リーガルV、相棒、SUITS…秋ドラマ「視聴率戦争」勝利の法則 | FRIDAYデジタル

リーガルV、相棒、SUITS…秋ドラマ「視聴率戦争」勝利の法則

注目ドラマに思わぬ伏兵、秋ドラマの勝者はいったいどのドラマか!?

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上写真は『大恋愛』ロケに臨むムロ(左)と戸田。下は今クールの視聴率ランキングで首位を快走する『リーガルV』の面々。左から菜々緒、向井理、米倉
上写真は『大恋愛』ロケに臨むムロ(左)と戸田。下は今クールの視聴率ランキングで首位を快走する『リーガルV』の面々。左から菜々緒、向井理、米倉

『東京ラブストーリー』の織田裕二(50)&鈴木保奈美(52)コンビを27年ぶりに甦(よみがえ)らせた。バラエティ番組『FNS番組対抗オールスター秋の祭典』に織田を出演させて、坂上忍にイジらせたりもした。主題歌はB`z。しかもアメリカで大ヒットしたドラマのリメイク――。フジテレビが、なりふり構わずホームランを打ちに行った『SUITS』は、初回視聴率14.2%と好スタートを切った。

「織田のギャラは1話につき300万円だとか。一部で鈴木のギャラも300万円だと報じられましたが、実際は150万円前後だと聞いています。加えて、人気作のリメイクだけに使用権料もケタ違い。とにかくカネがかかっている。制作費から採算分岐点は13.5%と算出していますが、そこは何とかクリアできました」(大手広告代理店テレビ局担当・A氏)

織田の役どころは、超優秀だが自信家でイケ好かない弁護士。織田の相棒役を『Hey! Say! JUMP』の中島裕翔(25)が演じる。

「オープニング映像の最後、織田と中島の後ろ姿から二人のアップになるシーンなど、かなり原作に寄せてきているからアメリカ版『SUITS』ファンも楽しめると思います。織田と保奈美のわざとらしくバタくさい演技も『これはアメリカドラマなんだ!』と思えば違和感はない。織田が『What!?』と言ったときは、さすがに”やりすぎだ”と笑いましたが」(ドラマウォッチャーの吉井和美氏)

問題は「ストーリーのテンポが悪かったうえ、事件のオチが偶然に頼りすぎている」(ライターの大山くまお氏)こと。

原作のシーズン1に沿って物語は進んでいるが、「このペースで行くと、シーズン1を消化しきれずに最終回を迎える可能性もある」(吉井氏)という。

第2話で視聴率は急落(11.1%)したが、その後、なんとかフタケタをキープ。救世主となっているのが織田のライバル役を演じる小手伸也(44)だという。

「小手のギャラは1話につき35万円と織田の9分の1程度ですが、少ない出演シーンの中で、必ず印象を残していく。演技のインパクトが強く、ネット上でバズってます」(放送作家)

他の注目作も分析していこう。

有村架純がキス、キス、キス

20年近い下積みを経て昨年、ようやくトップ俳優の仲間入りを果たした高橋一生(37)は『僕らは奇跡でできている』(フジ系)で真価を問われている。

「高橋演じるマイペースで変わり者の動物行動学者の姿を描くドラマ。殺人も起こらず、激しい恋愛もない、穏やかな作品です。一方で、あくせく金儲けや自己承認欲求に振り回される現代人の価値観を揺さぶる作品でもあります。静かな展開が続くので、飽きっぽい人、テレビの前にじっと座っていられない人には向かないと思います。非常に野心的なドラマといっていいでしょう」(大山氏)

初回視聴率は7.6%。「キャスティングが地味。2番手が榮倉奈々では心もとない」(制作会社スタッフ)などと、さっそく心配の声が上がっている。

だが、ドラマのメイン視聴者である主婦層には刺さっているようだ。

「私は、『人とはちょっと違う人』を演じてこそ、高橋一生は活(い)きると思ってます。今回、彼が演じる『いま興味があること以外に目が向かない人』はハマり役。社会では生きづらい個性だけど、彼の常識や固定観念に捉われない言動が周りにいる人の心を動かす――演出によっては暗くてツラい話になるはずが、『僕の生きる道』シリーズの橋部敦子が爽やかに楽しく描いている」(吉井氏)

視聴率の後伸びがありそうだ。

主役頼みのキャスティングといえば、『中学聖日記』(TBS系)はヒロイン、有村架純(25)で勝負をかけたが、大手広告代理店テレビ局担当のA氏は「初回視聴率が6.0%と危険水域」だと言う。

