元宝塚の「おじさん役」天真みちるが語った結婚秘話
祝結婚‼ 元タカラジェンヌの衝撃独占インタビュー
「結婚発表したら、Yahooニュースになるかな?って、夫は発表前からソワソワしてました(笑)」
宝塚歌劇団で「おじさん役」を究めた元タカラジェンヌ天真みちるさんが、結婚を発表した。ファンはもちろん、宝塚界隈の多くの人々を驚きと祝福の渦に巻き込んだ。
あの、おじさん役の天真さんがいつのまに?「元・おじさん」、「現・新婚妻」の天真さんに、出会いと結婚生活のリアルをインタビューをした。

「退団記念日である10月14日に、SNSを通じて報告したかったんです。それまでは周囲に気づかれたくない。そう彼に伝えると『安心して、誰にも言わない。僕は友だちいないから』って(笑)」
新郎とは「交際10年」という報道もあったが、
「10年交際は間違いで、10年来の友人でした。私がいうのもあれですが、彼はとても変わってます」
タカラジェンヌの最終形態は「嫁ぐ」だけじゃない
「現役のタカラジェンヌだったころは、交際することに『芸を突き詰めていない。芸に背を向けている』と、すごく罪悪感があったんですよね。『そこまでして、一緒にいたい人なの?』と、男性に対するチェックも厳しかったと思います。
それに、相手の人に『世間一般には』とか『普通は』とか言われるのが嫌で。世間一般ってなんだよ!って(笑)。退団するとき、周りの方に結婚の心配をされると『いいんです、私は働くために辞めるんです』って答えてました」
そんな天真さんが、まさかの結婚…!
「同期とも、10年たって独り身だったら、同じマンションとかでみなで支え合って生きていこうね、なんて声がけしてたんですよね」
だから、この突然の結婚に…。
「たそ(天真さんの愛称)、あの時の話はどうなってんの?って大顰蹙だと思います。他の皆さんも、私みたいなおじさん役者がリア充なはずない!と思われてると思います…」
「リア充なおじさん役者」たしかに正直、意外ではある。天真さんの夫になった男性は、もともと宝塚同期の知人で、10年ほど前に「友だちがいない人なので、友だちになってほしい」と紹介されたのだという。
「じゃあぜひ~、と、私も含めて4、5人で『友だち』になった。彼はもともと、ご両親とともに宝塚ファン。当時出演していた花組の公演も観にきてくれましたが、その時は『(舞台上から)手をふってやるか』みたいな」
でも、彼は娘役さんを応援するタイプのヅカファンだった。
「公演後に『どうせ、私じゃなくて娘役しか観てなかったんでしょ?』って聞くと『すいません、そうでした』って。
でね、『真ん中で輝いている子ももちろん素敵だけど、花道の端でも一生懸命に頑張る娘役さんを、僕はちゃんと知ってるよ、という気持ちで応援したいんだ』と。ジェントルマンでとても素敵な考えですが、一途ではないんだなあ…と(笑)。でも、私も中身がおじさんになってきてるので、彼と一緒に『あの子マジ可愛いよね』とか、新人の娘役さんについて語ってました」
そんな、交際期間を経て、結婚に至った。

