ラグビー松島幸太朗がフランスで戦うために買った「100均商品」 | FRIDAYデジタル

ラグビー松島幸太朗がフランスで戦うために買った「100均商品」

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6月26日、ブリティッシュライオンズ戦。松島幸太朗は相手のスコットランド代表の成長株、ファン・デル・メルヴァを抜き去った(写真:アフロ)
6月26日、ブリティッシュライオンズ戦。松島幸太朗は相手のスコットランド代表の成長株、ファン・デル・メルヴァを抜き去った(写真:アフロ)

2年前、日本で開催されたラグビーワールドカップ(W杯)の開幕戦でハットトリックを達成し「フェラーリ」と称されたWTB/FB松島幸太朗は10月の日本代表活動のメンバーから外れた。

7月のアイルランド代表との世界的強豪との対戦で右足首などを負傷した影響もあり、その調整や試合復帰までのプロセスを重視。11月に欧州で3試合のテストマッチを控えて、現地で日本代表に合流する見込みだ。昨夏からフランスリーグ「TOP14」の強豪の一つクレルモン・オーヴェルニュ(クレルモン)に在籍する、ラグビー界唯一の「海外組」は、ピッチ外でも楽しみを見つけていた。

欧州から久々に日本に帰国した松島は「ラグビーから完全に離れることができたのは久しぶりだった。ケガをしましたが結果的にそれがよかったのかな」と振り返ったように、今夏のオフでは6~7週間、日本ではまったくボールを触らずリフレッシュした。

現役を引退し医学部に進学した福岡堅樹や、かねてから友人関係にあるボクシング世界王者・井上尚弥と会うだけでなく、「世界を知る松島幸太朗が、どんな環境にもフィットする機能性だけでなく常に身につけていたいアイテムをゼロからセルフ・プロデュース」したという「MK」という自身の洋服ブランドも立ち上げた。

海外でのプレー経験が長く体重管理をしっかりしており、自炊することもある松島は、パスタを電子レンジでチンして茹でることができる器具を購入してフランスに持ち込んでいた。

「日本の100均で、レンジに入れるとパスタがすぐにできるような簡単調理器具を買って持って行きました。フライパンを洗うのが面倒臭いので、もっと簡単なものがいいかなと思って」(松島)

クレルモンの15番を背負い、昨季は27試合11トライを挙げるなど中軸としてプレーし、チームの欧州カップ戦のベスト8に貢献、日本人選手として初めて欧州最優秀選手にノミネートされる快挙も達成した。

「27試合も出るとは思っていなかった。20試合は出ようと思っていたのでいい経験になっています。最初はフィジカルで苦労しましたが何試合もやっていくということでフィジカルの差が縮まってきた」

松島は、昨季、日本のトップリーグよりフィジカルレベルが高いフランスリーグに対応するために「相手に耐えられるように体を作った結果、自然と体が大きくなっていた」と体重を6~7kg増やして88kgほどまでビルドアップ。上半身は明らかに一回り大きくなっていた。しかし、武器であるスピードとフィジカルとバランスを考えて、現在は85kgをキープしているという。

ただ日本代表戦で左膝や右足首など負傷し、その影響で少し出遅れたものの9月18日の第3節・ラ・ロシェル戦で15番を背負って、今季、初出場を果たし23-22の勝利に寄与した。松島は「ケガした場所がまだ100%ではなく少し痛みもありますが、チームは2連敗していることもあり、割と早いタイミングで出場しました。1年間やってきたので余裕はあります。まずはホームで勝利することができホッとしています!」と安堵の表情を見せた。

昨季、コロナ禍の影響で家と練習場の往復で「クレルモンの街を堪能していない」と話していたが、現在、マスクをしていない人も多く、レストランなども普通にオープンしているという。

今季のフランスリーグは昨季と違い、開幕戦から観客を入れて試合を行っており、「イエローアーミー」と称される熱狂的な15971人のファンが集ったホーム試合に出場した松島は「久しぶりに声が通らない、ファンが沢山はいっている試合をしました。いるのといないのとでは全然違う印象を受けましたし、きついときに声援があるとすごく後押しになりますね!」と声を弾ませた。

9月26日、フランスのリーグ戦トップ14のトゥールーズ戦でフランス代表ヌタマックに強烈なタックルを浴びせる松島(右、写真:アフロ)
9月26日、フランスのリーグ戦トップ14のトゥールーズ戦でフランス代表ヌタマックに強烈なタックルを浴びせる松島(右、写真:アフロ)

2シーズン目となったフランスリーグの挑戦に向けて、松島は「チームとしては優勝が目標です。個人としては昨季よりラインブレイクの数を増やしていきたい」と腕を撫した。

松島以外の日本代表選手が海外でプレーしていない現状に関して「強い相手とやっていれば慣れもありますし、こういう選手はこういう特徴があるということがわかってくる。そういう経験も必要だと思います。海外でプレーしたいと感じている選手も多いと思いますが、今は、タイミングやコロナのこともあってうまくいかないかもしれません。海外でプレーすることがすべてではないですが、経験は日本代表にとってもプラスになるので、それが難しいのであれば、もう少しテストマッチを増やせていけたら」と話した。

10月23日、大分で日本代表は世界的強豪の一つオーストラリア代表を迎え撃つが、松島は出場せず、代表チーム側も松島の合流は渡欧してからを予定している。松島は「あんまり日本代表のことは気にしていない。まずは自分の感覚を取り戻し、こっち(フランス)でいいプレーをすれば日本代表に選ばれると思う」と目の前の試合に集中している。

2023年ワールドカップは、くしくも松島がプレーするフランスで行われる。「マツ」の輝きが増せば増すほど、ベスト4以上を狙うラグビー日本代表にとっても大きなプラスとなる。

  • 取材・文斉藤健仁

    1975年生まれ。ラグビー、サッカーを中心に、雑誌やWEBで取材、執筆するスポーツライター。「DAZN」のラグビー中継の解説も務める。W杯は2019年大会まで5大会連続現地で取材。エディ・ジョーンズ監督率いた前回の日本代表戦は全57試合を取材した。近著に『ラグビー語辞典』(誠文堂新光社)、『ラグビー観戦入門』(海竜社)がある。自身も高校時代、タックルが得意なFBとしてプレー

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