自民都市部崩壊の危機&野党加速で聞こえる岸田総裁の「悲鳴」 | FRIDAYデジタル

自民都市部崩壊の危機&野党加速で聞こえる岸田総裁の「悲鳴」

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総選挙も終盤。共闘を決めた野党の存在感が、じわじわと増している。一方、自民党にはある「傾向」が危惧されている。現職大臣、元閣僚、派閥領袖といった知名度、当選回数の多いベテラン議員が、今回は「当落線上」にいるというのだ。

総選挙まであと2日。「政権交代」が現実味を増しつつある。危機感を募らせる自民党に「緊急事態宣言」が
総選挙まであと2日。「政権交代」が現実味を増しつつある。危機感を募らせる自民党に「緊急事態宣言」が

「自民の不調は見込まれているが、想定内の議席減少なのか、想像を超える大敗なのか、まったく見えない。投開票が迫った27日水曜日夜、執行部の幹部に届けられた調査には【自民-10P】という結果が示されていた。『んーーー、支持がまた下がったのか』と麻生副総裁は呆然としていた」(自民党選対)

「政権交代」に傾く民意

「想定内の議席減」なら「政権交代」には至らない。が、しかし。ここにきて都市部を中心に「想定以上の負け」がささやかれ始めたのだ。

甘利幹事長は選挙序盤の21日、自民党内に総選挙「緊急事態宣言」を発した。

「情勢緊迫 1票1票の獲得に全力を」

と題した文書だ。自民党全候補者に急告された内容は、自民過半数割れの危機感に染まっている。

「全国各地で、わが党候補者の多くが当落を争う極めて緊迫した状況にある。コロナ禍によって、組織力が十分に発揮できない現状を憂慮する。この選挙が『自由民主主義政権』か『共産主義政権』かの体制選択選挙であることは鮮明」

こういって、イデオロギー戦略を前面に打ち出そうという構えだ。しかし、党内危機感をいくら煽っても劣勢は払拭できない。

岸田総裁は、ツイッターでついに悲鳴を上げた。

#衆院選は大変厳しい情勢です。しかしこの国難の中にあって政策を実行していくために、絶対に負けられない選挙です。残り5日間、日本各地での街頭演説や#車座対話を通して、お一人おひとりの声を#岸田ノートに受け止めてまいります。どうかこの岸田に、自民党に、お力を与えてください!」

自民党幹部が首を横に振り、苦しい選挙戦略を漏らした。

「新型コロナ第5波が沈静したこのタイミングで総選挙をやって勝ちたい。そして、11月に超大型経済対策を編成し、岸田政権を盤石にしたいと目論んだ。しかし、どうも風向きが良くならない。総選挙期間中の参院補選で、静岡の敗北は大きな痛手でした。

岸田総裁の遊説先は宏池会の候補者が多く、そこでも有権者に刺さる言葉が出せていない。与野党とも、カネ配りの高を競いあっているのだから、日本という国を、岸田自民党がどのように導こうとしているのか分からないのだと思う」(閣僚経験者)

電光石火の「解散」という大博打に打って出た岸田首相。感染第6波への懸念もあっただろうが、準備不足は否めない。

そんななか、北海道に応援入りした麻生太郎副総裁が、トンデモ発言をしてしまった。

「昔は、北海道のコメは『やっかいどう米』と言われるほどだったんだが、いまの北海道のコメ旨い! これは、農家(の努力)ではなく地球温暖化のおかげなんです」

これには、地元農家だけでなく、地元有権者も怒りを通り越して呆れた。補助金をカットしたい自民党と農協はいま「冷戦状態」にある。麻生発言の波紋は、自民支持者にじわじわと広がっている。

そして27日、山崎拓元副総裁が、なんと大阪10区の立憲民主党・辻元清美候補に応援演説入りし、

「小選挙区は辻元清美、比例は自民党。辻元清美が当選すれば、日本の政治のためになる」

と、「魂の」街宣活動した。この選挙区には、自民党、大隈和英と、日本維新の会新人、池下卓が争っている。

「何が起きているんだ!」

自民党大阪府連は大騒ぎになっている。

岸田首相、甘利幹事長執行部には、自民党が大敗、下野した2009年の恐怖がよぎっているという。

「1989年宇野政権の悪夢さえ思い出しました。当時の社会党の『マドンナブーム』で自民党は敗北、社会党の土井たか子党首が参院で首班指名され、『山が動いた』と言って、国民の大きな支持を得た。

自民が敗北する選挙に共通しているのは、支持団体や友好団体といった組織票が出てこないこと。甘利幹事長はそれを危惧し『どぶ板選挙で票の掘り起しを』とハッパをかけているんですが、はたして間に合うか」(自民党有力議員)

岸田首相は衆院選を締めくくる街宣場所として、品川区のJR大井町駅前を予定している。自民党の定番となった秋葉原を避けたのは、安倍晋三元首相の影を消したいのか。

攻める野党、防戦する自民。この戦いもあと3日。10月31日、審判が下る。

  • 取材・文岩城周太郎

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