岸田新総理の妻・裕子さんが明かした「ファーストレディーの心境」
「キレイで上品で立ち振舞や話し方も素敵で、芯の強さも感じさせ、憧れます」
元SPEEDで参議院議員の今井絵理子氏は「次のファーストレディー」となる岸田裕子氏(57)をそう讃えた。
9月29日に開催された自民党総裁選は、コロナ禍ゆえに、都内ホテルの投開票所に入室できたのは国会議員や大手メディアのみ。驚くことに秘書や親族も入れなかったため、岸田文雄夫人の裕子さんは、岸田選対が陣取る部屋で投開票を見守っていた。
NHKの中継で「岸田優勢」が伝えられると、隣に座っていた岸田派の重鎮・林芳正元文部相と頷きあった。そして新総裁誕生の瞬間、林氏から祝辞を送られると、深々とお辞儀し、周囲のスタッフにも頭を下げた。プラダのハンドバッグに入ったスマホは着信音が鳴り止まないまま。慌ただしい中、裕子夫人は短いインタビューに応じてくれた。
――スマホが鳴りやみませんね。
「応援してくれた広島の皆さんからで、さっそくラインをくださってくれるのかな、と思います。ありがたいと思います」
――まもなくファーストレディーになりますが、率直なお気持ちを。
「これから一層、気を引き締めて臨んでいかないといけないと思います。主人もこれまでにない重責を担うことになりますので、私もしっかり支えたいと思います」
――いま岸田氏に何をお伝えしたいですか。
「まずはお疲れ様でした、と伝えたいと思います。重責を担っていくので家に帰ってきたときはホッとできる時間をつくってあげたい」
――今夜のお祝いのお食事は?
「先日、インスタライブで主人がお好み焼きを食べたいと言っていたので、今日はお好み焼きをつくろうと思います。広島のお好み焼きは具材を個別に焼いてひっくり返したり、うまく焼くには技術がいります。プロの方は鮮やかに作られますが、うちはうちなりに作ります、はい」
裕子氏の実家は、かつて広島県三次市で造酒業や銀行業を営んでいた名家。中学・高校は、広島市内の私立の一貫中高で、東京女子大学卒で英語も堪能といわれている。
「絵に描いたような深窓の令嬢で、大学卒業後、1986年マツダに入社。マツダでは役員秘書となり、88年、24歳でお見合い結婚。岸田さんが不在時には代わりとなってマイクも握り、政策ビラも配りながら、三人の男の子を育て上げた。岸田さんは『妻には頭が上がらない』と胸内で思い、お酒が入れば感謝の言葉を伝えられるそうです」(宏池会担当記者)
安倍晋三元総理は宏池会の政治資金パーティーなどで岸田氏を評す際、こう持ち上げる。
「岸田さんとは当選同期の仲で、彼は若い頃、非常にモテました。党本部に来れば、受付の女性たちが身を乗り出して待っていた」
岸田氏は温厚な人柄で知られる。ひけらかさないが日常会話程度の英語も話せる。新総裁就任直後から「他人の声を聞く」という言葉を繰り返し、開かれた国民政党への回帰も繰り返した。
29日、党本部で会見や会談をした後、都内ホテルで自派閥の議員と会談を行った岸田氏。その後、各社のインタビューを受け、宿舎に戻ったのは22時22分だ。
つかの間、「ホッとできる時間」を過ごせたようだ。岸田氏は9月29日の夜ツイッターでお好み焼きの写真を上げ、こうつぶやいた。
「いつも最高に美味しいけど、今日は、一生忘れられない美味しさでした。ありがとう」
10月4日召集の臨時国会冒頭で、第100代首相に指名される見通しだ。コロナ対策、経済の立て直しなど日本が抱える政策課題は山積みだ。「生半可」に取り組むのではなく、「しっかりよく焼いて出す」政治を期待したい。
- 取材・文:岩崎大輔
ライター
1973年、静岡県三島市生まれ。講談社『フライデー』記者。政治を主軸にしているものの、格闘技やビジネスレポートなどの取材もしている。著書に『ダークサイド・オブ・小泉純一郎 「異形の宰相」の蹉跌』(洋泉社)、『激闘 リングの覇者を目指して』(ソフトバンク クリエイティブ)、『団塊ジュニア世代のカリスマに「ジャンプ」で好きな漫画を聞きに行ってみた』(講談社)がある。