<p>2021年も、残り３カ月。新規感染者数は減ってきたものの、いまだコロナ禍のただ中であり、映画業界においても厳しい状況は続く。ただそんななかでも、いくつか明るい材料はある。</p>
<p>『トップガン マーヴェリック』ほかいくつかの作品の公開延期は発生したものの、『ワイルド・スピード／ジェットブレイク』『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』『シャン・チー／テン・リングスの伝説』等、夏ごろから洋画大作がコンスタントに公開され始めたのだ。</p>
<p>これぞエンタメ！な贅（ぜい）を尽くした上映体験は、やはり格別。ハリウッド大作を劇場の大スクリーンで思いっきり楽しめる日の“帰還”を願いつつ……。今回は、2021年に公開予定の洋画大作を10本ピックアップして紹介する。</p>
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<h3>〈１〉『007／ノー・タイム・トゥ・ダイ 』（10月１日より公開中）</h3>
<figure id="attachment_207960" aria-describedby="caption-attachment-207960" style="width: 5412px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4c901e7b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2021/10/71428fa0f9bb5d31a9592a6fe53428fe.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-207960" class="wp-caption-text">『007／ノー・タイム・トゥ・ダイ 』10月１日より公開中　© 2021 DANJAQ, LLC AND MGM. ALL RIGHTS RESERVED.</figcaption></figure>
<p>2020年、第１回目の緊急事態宣言のあおりをもろに食らってしまった大作といえば、本作。約１年半の公開延期を乗り越えて、ついに劇場公開を迎えた。『007 カジノ・ロワイヤル』（06）から主人公ジェームズ・ボンドを演じてきたダニエル・クレイグは、本作をもって卒業。公開を待ち続けたファンにとっては、感慨もひとしおだろう。</p>
<p>本作は、現役を退き隠遁生活を送っていたボンドが再び任務に駆り出されるという物語になっており、おなじみのメンバーが集結。新キャラクターも非常に豪華で、『ボヘミアン・ラプソディ』でオスカーに輝いたラミ・マレックが敵役に扮する（しかもなぜか日本の能面を装着している）ことも大いに話題を集めている。</p>
<p>なお、本作の上映時間は大ボリュームの164分。イタリアの市街で繰り広げられる超危険なバイク＆カーアクション、世界各地で行われる潜入ミッションにスタイリッシュな銃撃戦、リアルな肉弾戦まで網羅。ボンドの恋人マドレーヌ（レア・セドゥ）の過去の秘密が描かれるミステリー要素と美しい愛の物語を絡めた、シリーズの総決算的なストーリーが展開。爆破に巻き込まれたボンドの状態を音響でも表す演出など、様々な面で趣向が凝らしてあり、極上の映画体験となることだろう。</p>
<h3>〈２〉『DUNE/デューン 砂の惑星』（10月15日公開）</h3>
<figure id="attachment_207962" aria-describedby="caption-attachment-207962" style="width: 3500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c6e4d961"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2021/10/6b7d91c056c9edeefbaaa232a84ff63a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-207962" class="wp-caption-text">『DUNE/デューン 砂の惑星』10月15（金）全国公開　【配給】ワーナー・ブラザース映画　©2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved</figcaption></figure>
<p>名だたる巨匠が取り組むも、満足いく形で映画化は叶わなかった伝説のSF小説シリーズが、『メッセージ』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の手で完全映画化。既に欧州諸国や映画祭で公開され、高評価＆大ヒットを記録している。</p>
<p>本作は、四方が砂に覆われた惑星を舞台に、宇宙の命運を託された主人公が覚醒していく過程を描いた壮大な叙事詩。CGを極力用いないロケ撮影にこだわり、衣装やメカデザイン、クリーチャーの造形等々、洗練された様式美が光る「どこを切っても芸術的」な作品に仕上がっている。臨場感あふれる立体音響や『インターステラー』等で知られる作曲家ハンス・ジマーのソリッドな音楽も含めて、まさに劇場で観るにふさわしい1本だ。</p>
<p>主人公ポールに扮するのは、『君の名前で僕を呼んで』で日本でも大ブレイクを果たしたティモシー・シャラメ。彼の代表作になるであろう、異次元の存在感を発揮している。</p>
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<h3>〈３〉『エターナルズ』（11月3日公開）</h3>
<p>アイアンマンやキャプテン・アメリカの活躍を描いたMCU（マーベル・シネマティック・ユニバース）の新作であり、これまでの作品とは大きく毛色の異なる「神話」的なエッセンスが漂う一本。</p>
<p>7000年もの間人類を見守ってきた存在「エターナルズ」が、地球滅亡まであと7日間という未曽有の危機に立ち上がるという物語。監督はアカデミー賞受賞作『ノマドランド』のクロエ・ジャオ、出演者はアンジェリーナ・ジョリーをはじめとする各国の多彩な面々。スタッフ、キャストの面から見ても、MCU作品の中では異質なものといえそうだ。</p>
<p>ただ、MCUは全ての作品がつながっているため、一度“沼”にハマったら抜け出すことは困難。『アベンジャーズ／エンドゲーム』以降に発表された作品はテイストも内容も挑戦的なものが続いており、どのような新しさをもたらすのか、ファンにおいては気になって仕方がないことだろう。「『アベンジャーズ／エンドゲーム』は、始まりに過ぎない」というキャッチコピーも、期待感をあおる。</p>
<h3>〈４〉『ヴェノム：レット・ゼア・ビー・カーネイジ』（12月３日公開）</h3>