「ときめいたことはないけれど優しい人」とは思っていた
「男役として『かっこいい』を15年間研究してきたので、男の人がかっこつけていると、『付け焼刃的にそんなことしたってダメだよ…それでかっこいいと思うのか? 本当に思うのか⁉︎』と。それに『俺の女』みたいに扱われるのが大っ嫌い。気安く呼び捨てにされるのも嫌だった」
男役15年の天真さん、男性に対しては、すこし独特な目線なのだ。さらに、
「私はひねくれているので、自分が優先順位の1位になると気が重い。私だけに親切な人は嫌なんです。その点、彼は周囲の人すべてに親切でした」
天真さんの家族と一緒に旅行する時も、鍼灸師として働く旦那さんは「リハビリの患者さんが来るから」と勤めを休まず、仕事が終わってから合流。優しいけど融通は利かない。
ある時は、天真さんのお姉さんの体調を心配した彼が、すぐに薬を送ってくれた。が、茶封筒にわざわざ封蝋をした、さながら『ファントム』のようなちょっと不気味な郵便だったという。
さらに、宝塚に興味を持った実弟のお嫁さんに大量の宝塚のDVDをプレゼントする。しかも「観てほしい順番」を丁寧にプレゼン。お嫁さんは喜んでいたものの「若干ひいていた」という。
「誰かの為に一生懸命になりすぎちゃう人なんですよね。先日も雨の日の帰り道、私は傘を持たない主義なので、彼が駅まで迎えに来てくれたんです。
駅でね、どんだけ急いで来たのかっていうくらい、とっちらかってびっしょびしょの姿で待っててくれて。そんな彼を、改札通った人がさーっとよけていくんです。
『なんでそんなモーゼみたいな位置に立ってんの⁉』って。優しさだけが彼の行動原理なんですけど、面白過ぎて…」
夫のことを語る天真さんは、とっても幸せそうだ。
夫はまるでヒロイン気質の娘役さん
毎公演、宝塚ファンの彼のご両親とも会って話もしていたので、結婚を前提に付き合うことになってからは話が早かった。
「私自身、最終的には自分の家を守ることを目標にして生きようと思ってたので、彼と結婚できなくても大丈夫、と付き合っているときからダメ元の気持ちでした。
お互いにきょうだいが多く上から2番目の存在。夕飯のリクエストをきかれて食べたいものを答えても、一度も採用されたことないというポジションです。
育った環境が似ていて気心が知れてる友だちのノリで結婚できるな、と。ずっと変人といわれてきた私が変人だと思う彼ですが、毎日笑って過ごせそうだな、と思いました」
変人だけれどハイパーポジティブで「本物の陽キャ」だという。
「10回連続で夕飯のリクエストが却下されたとき、僕ってどうしてこんなにかわいそうなんだろう…だけど、面白いと思わないとやっていけないよね、と言うんです。とにかく明るい人なんですよね」
新婚のふたりは今、一時的に天真さんの実家で一緒に暮らしている。夫は木曜日と日曜日が夕飯の当番で、6人分の食事を作る。
「ホント、作っていただいている身でこんなことを言うのはアレなのですが…いい時と微妙な時が…新作料理に挑戦した時など…でも感謝してます!
私が仕事で帰れないとき、彼は『ちゃんとご飯作っとくから大丈夫だよ』と言ってくれるのですが、今日は何に挑戦するんだろうって若干不安で。でも、私が帰るまで食べずに待ってくれて、料理を温め直してくれて一緒に食べます。優しいです」
器用に自分を変えられない彼だけど、かっこつけないところが大好きだ。
「10年前に彼を紹介してくれた同期に感謝です。足を向けて寝られません」
天真さんと夫との関係は
「覚醒した男役の私と、彼はヒロイン気質の娘役さんみたい。
このあいだも、快晴の日に私が運転してドライブしていて、前に富士山が見えて。助手席の彼に『富士山だよ』と教えたら『どこ? どこにあるの?』ってキョロキョロ探してるんです。『前だよ! おせーよ!』って思わず邪険にしちゃって。そしたら『みちるさん、そんな汚い言葉づかいはやめたほうがいいよ』って。『生娘かっ⁉』ってさらに荒ぶってしまいました。反省してます」
繰り出されるエピソードに、愛とドラマを感じる。さすが…。どうか末永くお幸せに!

天真みちる(てんまみちる):2006年宝塚歌劇団に入団。2018年10月退団。舞台、朗読劇、イベントなどの企画・演出を手掛ける。タンバリン芸でも注目に。2021年春に刊行した『こう見えて元タカラジェンヌです』(左右社)が、大きな反響を呼び、現在「第2弾」を執筆中。愛称は「たそ」。オンラインサロン『天真みちるの歌(ん)劇団応援組』開設。新婚。
取材・文:宮崎七緒