外れ役もあった綾野剛の評価が『アバランチ』で激変した意外な理由 | FRIDAYデジタル

外れ役もあった綾野剛の評価が『アバランチ』で激変した意外な理由

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撮影の合い間にラフなファッションで買い物へ向かう綾野剛。20年1月撮影

おかえり綾野剛、と言いたい。それぐらい、月曜ドラマ『アバランチ』(カンテレ・フジテレビ系)の綾野剛(39)は良かった。ネット上も、「綾野剛の適正使い!」「綾野剛がカッコ良かった。こういう汚い感じ、合っている(褒めてます)」などと、そのハマリ役ぶりを絶賛するコメントが溢れ返っている。

物語は、警察が隠蔽しようとする事件を秘密裏に捜査し、ネットを使って白日の元にさらすアウトロー集団・アバランチの活躍を描く。綾野剛はそのアバランチのリーダー的存在で、微笑みながら敵をバッサバッサと殴り倒していく、ややクレイジーなキャラクターだ。ぶっ飛んだ行動の背景には、どうやら警察官だった時代のある事件が絡んでいるよう……と、ストーリー性もバッチリ。

綾野剛といえば、すでに演技派俳優としての地位を築いて久しい。そのため昨今は新境地を求めてか、『MIU404』(TBS系)のおちゃらけ刑事や、『恋はDeepに』(日本テレビ系)の石原さとみと恋愛する御曹司など、やや十八番からは外れたキャラクターに挑戦している印象があった。どれも持前の演技力で好評価は得ていたものの、綾野剛ファンからすると「そこじゃない」という忸怩たる思いもあったのが実情だ。

そんなストレスが溜まりつつあったここへきての、「おかえり綾野剛」だ。そう、彼の本来の魅力は、コミカルにやさぐれているものの、その背景には暗い過去を抱えていて、いざという場面になると底知れない狂気を発揮する――、そんな役どころでこそフルに発揮されるのだ。

その手のキャラクターなら他にもハマる俳優はいるではないか、と思うかもしれない。が、この“コミカルにやさぐれている”というのがポイントで、その空気感を出すにはある一定の“安っぽさ”というものが必要になる。しかし主役級の俳優となるとどうしてもオーラがあり過ぎて、暗さや狂気の部分は好演できても、この“安っぽさ”をなかなか自然に体現することができないのだ。これは最大の褒め言葉として言うが、そんな中で綾野剛は、唯一といっていい“安っぽいのにオーラがある”という貴重な俳優だ、と常々感じていた。

そこで、決して多くはないだろうが、この『アバランチ』で初めて綾野剛の本来持つ魅力に気づいた人に、これまでの彼の十八番作品を紹介したいと思う。どれも彼でなくてはダメだ、というキャラクターを演じたものばかりだ。あくまで独断と偏見によるセレクトなので、「違う!」と感じる方も多いと思うが、そこは見逃していただきたい。

1.映画『日本で一番悪い奴ら』(2016年)

この映画で綾野剛が演じているのは、まさに「ミイラ取りがミイラになった」の典型的警察官・諸星。ヤクザと密接な関係を持つことで次々と難事件を解決していくエース級の刑事だった諸星だが、やがて一線を越えてしまい悪に手を染めていく――。キャラクターとしては、綾野剛の出世作『新宿スワン』シリーズ(2015、17年)で演じた歌舞伎町のホスト・白鳥とやや既視感があるのだが、白鳥を“陽”とすると、諸星はその“負”ヴァージョンだ。

ヤクザと対等に渡り合う華と憎めなさがあるものの、善悪の区別がつかず、やがて堕ちるとこまで堕ちてしまうというクズっぷりがとにかく上手く、かつ、なぜか最高にカッコいいのだ。まさにこれこそ、安っぽいのに華がある綾野剛でしか演じられない役どころだろう。

2.映画『そこのみにて光輝く』(2014年)

この映画で綾野剛が演じているのは、仕事もせず、日々パチンコをしたり酒を飲んだりと無為に過ごす男・佐藤達夫。実は優秀な石材の発破職人だったが、事故で後輩を死なせてしまった過去から立ち直ることができずにいる、という役どころだ。達夫は、水産工場で働きながら体を売ってお金を稼ぐ女・千夏(池脇千鶴)と出会い、心を通わせるようになったことから少しずつ変わっていくのだが、この、底辺を生きる男の陰鬱さ、もの悲しさを表現する綾野剛が何とも言えず美しく、ただただ見惚れてしまう作品だ。

この映画の舞台は、函館の再開発から漏れた一角。先に紹介した『日本で一番悪い奴ら』の舞台も北の歓楽街・ススキノを持つ北海道だったが、綾野剛は、こういった危ういエネルギーを持つ土地との相性も最高に良い俳優だと感じる。

3.映画『へルタースケルター』(2012年)

綾野剛がちょうどブレイクの兆しを見せ始めた頃に出演したのがこの映画。沢尻エリカ演じる全身整形女・りりこに、恋人(寺島しのぶ)とともに支配されていく駆け出しカメラマン・奥村を演じているのだが、ここで綾野剛は、そのナイフのように危険で怪しい魅力を炸裂させ、一躍トップ俳優へと躍り出ることとなった。凡庸であるがゆえに堕ちていく様は、最高にふしだらでエロくて、若き日の綾野剛の色気がこれでもかというほど放たれている。是非ともおさえておいてほしい一作だが、念のため、この作品はR15+指定だ。

以上、綾野剛のオススメ3作品を紹介させてもらった。個性派俳優が減っていると言われる昨今。この役は彼(彼女)にしか演じられない、と言われる俳優が活躍するのは嬉しい限りだ。今後も『アバランチ』を楽しく視聴していきたいと思う。

  • 取材・文奈々子

    愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。タレントのインタビュー、流行事象の分析記事を専門としており、連ドラ、話題の邦画のチェックは欠かさない。雑誌業界では有名な美人ライター

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