2億円不正流出「日大のドン」田中英壽理事長がついに「失脚へ」
病院建設をめぐって、2億円が不正に流出 側近の背任疑惑で東京地検特捜部が東京・杉並区にある自宅にもガサ入れ
理事長に就任して13年。「日大のドン」田中英壽(ひでとし)氏(74)が絶体絶命だ。
東京地検特捜部は9月8日、日本大学本部などのほか、東京・杉並区にある田中氏の自宅を捜索した。日大医学部附属板橋病院の建て替えをめぐり、不正に資金が流出した疑惑が浮上しているのだ。

そのキーマンは、『株式会社日本大学事業部』の取締役・A氏。田中氏の側近中の側近と言われる人物だ。
「日大事業部は田中理事長が主導して’10年1月に設立された、大学にまつわる関連ビジネスを行う会社です。同社を仕切るA氏は日大の理事でもあります。アメフト部のコーチも務めていたA氏は、’18年の悪質タックル問題で加害者の学生とその父親を口封じのために呼び出し、『(応じないなら)日大が総力を挙げて、潰しにいく』と恫喝(どうかつ)したことが明らかになりました。これにより同年7月に理事を辞任しています」(全国紙社会部記者)
ところが、このA氏は昨年9月に理事に返り咲いていた。いかに田中理事長のお気に入りなのかが分かるだろう。
「特捜部は、病院の工事に際して昨年、A氏が設計会社に発注した費用の一部である約2億円を、外部の会社の口座に送金するように指示したとみています。年内にもA氏の逮捕に動くべく、いまは証拠を固めている段階でしょう。A氏の独断ではなく、田中理事長の関与があった疑いも捨てきれません。自宅にガサ入れした以上、特捜部は理事長の逮捕も視野に入れていると思われます」(同前)
ガサ入れ後、本誌は田中氏の自宅が入るビルを訪れた。1階で営業している、田中氏の夫人が経営する飲食店の関係者に声をかけるとこう答えた。
「理事長はいないです。(話を聞きたいのですが?)全然無理です」
田中理事長は雲隠れし、会見を開くどころかコメントすら発表していない。
「少なくともA氏が逮捕されるような事態になれば、田中理事長の辞任は免れませんよ。’05年にも当時常務理事だった田中理事長がキャンパスの建て替え工事の際、電気工事会社からリベートを受け取っていた疑惑が報じられています。このときも、’14年に山口組の司忍組長とのツーショット写真が出回ったときも逃げ切りましたが、今回ばかりはそうもいかないでしょう」(日大中堅職員)
教育機関として、日大の自浄作用がこれから問われることになる。

『FRIDAY』2021年10月1日号より
PHOTO:蓮尾真司 結束武郎