「岸田政権が短命に終わるかもしれない」これだけの根拠 | FRIDAYデジタル

「岸田政権が短命に終わるかもしれない」これだけの根拠

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いまは満面の笑みを浮かべているが…(AFLO)

昨年の雪辱を果たし、ついにトップに登りつめた自民党の岸田文雄新総裁。「令和版所得倍増計画」をブチ上げ、河野太郎ワクチン担当相を1回目の投票から上回り、決選投票で撃破した瞬間は感慨深かったことだろう。

岸田氏の言動が連日メディアで取り上げられたことで、自民党の政党支持率を上向かせることにも成功した。

だが、そこに高揚感はない。それもそのはず、岸田新政権のスタートは前途多難なのである。

「一見、岸田氏はラッキーに見えるでしょ。しかし、必ずしもそうではないかもね」

こうつぶやいた自民党ベテラン議員が意味深長に解説するのは、岸田の背後に見える「二人の首相」の存在だ。1人目は、現職の菅義偉首相が終盤で見せた「送りバント」にあるという。

菅首相は、新型コロナウイルスの流行に伴い発令していた緊急事態宣言、蔓延防止等重点措置を期限の9月30日で全面解除することを決めた。一時は13万人を超えた自宅療養者は約3万人にまで減少し、飲食店での酒類提供やカラオケの再開など、鬱積していた国民の不安や不満が解消に向かうタイミングでの新リーダー誕生となる。

経済社会活動が動き出し、政権として前向きなメッセージを発信できるのは、菅政権にはなかった機会で、「置き土産」のように見える。

だが、その先の展開は多くの人々が予想するものになる可能性は高い。新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長も28日、「みんなが一気に元の生活に戻ろうとすると感染の再拡大、リバウンドが起きる蓋然性が高い」と指摘し、今秋以降の「第6波」への警戒を隠さない。

今回の総裁選では、ワクチンの推進と治療薬の開発・普及に努めるとの点は4候補とも同様だったが、岸田氏の根幹部分は「人流抑制と病床確保、医療人材の確保」という政府の従来方針にとどまっている。「数十兆円規模の経済対策」を公約し、事業者には「地域や業種を限定せず事業規模に応じた支援が必要だ」とも主張した岸田氏の舵取りが、国民の失望につながるリスクはつきまとう。

コロナとの闘いは「2~3年プラスかかる」(尾身氏)とされる中、米国は2回目の接種から半年以上を過ぎた高齢者に追加接種(ブースター)を始めると発表し、バイデン大統領も27日に接種を受けている。「第6波」到来時、国民に痛みを伴う「引き締め」を納得感の得られるタイミングで対策メニューとともに説明し、世界の「ワクチン争奪戦」でも後れをとらないような手腕を発揮できるのか。発信力不足が指摘される岸田氏を不安視する声は尽きない。

もう1人は、安倍晋三前首相の影響力である。

岸田氏の最大のライバルだった河野氏に対する包囲網を築き、岸田氏勝利に貢献したのは、党内最大派閥・細田派出身の安倍前首相であったのは衆目が一致する。

岸田氏は総裁選においては最大の後ろ盾を得た一方で、同時に「フリーハンド」を失ったのも忘れてはならない。党ナンバー2の幹事長ポストに、安倍氏に近い萩生田光一・文部科学相や甘利明・党税調会長らを要求される程度ならば優しいもので、新政権の政策全般への影響も予想される。

総裁選で保守層の獲得に躍起となった岸田氏が早晩、頭を抱えるとみられるのは対中外交だ。

中国の覇権主義、台湾海峡などの課題に「米国、豪州、欧州、インドなどの基本的価値を共有する国とともに毅然と対応していく」と主張した岸田氏は、中国の人権侵害行為の即時停止を求める決議案への賛意も表明した。人権問題を担当する首相補佐官も設置する考えだという。

だが、国際社会のうねりは険しい。9月16日に中国がTPP(環太平洋経済連携協定)への加盟を申請したのに続いて、22日には台湾も申請。台湾をめぐる状況は緊迫感を増している。TPP参加には全加盟国の同意が必要となるため、中国が参加すれば台湾はもちろん、米国の復帰も遠のく。

アジアのリーダーとして岸田氏がどのようにハンドルを切るのかは世界が注目するところだが、岸田新政権がその中で新疆ウイグル自治区や香港の問題を提起していくことができるのか否か。この点についても、安倍氏ら保守層の声を気にしながらの政権運営を余儀なくされるのは間違いない。

さて、11月に控える次期衆院選は、岸田氏が乗り越えなければならない最初の関門となる。菅政権下で実施された場合には「自民党の単独過半数割れ確実」「70議席超の議席減」とも予想されていたが、総裁選をめぐる報道が好感されて、自民党の政党支持率は復調している。

「今の時代が求めているリーダーは私なんだ」と力を込めた岸田氏だが、共同通信社が9月25、26両日実施した世論調査では岸田氏は2位の22.4%で、トップの河野氏(47.4%)にダブルスコアを許した。支持団体の影響力も働く党員票や、「永田町の論理」で動く議員票とは異なり、国政選挙でも「地味」「発信力がない」と評される党首が、国政選挙でも好感される保証はない。

仮に、新政権の「ご祝儀相場」で衆院選を無難に乗り越えたとしても、来年夏には参院選が待ち構える。衆院選での共闘効果を見極めて、野党が参院選までに体制を立て直す時間があることに加えて、世論の反動が表れる可能性は捨てきれない。

「岸田氏が派閥の『不吉なジンクス』を突破できるのかは来年の参院選次第だ」

岸田氏が率いる宏池会(岸田派)の中堅議員はこう語る。池田勇人元首相が結成した宏池会から首相が誕生するのは宮沢喜一元首相以来だが、同派から派生した派閥も含めれば麻生太郎元首相もその一人だ。共通点は政権交代を許し、自民党が下野したことにある。

総裁選で「天衣無縫」と揮毫した岸田氏が、無邪気に自然体でいられる時間は少ないかもしれない。

  • 取材・文小倉健一

    イトモス研究所所長

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