倒壊事故で死者500人も…金正恩がタワマン建設強行の意外な理由 | FRIDAYデジタル

倒壊事故で死者500人も…金正恩がタワマン建設強行の意外な理由

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ピラミッド型の外観が特徴的な平壌の柳京(リュンギョン)ホテル。105階建て高さ約330mで「世界で最も高い空きビル」と呼ばれる

「人民に、より文化的で幸せな生活を享受させようという構想を立派に実現している」

11月3日、北朝鮮で造成中のタワーマンション団地「平壌市1万世帯住宅」を視察した金徳訓(キム・ドックン)首相は、こう誇らしげに語った。最高指導者・金正恩氏が出席し、同団地の着工式が行われたのは今年3月のことだ。

北朝鮮がタワマン建設を、急ピッチで進めている。金正恩氏は1月の朝鮮労働党大会で、25年までの経済5ヵ年計画で毎年1万戸を建設すると宣言。計およそ5万戸を平壌に創出するという。だが米国メディア『ラジオ・フリー・アジア』は、建設現場を目撃した現地住民の次のような不安の声を紹介している。

「何日も雨が降り続いたのに、赤さびた鉄筋が野積みにされていた。誰も気にかける人はいない。コンクリートの混合比も、安全基準を大幅に下回っているのを知り驚いた」

廊下や階段が糞尿まみれのワケ

国際NPO団体「高層ビル・都市住居協議会」によると、平壌市内に建つ30階以上のマンションは40棟ほど。大半が、金正恩氏が指導者になってから建設された。中心部・黎明(リョミョン)通り沿いのタワーマンションは、82階建てで高さは270mにおよぶ。

「工事は突貫です。重要な記念日やイベントに合わせお披露目するため、工期が強引に短縮されることが多い。欠陥だらけですよ。高層階には、人がほとんど住んでいません。北朝鮮の厳しい電力事情では、エレベーターが稼働せず水道も使えませんから。

中にはトイレの水が出ず、廊下や階段で用を足す住民もいます。汚物をベランダなどから、『散布』する人も。空き部屋には、コチョビと呼ばれるストリートチルドレンが住んでいます。外見の華やかさと裏腹に、内情はお粗末そのものです」(韓国紙記者)

14年4月には、悲惨な事故が起きている。手抜き工事が原因で、23階建ての高層マンションが倒壊したのだ。

「事故当時は、内装工事が行われていました。運び込まれた砂や砂利の重さに耐えられず、外壁に亀裂が。ヒビはどんどん広がり、マンションは崩落しました。犠牲者は500人にのぼるといわれます。近隣には原形をとどめない遺体が散乱し、ガレキからは人間の手足が多数見つかったそうです。

周囲には外国人が利用する施設が多かったため事故は隠蔽できず、海外でも知られることになりました。金正恩氏は1週間以内の事故処理を命令。担当した技術者4人は責任をとらされ、銃殺されています」(同前)

国連の制裁や新型コロナウイルスの影響で、北朝鮮の経済はひっ迫している。タワマンを次々に建てる余裕などないだろう。『デイリーNKジャパン』編集長・高英起氏が、建設強行の背景を解説する。

「理由は二つあります。一つは、タワマンのような『ハコモノ』以外に、経済の進捗を内外へアピールする要素がないからです。経済5ヵ年計画で毎年1万戸を作ると宣言してしまったため、引くに引けないのかもしれません。

二つ目が、タワマン建設で経済難や行き過ぎたコロナ対策への国民の不満を抑えようとしていること。大規模な建設作業に多くの人を動員し、感情をコントロールしたいのでしょう。そんなやり方で、ふくらみ続ける国民の不満を抑えられるとは思えませんが……

メリットが少なく、負の要素が大きい北朝鮮のタワーマンション群。人々の感情をよそに、建設は続けられる。

  • 写真ロイター/アフロ

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