10戦未勝利…勝てない田中将大に「メジャーが高評価」の理由
また勝てなかった。
10月25日のオリックス戦に先発した楽天・田中将大(32)は、8回2失点ながら負け投手に。これで8月20日の日本ハム戦から、10戦連続の未勝利となった。今シーズンは4勝9敗、防御率3.01の成績。メジャーから8年ぶりに日本球界へ復帰し、優勝請負人と言われ期待が大きかっただけに、残念な結果だろう。試合後、本人も悔しそうなコメントを残している。
「(優勝を逃し)チームが3位になったのは、自分の責任が大きいと思う。迷惑をかけました」
冒頭のオリックス戦で登場曲に選んだのは、ファンキーモンキーベイビーズの「あとひとつ」。日本一となった13年の日本シリーズで流していた曲だ。最終登板にかける意気込みが感じられたが、白星には結びつかなかった。
「今シーズンの田中は、開幕前から不調でした。3月の練習中に、右ヒラメ筋(ふくらはぎ奥の筋肉)を故障。右脚はメジャー在籍時から何度かケガしていますから、回復は思うようにいかなかったようです。
そのため、踏み込みがたりずストレートが走らなかった。直球で抑えられないため、多投する変化球を打者に狙われていました。打ち取るためにより変化を大きくしようと、暴投も多くなっていたんです」(スポーツ紙担当記者)
勝ち星ではわからない実力
田中は楽天と年俸9億円(推定)の2年契約を結んでいるが、途中でメジャーにチャレンジできる「オプトアウト権」があるという。本人も「やり残したことがある」と発言し、オフに再びメジャー挑戦するともいわれる。だが……。
「今季の成績では厳しいでしょう。優勝したならともかく、チームは3位に終わりました。本人も責任を感じ、『メジャーに挑戦させてください』とは、なかなか言い出しずらし状況です」(球団関係者)
だが、意外にもメジャーの各球団は田中を高く評価しているという。
「メジャーが重視するのは勝利数ではありません。先発なら、どれだけ試合を作れるかがカギになります。今季の田中は、6回を自責点3以内に抑える『クオリティースタート』を23試合中17試合で記録。チームトップの数です。打線の援護に恵まれませんでしたが、試合をしっかり作っていたんです。
1イニングに打者を何人出塁させたかを表す『WHIP』は、1.03でした。これは最優秀防御率、最多勝、最多奪三振など投手部門のタイトルを総ナメにした、オリックスの山本由伸に次ぐリーグ2位の成績。防御率もリーグ4位です。脚を故障し万全な体調にはほど遠いにもかかわらず、これだけの結果を残す。メジャースカウトの間では、『さすがタナカ』という声が上がっているんです」(日本在住メジャースカウト)
勝ち星の数だけではわからない、田中の実力。クライマックスシリーズで、圧巻の投球を見せられるだろうか。
写真:共同通信社