主犯格の1人は国外逃走中! 地面師逮捕を巡る警視庁の厳しい戦い

積水ハウスから55億円搾取

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事件の舞台となった東京・西五反田の元旅館「海喜館」。もう何年も営業しておらず「怪奇館」と呼ばれる

「警視庁の捜査2課には、地面師専門の班があります。しかし、積水ハウス事件が発覚した時、別の地面師事件にかかりきりになっていて、始動するまでに時間がかかった。家宅捜索や関係者の話を聞いて周辺捜査をしている間に、主犯格の犯人たちは『そろそろガラ(身柄)を取られる』と察知して逃げたのではないでしょうか」(犯罪ジャーナリスト・小川泰平氏)

所有者に成りすまし土地を売却する地面師グループに積水ハウスが約55億5000万円を騙し取られた事件で、警視庁は十数人の逮捕状をとり、うち9人を逮捕した。しかし、依然として主犯格とされるカミンスカス操容疑者(58)はフィリピンに出国したまま逃走中だ。

地面師メンバーが逮捕される直前に本誌がインタビューし、「逮捕するならすればいい」とうそぶいた「地面師の親玉」こと会社役員のX容疑者(63)も、その後所在がわからなくなっている。

「逮捕は覚悟しているでしょうが、先に逮捕された者たちの勾留期限の20日間は逃げ続けるつもりではないか。期限後に出る起訴状を見れば、逮捕者が何を警察に喋ったのかがわかり、その後の対策が立てられますから」(小川氏)

詐欺師はそこまで計算しつくしているのだ。騙し取られた巨額のカネを積水ハウスは取り戻せるのか。地面師に詳しいノンフィクション作家・森功氏は話す。

「今までのケースでみると、戻ってきたことはありません。彼らの強みはそこで、詐取したカネを隠したり使い込んだりしています。カミンスカスもフィリピンパブで豪遊していました。彼らは有罪になってもさほど気にしない。懲役さえ務めれば、巨額のカネが手に入ると思っていますから」

また、到底納得できない話だが、逮捕された全員が有罪になるとは限らない。起訴されないケースも多いのだ。

「”成りすまし”は文書偽造として立件できますが、それを詐欺事件として摘発できるかというと、簡単ではありません。計画立案した首謀者と”成りすまし”の指揮系統を証明するのが難しいのです」(森氏)

周到な計画と複雑な組織、関係する人間の多さなど、どれをとっても真相解明を妨げる。その上、仲介人などごく普通の人間も関わるから、立証はさらに困難になる。捜査は今後どう進んでいくのか。

「カミンスカスは1ヵ月フィリピンに滞在できますが、オーバーステイで強制送還されれば、日本の領空に入った時点で逮捕状を執行することになります。カネが潤沢であれば、すでに他の国に移動している可能性もあります」(小川氏)

警視庁は厳しい戦いを強いられているのだ。

10月13日にフィリピンに逃亡したカミンスカス操容疑者。まだ日本には帰国していない
地面師逮捕前日に本誌の取材に答えたX容疑者。主犯格のひとりと目されている

PHOTO:田中俊勝(X容疑者)

Photo Gallary3

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