『ジイさんもその年でガンバリますね』とイジっているんです。野球に対するストイックな姿勢と気さくな性格で、今やカープの精神的支柱です」(同前)

広島出身の野球評論家、川口和久氏が日本シリーズでも通じる丸の強みを語る。

「丸は徹底的に相手投手のデータを読み込み、そこから攻略法を考えます。しかも、それをチーム内で共有している。初対決のソフトバンク投手陣でも、丸がいれば打ち崩すことができるはずです」

一方の柳田は、広島県出身のカープファン。憧れの広島と日本シリーズで対戦することを、以前からリーグ優勝のモチベーションにしていた。

「年下ではありますが、プロでは先輩にあたる丸への尊敬の念は強い。柳田はオフに何度か広島県内のトレーニング施設『アスリート』で、丸と会ったことがあるんです。そこで丸は、180kgのバーベルを使ったスクワットを黙々と続けていた。柳田はこの姿勢に感動し、丸のことを『球界で最も意識が高い打者』と話しています」(ソフトバンク球団職員)

柳田が目指すのは、丸のような故障をしない強靭な肉体だ。今年9月からは、ケガ防止にあるアイテムを取り入れた。

「ヘルメットに装着したフェイスガードです。きっかけは9月16日の練習中に起きた事故。西武の栗山巧の打球が頭部を直撃したんです。それからフェイスガードを取り入れると『内角攻めへの恐怖感がなくなり、より大胆に振れるようになった』と話しています」(同前)

フルスイングが持ち味の柳田。元ソフトバンクのエース斉藤和巳氏が、日本シリーズでの活躍に太鼓判を押す。

「柳田に対しては、のけぞらせるぐらいの内角球を投げないと抑えられない。変化球でかわそうというピッチングでは、間違いなく打ちこまれるでしょう」

以下では、両打者の打撃フォームを連続写真で徹底分析する。

今季は自己最多の36本塁打を放ち、初めて100打点を超えた柳田。3季ぶりに首位打者も獲得

ホームランを生む理想的な「割れ」

まずはキャリアハイの39本塁打を放った丸(3~4枚目写真)。スポーツ力学が専門の筑波大学体育系・川村卓(たかし)准教授が話す。

「スイングの始動が早い。投手が足を上げるくらいの段階で、腕を上下させてタイミングを取っています。ゆっくり腕を動かすことで、上半身のムダな力も抜いているんです(写真①~③)」

ポイントは④の「割れ」という状態だ。

「上半身をひねり、右足を踏み込んでいる姿勢のことです。バットのグリップと右足の距離が長いほど、上半身の遠心力をいかしてボールに強く大きな力を伝えることができます。丸選手の『割れ』は理想的な状態です」

⑤以降で注目されるのが、ヒザや腰の位置がほとんど変わっていないことだ。

「多くのホームランバッターがアッパースイング気味にバットを振るのに対し、丸選手はヒザの位置が変わらないレベルスイングをしています。日本の少年が野球を始める時に、お手本とされるスイングです。ボールの軌道と平行に振るので、多少差し込まれてもミートしやすい。通常、レベルスイングの選手はヒットを打ててもなかなかホームランは出ません。しかし丸選手は、『割れ』が理想的な形なので長打も打てている。ライナー性のホームランが多い理由でしょう」

川村氏は「今の丸選手の打撃フォームには弱点が見つからない」と言う。

時速150kmに迫るスイングスピード

次は柳田の打撃フォーム分析だ(5~6枚目写真)。川村氏が続ける。

「特徴はインサイドアウトのスイング軌道です。身体を素早く回転させることでヒジ、グリップ、ヘッドと、まるでデンデン太鼓のようにバットが腕より遅れて出てきます。インサイドアウトの軌道だと右肩が下がりやすくなりますが、始動からインパクトまで肩の高さが変わっていない(①~⑧)。胸郭の筋肉が強く柔軟性があるからでしょう。柳田選手はボールを引きつけて鋭く打ち、スイングスピードは時速150kmに迫りプロでもトップレベルの速さ。ゆったりとタイミングをとる丸選手とは対照的です。日本人にはなかなかいない、メジャー型スラッガーのスイングと言えます」

ヒザの使い方も絶妙だ。

「インパクト直後の段階でも、ヒザが突っ張っていません(⑧)。最終的には突っ張りますが(⑨)、そのタイミングが非常に遅い。体重移動をギリギリまで行い、身体全体の力をボールに伝えていることの証明です。素早い回転と体重移動。この二つの要素が、柳田選手がホームランを量産している理由でしょう」

ここで紹介したデータは、両チームとも分析済みのはず。対策も万全だろう。それを上回る活躍をしたバッターが、チームを日本一に導く。

撮影:繁昌良司

 

Photo Gallary6

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