48人不審死病院殺人事件「黒い看護師」が法廷で語った深層 | FRIDAYデジタル

48人不審死病院殺人事件「黒い看護師」が法廷で語った深層

高齢の入院患者3名の点滴に消毒液「ヂアミトール」を混入させたとして殺人罪で起訴

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現在の旧・大口病院。病院の入り口には「休診中」という紙が貼られ、出入りする人の姿も見られなかった(撮影:濱﨑慎治)
現在の旧・大口病院。病院の入り口には「休診中」という紙が貼られ、出入りする人の姿も見られなかった(撮影:濱﨑慎治)

「久保木愛弓(くぼきあゆみ)です。(生年月日は)昭和62年1月7日です。(起訴内容は)すべて間違いありません」

10月1日、横浜地裁の101号法廷。腰まで届きそうな長い髪を後ろで縛り、細い眼鏡をかけた久保木愛弓被告(34)はそう語った。「黒い看護師」がすべての罪を認めた瞬間だった。

’16年7〜9月にかけて、横浜市の大口病院(’17年に「横浜はじめ病院」に改称)で、48名の患者が不審死を遂げた事件。当時、同病院で看護師として働いていた久保木被告が、患者らの点滴に消毒液「ヂアミトール」を混入させていた。

「70〜80代の3名の患者を殺害した疑いなどで起訴され、事実関係をすべて認めています。弁護側は犯行当時、被告は統合失調症の影響で心神耗弱状態にあったとして減刑を求めている」(全国紙記者)

法廷での久保木被告は、膝の上に手を置き、じっと前を見つめていた。弁護士から差し出された資料を見ながら、時折わずかにうなずくだけ。終始、表情を変えることはなかった。

事件発生から5年が経ち、舞台となった現場も大きく変わった。大口病院は「事件を怖がって患者が寄りつかなくなった」(近隣住民)といい、’19年8月からずっと「休診中」のまま。事件当時、報道陣が詰めかけた神奈川県内の久保木被告の実家アパートを訪れると、空き家になっていた。同じアパートの住民が語る。

「(久保木被告が)逮捕されて少し経ったころ、出ていかれたみたいです。引っ越しの挨拶などはとくになかったのですが、ウチの部屋のドアに洗剤と『ご迷惑をおかけしました』という手紙が差し込まれていました」

元東京地検公安部の落合洋司弁護士が話す。

「犯行時、統合失調症などの影響が一定程度あったと認められれば、無期懲役となる可能性もゼロではありません。しかし、偶発的に一度だけ起こしてしまったというわけではなく、起訴された殺人容疑だけで3件あります。死刑判決が下される可能性が極めて高いと思います」

判決は11月9日に言い渡される。

’18年7月、送検される久保木被告。当時、取り調べに対し「弱っている患者を狙った」と供述していた(撮影:蓮尾真司)
’18年7月、送検される久保木被告。当時、取り調べに対し「弱っている患者を狙った」と供述していた(撮影:蓮尾真司)

『FRIDAY』2021年10月22・29日号

  • 写真濱﨑慎治(病院) 蓮尾真司(久保木被告)

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