岸田新内閣に「不気味なほど特徴がない」その根本背景 | FRIDAYデジタル

岸田新内閣に「不気味なほど特徴がない」その根本背景

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堂々たる顔ぶれ!と言いたいところだが…(写真:AFLO)
堂々たる顔ぶれ!と言いたいところだが…(写真:AFLO)

10月4日にお披露目となった岸田内閣が、さっそく一年前の菅政権と同じフレーズで揶揄されている。

「安倍のいない安倍内閣」

岸田派は46名で、自民党内にある7つの派閥の中で、5番目の勢力だ。中小派閥のトップである岸田氏が総裁選で大勝できたのは、最大派閥の細田派の実質的なリーダーの安倍晋三元総理と、第二派閥の麻生派の麻生太郎副総裁や甘利明幹事長の協力があったからこそだ。

そのため、人事でも細田、麻生、竹下と主要3派閥を優遇した布陣にならざるをえず、結果、新味はゼロに等しくなった。

ただ、総裁選で掲げた「若手の登用」は実行した。

デジタル相に衆院当選3回の牧島かれん氏(44)、経済安全保障相に小林鷹之氏(46)、経済再生・コロナ対策相に山際大志郎氏(53)を抜擢するなど、40代・50代の大臣が6名となった。これは大きな変化だ。

「山際氏は麻生派で甘利氏の右腕的存在。小林氏も二階派ながら、甘利氏の議連の常連です。金融政策は甘利氏の人脈で、彼らを中心に金融課税を実施しそうなことが見えてくると、内閣が発足した2日後の10月5日の日経平均は622円も下げ2万7822円になってしまった」(政治部記者)

自民党役員人事でも若返りが進んだ。衆院当選3回の福田達夫氏(54)を総務会長に抜擢。福田氏は当選3回以下の議員90名が名を連ねる「党風一新の会」の代表世話人だ。同会には河野氏支持者が多く、総裁選では河野陣営と連携して動くかに見えた。

「福田氏がぶら下がりで河野支持を明言し、河野候補もそれに応じる流れができていましたが、総裁選終盤、河野陣営の議員がいくら電話を鳴らしても福田氏は電話に出なくなってしまい、結局支持はうやむやになってしまったようです」(同記者)

福田氏は総裁選後、二度とも岸田氏へ投票したことを明かした。総務会長はその行動への論功行賞といえよう。しかし、当初の人事では政策に明るい福田氏を政調会長にするプランだったが、安倍氏が難色を示したという。細田派の参議院議員が解説する。

「達夫さんは安倍さんと距離のある福田康夫元首相の長男で、父を尊敬している。さらに安倍さんと距離のある林芳正元文科相も尊敬する政治家として挙げており、安倍さんからすると肌感覚が合わない。

政調会長は政策・法案を打ち出す要職なので、抜擢されれば、党内外での見せ場がある。目立つ存在になるのは確実です。

その点、総務会長は党の意思決定を行うのが役割で、当選3回では結局追認するだけとなり、見せ場が作れない。なった瞬間が注目のピークともいえる役職だ。安倍さんは達夫さんを見せ場の多い政調会長にはしたくなかったのでしょう」

今回の閣僚人事で再任されたのは、防衛相の岸信夫氏と外務相の茂木敏充氏の2人のみ。言い添えるまでもないが、岸氏は安倍氏の実弟だ。もう一人の茂木氏には、留任に際してのこんな噂がある。

総裁選の最中の9月17日、竹下派の竹下亘会長が食道がんで亡くなった。岸田氏が候補者の中で誰よりも先に弔問に駆けつけたことで、「竹下派は岸田」とまとまった…と言われている。

「弔問に駆けつけるには身内からの連絡がなければ知りえない。その後、茂木さんが、『まっさきに会長に手を合わせたのは誰だ』と岸田支持の雰囲気を作った。そのことがあってかどうか、結果的に茂木さんは留任した」(竹下派記者)

完全に意向を無視されたのが、二階俊博前幹事長が率いる二階派だ。人事案発覚後、二階派からは「岸田だけは許さない」との言葉が飛び交った。彼らにも一応、「最終的には総裁選で岸田支持に方針を変えたのに」という言い分がある。

「二階派の重鎮の伊吹文明さんが、二階会長に対して、『アンタ、何やってるんだ。河野じゃないだろ。岸田をやるんだ』と進言し、土壇場で二階派による岸田大勝の流れをつくるように変わった。『決選投票は岸田で』と言われ、理由を尋ねたら『岸田に流れができた。流れを決めたのは二階派だ、と思わせ、影響力を保つためだ』との説明でした」(二階派衆議院議員)

見え見えの戦略がかえって岸田氏を刺激してしまったのだろうか。結果的に小林氏の他は山口壮氏が環境相で入閣しただけで、二階派によいポジションは回ってこなかったのだ。

12日間の総裁選の最中、水面下では権謀術数が巡らされていたことが、これらの話からも伺えよう。分断から協調へ――そう掲げた岸田新総理。国民がどう受け取ったかはともかく、自民党の中に「なにが協調だ」と漏らしている人々がいることは間違いなさそうだ。

  • 取材・文岩崎大輔写真AFLO

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