<figure id="attachment_207954" aria-describedby="caption-attachment-207954" style="width: 2000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a234a095"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2021/10/4f6fa4984a096b13c14242f92e66138a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-207954" class="wp-caption-text">『ヴェノム：レット・ゼア・ビー・カーネイジ』2021年12月３日全国ロードショー　©2021 CTMG. © &amp; ™ 2021 MARVEL. All Rights Reserved.</figcaption></figure>
<p>前作がヒットを飛ばし、日本国内でも多くの二次創作が作られるなど大いに受け入れられた快作の続編。スパイダーマンの敵役として知られるヴェノムを主人公にしたスピンオフ作であり、記者のエディ（トム・ハーディ）と彼を宿主とするヴェノムのコンビが、連続殺人犯クレタス（ウディ・ハレルソン）と融合した知的生命体カーネイジとの対決に挑むストーリーとなりそうだ。</p>
<p>前作『ヴェノム』でも大いにウケた凸凹コンビの掛け合いと、ちょいグロな戦闘シーン（相手を食べる）が、どう進化しているのかが大きな見どころといえるだろう。そしてまたファンにおいては、トム・ホランド版『スパイダーマン』とつながってくれるのではないか……という妄想も膨らむところだ。</p>
<h3>〈５〉『ウエスト・サイド・ストーリー』（12月10日公開）</h3>
<p>スティーヴン・スピルバーグ監督が、世界的に有名なミュージカルを映画化。1961年の映画『ウエスト・サイド物語』で本作を知った方も多いことだろう（ちなみに、本作には61年版の映画でアカデミー賞助演女優賞に輝いたリタ・モレノも出演しているそう）。</p>
<p>先日公開された予告編では、対立するグループ間の抗争と惹かれ合う男女の恋愛模様が、カラフルな色彩やゴージャスなダンスシーンと共に描かれていた。</p>
<p>『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト・ショーマン』のヒットで日本でも幅広い年代におけるミュージカル映画ブームが到来したが、巨匠スピルバーグ監督×往年の名ミュージカルは、どれほどの旋風を巻き起こすのだろうか。</p>
<h3>〈６〉『キングスマン　ファースト・エージェント』（12月24日公開）</h3>
<p>こちらも、ファンが首を長くして待ち続けている作品。一大ブームとなった『キングスマン』のエピソード・ゼロを描く物語となる。物語の舞台は、1914年。世界大戦を終わらせるべく、英国貴族とその息子が奔走する。スパイ組織「キングスマン」の誕生秘話が明かされるという。</p>
<p>どのようにしてキングスマンが出来上がったのか、そのビハインドストーリーも気になるところだが、本シリーズの売りである過激アクションも楽しめそう。予告編では、あのラスプーチンが「ロシアに送り込まれた刺客」という設定で、アクロバティックなアクションを披露している。</p>
<h3>〈７〉『マトリックス レザレクションズ』（12月公開）</h3>
<figure id="attachment_207951" aria-describedby="caption-attachment-207951" style="width: 1979px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="27c985bb"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2021/10/4454ab19708b30494bb54a2a270d2e1e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-207951" class="wp-caption-text">『マトリックス レザレクションズ』2021年12月、全世界公開　©2021 WARNER BROS. ALL RIGHTS RESERVED</figcaption></figure>
<p>９月に映像が世界一斉解禁されるや、熱狂を呼び起こしたシリーズ最新作。『マトリックス』3部作は2003年に完結しており、まさか新作が観られるとは！と驚いた方も多かったのではないか。</p>
<p>「映像革命」の名にふさわしい技術革新をもたらした本シリーズだが、最新作の詳細なあらすじはまだ明かされていない。前述の映像では、第１作を彷彿させる物語が展開しそうで、ファンの間では考察や予想が飛び交っている。『マトリックス』の後に『ジョン・ウィック』シリーズでさらなるファンを獲得したキアヌ・リーブスは、本作でどんな姿を見せてくれるのだろうか？　楽しみに待ちたいところだ。</p>
<h3>〈８〉『ラストナイト・イン・ソーホー』（12月公開）</h3>
<figure id="attachment_207948" aria-describedby="caption-attachment-207948" style="width: 2000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e0b6f746"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2021/10/2304243073edcba594a0efc6490fe043.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-207948" class="wp-caption-text">『ラストナイト・イン・ソーホー』12 月、TOHO シネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国公開　配給：パルコ ユニバーサル映画　© 2021 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED</figcaption></figure>
<p>『ベイビー・ドライバー』でスマッシュヒットを飛ばしたエドガー・ライト監督が、往年のホラーやスリラーへの愛情をたっぷりと盛り込んだ1作。『ジョジョ・ラビット』のトーマシン・マッケンジー、Netflixドラマ『クイーンズ・ギャンビット』のアニャ・テイラー・ジョイという若手注目株が共演を果たした。</p>
<p>ロンドンのデザイン学校に入学した女性は、夢の中で60年代にタイムスリップ。歌手を夢見る女性と出会い、シンクロしていくなかで現実にも奇妙な異変が生じ始める……といったストーリーだ。</p>
