阿蘇山噴火 専門家が警鐘「次に爆発する山と大地震の危険地域」 | FRIDAYデジタル

阿蘇山噴火 専門家が警鐘「次に爆発する山と大地震の危険地域」

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噴煙を上げる熊本県・阿蘇山の中岳=20日午後1時8分(共同通信社ヘリから) 写真:共同通信社
噴煙を上げる熊本県・阿蘇山の中岳=20日午後1時8分(共同通信社ヘリから) 写真:共同通信社

不気味な灰色の煙が、火口からもくもくと立ち上る。巨大な噴煙はまたたく間に上空を覆い、高さは3500mに。直下の駐車場にいた人々は、慌てて建物の中へ入っていくーー。

これは「阿蘇火山博物館」の屋上カメラがとらえた、災害発生直後の様子だ。10月20日午前11時43分、熊本県の阿蘇山中岳(高さ1506m)が噴火した。阿蘇山が噴火するのは、16年10月以来5年ぶり。火口から西側へ、約1300mにわたり火砕流も起きる。お昼過ぎの12時44分には、2度目の爆発。気象庁は噴火警戒レベルを2から3に引き上げ、火口から周囲2kmの範囲を立ち入り禁止とした。

噴火の原因は、なんだったのだろうか。災害リスクマネージメントが専門の、立命館大学特任教授・高橋学氏が解説する。

「地球上で最も大きい太平洋プレートが、北東から南東へ動いたことが要因でしょう。11年3月に起きた東日本大震災の影響で、これまで太平洋プレートは西から東へ移動していました。今年9月になり動きに変化があった。南西へと引っ張られる形になったんです。

それにより九州や沖縄地方が圧迫され、火山活動が活発化しました。東からの圧力のため、地下に溜まったマグマが地上に飛び出したのでしょう。阿蘇山の他にも、薩摩硫黄島、口永良部島(くちのえらぶじま)などで注意が必要です。特に桜島は、通常1年間に50〜100回ほどしか計測されない小さな噴火回数が、最近は1300回も起きています」

プレートがハネ上がると……

太平洋プレートの動きは、日本列島全体に大きく影響する。地殻変動により、他の地域でも災害の危険が高まっているという。高橋氏が続ける。

「伊豆・小笠原海溝に沿って溜まっている地中のマグマにも、大きな圧力が加わっています。阿蘇山のように圧力に耐えかね、マグマが噴出する可能性があるでしょう。

最もひずみが集中しているのが静岡県西部・浜名湖から、愛知県東部・豊橋までの地域です。太平洋プレートは南西に動き、この地域にあるユーラシアプレートの下に潜り込もうとしている。もしユーラシアプレートが太平洋プレートの圧迫に耐えられなくなり、境界部分がハネ上がれば大変なことになります。大きな地震が起きるんです。東海地震ですよ」

東海地震が起きた場合、危惧されるのが富士山への影響だ。

「富士山が噴火するのは、大地震の影響を受けるためと思われます。最後に爆発したのは、約300年前の1707(宝永4)年。この宝永の大噴火の数十日前に、大地震が起きています。当時の記録などから、それが東海地震だと考えられているんです。

富士山を上空から見るとわかりますが、火口は一つではなく、いくつか連なっている。これらから連動して噴火すれば、関東、東海地方だけでなく、日本列島全体の被害ははかり知れません」(高橋氏)

日本は火山によってできた国だ。いつ噴火や地震が起きてもおかしくない。阿蘇山の噴火で、さらに大災害の危険性が高まっていると認識したほうがいいだろう。

  • 写真共同通信社

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