「主演の有村をフル稼働させてパブを打つなど話題性はトップクラス。TBSは悪くてもフタケタは取れると目論んでいただけにショックを隠せないでいる」

可憐な女教師の有村が中学生男子と恋に落ちるというストーリーはTBSの往年の大ヒット作『高校教師』を彷彿(ほうふつ)させる。しかし、意外や、「大人の女性と中学生の男子との恋愛は気持ち悪い」という拒否反応が上回った形だ。

「キスシーンのリハーサルは”寸止め”するのが普通なんですが、有村は何度も唇を重ねているそうです。彼女の鬼気迫る様子を見て、現場の雰囲気がグッと引き締まっているんだとか」(A氏)

有村の決意は視聴者の心を掴むか!?

今クールも数多(あまた)の俳優たちが番宣に尽力したが、最も話題を集めたのが『獣になれない私たち』(日本テレビ系)の新垣結衣(30)だ。情報番組『スッキリ』に出演したガッキー、「演出家・浅利慶太の羞恥心をなくすための演技指導とは?」というクイズに、なんと「人前でうんこー! と叫ぶ」と答えたのだ。

「『けもなれ』は、新垣と松田龍平の”ラブかもしれないストーリー”ということで、明るく楽しい恋愛ものを期待した視聴者が多かったのですが、第1話はガッキーが職場でパワハラとセクハラの波状攻撃に遭って自殺が頭をよぎる――という非常に重いもので、視聴者はひたすら戸惑うことに……」(大山氏)

それでもうんこ発言の甲斐あって(?)、初回視聴率は11.5%とまずまず。

「2話目でガッキーが田中圭との馴れ初めを回想するシーンがあって、それが女心をくすぐるデキ栄えで……二人のキスシーンに思わずキャーと声が出そうになりました。このシーンを観てから、元カノを自宅に住まわす田中へのイライラが激増。気付いたらすっかりガッキーに感情移入していましたよ。『選べない奴は選ぶ気がないんだ』なんて名言もサラッと出てくるし、さすがは『逃げるは恥だが役に立つ』や『アンナチュラル』を手掛けた野木亜紀子の脚本です」(吉井氏)

序盤は視聴者が戸惑うも尻上がりに数字を上げた作品と言えば、前クールの『義母と娘のブルース』(TBS系)が記憶に新しい。「力のある脚本家がついている作品だから、最終的に損しないでしょう」(ドラマウォッチャーの北川昌弘氏)。

いまや、テレビ朝日のドル箱シリーズとなった『ドクターX』。「私、飽きたので」と続編に出たがらない米倉涼子(43)をテレ朝スタッフが拝み倒して始まった新シリーズが『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』だ。『ドクターX』では一匹狼だった米倉が、今度は林遣都(けんと)(27)らとチームを組んで法廷で戦う。

「初回視聴率15%は堂々の首位。2話目は18.1%と他のドラマに水をあけました。米倉の1話あたりのギャラは400万と今クール最高額ですが、潜在視聴率(単体で取れると見込まれる視聴率)も9.5%と断トツ。撮影が始まったのが暑い夏の盛り。精を付けて欲しいと米倉が差し入れたのが神田の老舗店の鰻重でした。スタッフの分もあわせて200食分! さらに驚いたことに、食べ始めるとご飯の中からまた鰻が出てきた。2段だったんですよ。1食で6500円だそうで、差し入れランクもトップ女優です」(A氏)

採算分岐点は14.5%と高めだったが、クリア。スタッフは「最低でも18%はとらなきゃダメ」だと豪語しているというが、2話目でそのハードルも乗り越えた。

一方、主演の山口紗弥加(38)をはじめ、キャストの弱さで惨敗を予想されていた『ブラックスキャンダル』(日テレ系)は初回視聴率4.3%と健闘している。

「人気女優が不倫スキャンダルをでっち上げられ、整形して芸能マネージャーになって、復讐するという芸能界の闇を描いたドラマ。整形前の女優を演じる松本まりかの、美人なのに鬼気迫る勢い、ゆるい存在感の役が多かった平岩紙の『メガネの冷血で恐ろしいチーフマネージャー』役、松井玲奈の『唯一事情を知る看板女優』役など、見どころ満載です」(北川氏)

主演の山口自身が「引退覚悟ってぐらいギリギリの攻めた内容になってる」と公言している通り、第1話では山口にトドメを刺された袴田吉彦(45)が「ア~パ~!」と叫ぶシーンが話題になった。

ムロツヨシ株が急騰

恋愛ものが目立つ秋ドラマの中で、ダークホース的存在なのが『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)だ。

