河井案里元参議院議員「東京拘置所通い」で見せた複雑表情
発見撮! 自民党本部から提供された1億5000万円の使途はいまだ不明のまま 大規模買収事件で実刑判決を受けて控訴中の夫・克行元法相に面会か
〈彼を返して〉
彼女の頭の中では、’80年代にヒットした杏里(あんり)の名曲「悲しみがとまらない」でも流れているのだろうか……。そう思わずにはいられない寂しげな光景だった。
高いフェンス沿いの殺風景な歩道をサンダル姿で独り歩いていたのは、元参議院議員の河井案里(あんり)氏(47)。ピンクのロングスカートがやけに目立っていた。
9月中旬の午後、東武伊勢崎線の小菅(こすげ)駅(東京・足立区)に降り立った案里氏は急ぎ足だった。慣れた道なのだろう。脇目も振らずに10分弱歩いて、建物に入っていった。東京拘置所の面会所だ。
「夫である元法相・河井克行被告(58)がそこに勾留されているんですよ。克行被告は計100人に約2870万円を渡した公職選挙法違反(買収など)で逮捕され、今年6月に東京地裁から懲役3年の実刑判決を受けました。議員辞職をし、今後は『選挙に出ない』とも宣言して、克行被告は情状酌量を狙ったのですが、まったく考慮されなかった。克行被告側は即日、控訴しています。ただし、支援している議員仲間や地元企業はほとんどいないと聞いています」(全国紙社会部記者)
河井夫妻には離婚説が報じられたこともあった。案里氏は今年2月に公職選挙法違反で懲役1年4月、執行猶予5年の有罪が確定した。その際、東京地裁が読み上げた判決文が、「(克行被告は)被告人の配偶者であった」と夫婦関係を過去形で表したことが憶測を呼んだのだ。
確かに小菅で見かけた案里氏の左手薬指には指輪はなかった。しかし、案里氏が拘置所を訪ねる理由は、克行被告との面会以外にはありえないだろう。
本誌は9月上旬にも東京拘置所を後にする彼女の姿を目撃している。その日はピンヒールを履き、「FENDI」の水色のバッグを持っていた。まるでデートのようなファッションだった。
「宮崎県の実家に帰ったかと思いましたが、東京に留まり、定期的に克行被告の面会に訪れているようです」(同前)
面会所を出た案里氏に声をかけた。
――克行氏との面会でしょうか?
「…………」
案里氏はどんな質問にも、わずかに笑みを浮かべて無回答。唯一、離婚について聞いたときにだけ、無表情に変わった。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう指摘する。
「自民党総裁選では、どの立候補者も河井夫妻の買収事件の真相解明について消極的です。安倍晋三前総理、菅義偉総理からもほとんど説明がなされていない。しかし、衆議院選挙の前に党本部から提供された1億5000万円の経緯と使途が明らかにされなければ、有権者からの信頼は戻ってきません」
国会議員ではなくなった河井夫妻が国民のためにできる最後の仕事は、すべてを明るみに出すことだろう――。
『FRIDAY』2021年10月1日号より
- 撮影:西 圭介