「河野は危ない…」安倍前総理が恐れる自民リベラル派の大復活 | FRIDAYデジタル

「河野は危ない…」安倍前総理が恐れる自民リベラル派の大復活

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いつからこの絵を描いていたのだろうか…(写真・AFLO)

新型コロナウイルスの影響で数々の祭事が延期や中止、規模縮小を余儀なくされる中、別世界のような闘いがヒートアップしている。数々のドラマを生み出してきた自民党総裁選である。連日メディアが取り上げる日本最高峰の権力闘争は、新総裁が選出される9月29日まで「お祭り」状態が続く。その熱気の裏にあるキングメーカーたちの深謀遠慮は小説よりも奇なり、である。

3Aか、2FSか―。報道各社の世論調査はほぼ同じ傾向がみられる。発信力があり、国民の人気も高い河野太郎ワクチン担当相がトップを走り、2位につけるのは安定感を見せる岸田文雄前政調会長。次いで保守派を代表する高市早苗元総務相、4位はリベラル系の野田聖子幹事長代行である。

同じ政党というコップの中の争いとはいえ、思想信条や政策などバラエティーに富むコンテンツは、国政選挙の党首討論よりも面白い。

党員・党友票を含めた1回目の投票で河野氏は総票数の過半数を獲得することはできず、決選投票で「2位・3位連合」に敗れる―との予想もメディアの「統一見解」になっており、これがまた「闘い好き」の政治記者たちを右へ左へ走らせる要因となっている。

総理大臣となる新総裁の人柄や政策に関心が集まるのは健全ではあるが、その表舞台と並行して算盤を弾くキングメーカーの「裏舞台」も注目しなければならない。

安倍が高市支持を表明した本当の狙い

政治的影響力の温存を狙い不出馬を決めた菅首相(S)は自身に近い河野氏を支持。現首相と歩調を合わせる二階俊博幹事長(2F)も「反・岸田」で一致する。これに国民的人気の高い小泉進次郎環境相、石破茂元幹事長が加わり、河野氏は国会議員票でも上位に食い込む。一方の岸田氏は岸田派に加え、麻生太郎副総理(A)が率いる麻生派の甘利明元経済再生相(A)などベテランからの支持が高い。

歴代最長の5年超も幹事長を務める二階氏の影響力を排除するため、党役員任期を「1期1年、連続3期まで」とする党改革案を掲げるなど「反・二階」票を狙う。

本来ならば、この2氏による総裁選では面白みに欠けたはずだった。しかし、当初は「泡沫候補」とみられた高市氏に安倍晋三元首相(A)が全面支援を表明したことで構図は一変した。最大派閥・細田派に影響力を持ち、他の保守政治家にも参戦を呼びかけた安倍氏の存在を背景に、高市氏は議員票を積み上げて猛追しているのだ。

ただ、盟友関係の麻生氏は「反・二階」では一致するものの、河野氏か岸田氏を「基本的に支持」とする方向性を派閥でまとめ、タカ派色の強い高市氏サイドとは一定の距離を置いた。

ここに大きな謎が残る。安倍氏が盟友・麻生氏との共同戦線を捨ててまで、「高市支持」を掲げたワケは何だったのか。

安倍最大の懸念

保守派が嫌う女系天皇容認や脱原発の主張から「河野は危ない…」と漏らす安倍氏がいま懸念してるのが、自民党内の「保守派対リベラル派」の争いが激化することだ。

いま、安倍氏の頭のなかでは2007年の記憶がよみがえっている。保守色の強い第1次安倍政権が倒れた後、次の福田康夫政権でリベラル勢力が台頭。「保守派は脆かった」と悔しがり、その後辛酸をなめた仲間たちを見てきた安倍氏は、河野氏が圧勝し、再びリベラル色が強まることを恐れている。ハト派といわれる岸田氏を「3A」で引き寄せているのも、リベラル派の分断を狙ったものなのだ。

結論を先にいえば、すでに安倍氏の「負け」はない。総裁選で河野・岸田のいずれかが選ばれたとしても、保守派を代表した高市氏が1回目の投票で3位を獲得すれば、その数を背景に党運営で保守派の存在感を示すことができる。高市氏が河野氏に次いで2位となれば、決選投票で岸田氏サイドに協力を呼びかけて「高市総裁」を誕生させ、2012年からの「アベ支配」の維持が可能となる。安倍氏の戦略に「負け」はないのだ。

「石破化」という病

総選挙を間近に控える中での菅内閣の支持率急落で、議員バッヂを失いたくない国会議員は焦燥感にかられていたが、総裁選を機に政党支持率が回復した今、自民党所属議員の脳裏に浮かぶのは「冷や飯」への恐怖心だ。安倍氏が政敵とみなして攻撃し続けた石破氏の冷遇状態が思い出され、投票先を悩む議員も少なくない(あのとき徹底的に石破氏を冷遇した伏線がここにつながると、本人も考えていたのかどうかは謎であるが)。

いま、自民党を支配する「ご飯論法」ならぬ「冷や飯論法」で今回の総裁選を整理してみれば、①「河野氏勝利なら安倍氏が冷や飯」②「岸田氏勝利なら二階氏が冷や飯」③「高市氏勝利なら麻生氏、二階氏が冷や飯」……という構図になる。河野氏が1回目の投票で圧勝するようなフィーバーを起こさない限り、安倍氏の影響力は維持・拡大される。

では、政界随一の政局観を持つといわれる二階氏は次の一手をいかに打つのか。

「今はじっとしておくしかないだろうな…」

こう漏らしているという二階氏の視線が、「総裁選後」にある点は安倍氏と変わりない。だが、安倍氏が保守派とリベラル派のパワーバランスを重視するのに対し、二階氏は「パワー」そのものに重きを置く。新総裁に誰が就こうとも勢力拡大に走るだろう。再評価の声もあがる菅首相グループとの「合流」をはじめ、リベラル派の結集に動けば、次期衆院選後に「最大派閥」に君臨する可能性もゼロではない。

令和初の「政」は、コロナ禍でも激しさを増すばかりである。

  • 小倉健一

    イトモス研究所所長

  • 写真AFLO

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