<p>ネオンカラーが印象的なデザイン性あふれる画作りに、観る者を戦慄させるサイコなテイストのホラー。ツボを押さえた作品になっていることだろう。</p>
<h3>〈９〉『ゴーストバスターズ／アフターライフ』（年内公開）</h3>
<p><a href="#" data-ident_hash="caa0682a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2021/10/926d7f83cc8a398795bdbedd4ec71efa.jpg" alt=""></a></p>
<p>2016年には女性版も作られた『ゴーストバスターズ』シリーズ。今度の新作は、例えるなら「孫版」！　30年の時を経て、ニューヨークで封印されたはずのゴーストたちが田舎町で復活。ゴーストバスターズのメンバーの孫たちがゴースト退治に乗り出すのだ。</p>
<p>1984年の『ゴーストバスターズ』、89年の『ゴーストバスターズ2』に続く「正統続編」に位置付けられた本作では、監督も次世代にバトンタッチ。前2作を手掛けたアイヴァン・ライトマン監督に代わり、なんと息子のジェイソン・ライトマン監督がメガホンをとる。なかなかにシビれる“継承”ではないか。</p>
<h3>〈10〉『スパイダーマン：ノー・ウェイ・ホーム』（年内公開に期待を込めて……）</h3>
<figure style="width: 2000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9ac908ee"><img src="https://gsjebzejhjubm-res.cloudinary.com/image/private/s--KR7vVRai--/t_article_image/v1632897301/%E5%A0%B4%E9%9D%A2%E5%86%99%E7%9C%9F1_%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3NWH_domestic_1_stills_for_print_38_2000x1054_thumbnail_a178wk.jpg" alt=""></a><figcaption class="wp-caption-text">『スパイダーマン：ノー・ウェイ・ホーム』COMING SOON</figcaption></figure>
<p>最後に紹介するのは、トム・ホランド版『スパイダーマン』新作。日本公開はまだ発表されていないが、全米公開が12月17日であり、世界各国がその近辺で公開予定であると考えると、日本も年内に封切られるのではないか……という仄かな期待を込めて、紹介させていただきたい。</p>
<p>先日予告編が公開され、Twitterのトレンド入りを果たしたことからもわかるように、最大級の注目作。というのも本作、トビー・マグワイアが主演した過去の『スパイダーマン』作品に登場したキャラクターまでもが登場しているのだ。</p>
<p>MCUでは今後「マルチバース（多元宇宙）」がテーマとなり、様々な夢のコラボレーションが生まれていくことが示唆されている（いくつかの作品で実験済み）が、本作でいよいよ本格的に導入してきた格好だ。アメコミ映画好きにはたまらない、空前のお祭り企画になる可能性は十分。今後の情報解禁にも、注目していきたいところだ。</p>
<h3>2022年も注目作が続々公開！</h3>
<figure id="attachment_208508" aria-describedby="caption-attachment-208508" style="width: 6240px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e60a57e2"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2021/10/89e99e7a65fdb7dc89d1a392a627a897.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-208508" class="wp-caption-text">クリント・イーストウッド監督・主演の最新作『クライ・マッチョ』１月14日公開　©2021 2021 Warner Bros.Ent</figcaption></figure>
<p>今回挙げた10作品の他にも、2021年末には気になる新作が盛りだくさん。また、2022年にはクリント・イーストウッド監督・主演作の『クライ・マッチョ』（１月14日公開）、『ハウス・オブ・グッチ』 （１月14日公開）などの洋画大作が控えており、今後更に多くの作品の日本公開が発表されていくことだろう。</p>
<p>10月１日から緊急事態宣言が明け、収容率100％＆レイトショーが復活した劇場も。いま劇場で観られる作品に感謝しつつ、一刻も早くコロナ禍が終息し、心置きなく映画にどっぷり浸かれる日を待ちたい。</p>
<figure id="attachment_208509" aria-describedby="caption-attachment-208509" style="width: 2400px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="968c41bf"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2021/10/ea27a3e04aa437b81981eda72e0c2fb6.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-208509" class="wp-caption-text">「GUCCI」創業家一族の崩壊を描いた『ハウス・オブ・グッチ』（主演：レディー・ガガ、監督：リドリー・スコット）１月14日公開　© 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.</figcaption></figure>


映画ライター。1987年福井県生。東京学芸大学にて映像・演劇表現について学ぶ。大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション勤務を経て映画ライターへ。現在まで、インタビュー、レビュー記事、ニュース記事、コラム、イベントレポート、推薦コメント等幅広く手がける。

2021年も残り３カ月。コロナ禍のただ中だが、これぞエンタメ！な大作洋画が10月から年末にかけて続々公開される。『007』『DUNE』『エターナルズ』『ヴェノム』『マトリックス』など、注目作の見所とは

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