「若年性アルツハイマー病を扱った難病もので、物語に目新しさはないのですが、ラブストーリーのベテラン・大石静による脚本が緻密でついつい見入ってしまいます。主役のムロツヨシと戸田恵梨香のカップルも非常に魅力的です」(大山氏)

初回視聴率は当初予想8.5%を大きく上回る10.4%。大手広告代理店テレビ局担当のA氏によれば、「数字が伸びた要因は大石の脚本とムロの起用が女性視聴者に訴求したから」だという。

吉井氏が女性目線で解説する。

「病気が発覚→病気のことを伏せたまま別れを告げる→でも、やはり別れられなくて真実を話して元サヤに――という、ありきたりなストーリーがムロによって、輝き出す。ムロは哀しい場面でクスリと笑わせてくれるんです。『アルツハイマーでも心臓病でも腎臓病でも、歯周病でも水虫でも……一緒にいたいんだ』と。ムロが恋愛ドラマの主演なんてとバカにしていましたが、認識を改めました」

スペシャルドラマから連ドラに昇格した『忘却のサチコ』(テレ東系)も無印ながら評価が高い。主演の高畑充希(26)は結婚式の日に花婿に逃げられた出版社編集者を演じる。

「”心の仏壇”を用意して、朝晩拝む高畑。そんなことをしてたら余計に忘れられなくなるはずなのに、彼を忘れるために、また彼の写真を拝んでしまう。忘れたいけど忘れられない。忘れたくないけど、忘れたい――最近のドラマはやたらとセリフで場面を説明しようとしますが、このドラマは女心の矛盾を演技だけで描く。そんな彼女が美味しいものを食べている間は彼のことを考えずにいられると知って……高畑が劇中で食べる関西風すき焼きなどのゴハンがメチャクチャおいしそうなのも魅力のひとつですね」(吉井氏)

『下町ロケット』の行方

伝統的にジャニーズ主役のドラマが放映されてきた日テレ土曜10時枠の『ドロ刑―警視庁捜査三課―』もフタケタ発進と好スタートを切った。

「やる気も正義感もないけどキレ者の若手刑事・中島健人(Sexy Zone)と、やたら面倒見のいい伝説の泥棒・遠藤憲一がバディとなって犯罪を追う……というお話。刑事と犯罪者がバディになるストーリーに新味はありませんが、『ハゲタカ』(NHK)や『コード・ブルー』(フジ系)を手がけた林宏司の脚本は安心して見ていられます」(大山氏)

大ヒットドラマの続編で阿部寛(54)、土屋太鳳(23)、竹内涼真(25)ら前作の豪華出演者に加えて、尾上菊之助(41)、イモトアヤコ(32)、古舘伊知郎(63)に落合福嗣(31)ら話題性のあるキャストを大量投入。鉄板中の鉄板と言われた『下町ロケット』(TBS系)は初回視聴率13.9%と『リーガルV』の後塵を拝した。

「とにかく登場人物が多過ぎて話も複雑。当面の問題はなんなのか、なぜ対立しているのかがわかりづらい」(北川氏)

「脚本がフワッとしている印象。細かな納得の積み上げというより、勢いで押し切っている感じがします。脚本家がこれまで池井戸作品を手がけてきた八津弘幸から丑尾健太郎に替わった影響なのかもしれません」(大山氏)

と、両氏とも脚本のマズさを指摘する。

「阿部の275万円を筆頭にギャラ100万超えの大物俳優がズラリ。今回のテーマが農業ということで大がかりな地方ロケなども行っており、制作費は他のドラマの3倍近い。採算分岐点は17.5%ですから、惨敗といっていい」(A氏)

救いは現場の雰囲気の良さだろう。

「前作の撮影時、スキンシップ好きな安田顕が竹内涼真をベタベタ触りまくっていたそうです。ところが前作のヒットを受けて竹内はスターになってしまった。安田は『もう、触れなくなるな~』とコボしていましたが、竹内は『相変わらずお触りされてます』と笑っていました」(TBS関係者)

第1話はボロクソに叩かれるも、2話は12%台に踏みとどまった。ファンはまだ見放していないようだ。

主演が弱くとも、練られた脚本やキャスティングで数字は取れる。『勝ち組』ドラマに見えたのは、そんな法則だった。

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『下町ロケット』の豪華キャスト。左から古舘、尾上、竹内、阿部、安田、真矢ミキ。神田正輝も出演している
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撮影:島颯太(1枚目写真上)、堀田咲(同下)、等々力純生、原一平(7枚目)、齋藤雅昭(8枚目)

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