『おかえりモネ』清原果耶の菩薩性と恐ろしさを秘めた「瞳の力」 | FRIDAYデジタル

『おかえりモネ』清原果耶の菩薩性と恐ろしさを秘めた「瞳の力」

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NHK朝ドラ『おかえりモネ』でヒロインを演じた清原果耶。その演技力の高さは山田孝之も絶賛した

(本稿には映画『護られなかった者たちへ』の考察および展開の説明が含まれております。未鑑賞の方はご注意ください。)

朝ドラ最高を記録

東日本大震災から10年。節目の年に放送されたNHK朝ドラ『おかえりモネ』(NHK)は、世帯平均視聴率こそ一度も20%を超えることはなかったものの、放送終了後も賞賛する声は高まるばかりだ。

「『おかえりモネ』は、震災で傷付いた人の痛みと再生をテーマにした現代劇。脚本を手掛ける安達奈緒子の綿密で繊細なシナリオ、見事な伏線回収が評価され、”女の一代記”を描くことの多かったこれまでの朝ドラの歴史に大きな風穴を開けました。

ただ、放送が始まった当初は『ヒロインが暗い』『ストーリーが重い』などの声もありましたが、見逃し配信サービス『NHKプラス』ではサービス開始以来、朝ドラ最高を記録。リアルタイム視聴にこだわらない層が増えるにつれて、何度観ても発見がある見応えのある今作は高い評価を得ています」(ワイドショー関係者)

中でもヒロイン・百音を演じる清原果耶の演技には、多くの視聴者が魅せられた。

「ヒロイン・百音は震災を経験しながらも津波を見ていない。そんな『当事者でありながら、当事者ではない』という難しい立場に立たされた女性です。

脚本家・安達奈緒子も『一番瑞々しく眩しいくらいに輝いている年頃を”痛み”を伴いながら生きる』『出会った人たちと自身を照らし合わせていくことで、”痛み”と向き合い昇華させていくさまを、清原さんが綿密に、繊細に表現してくださいました』と感謝の言葉を口にしています」(前出・ワイドショー関係者)

さらに安達は「ヒロインの百音は、清原さんを信じ切って書いた」と清原への並々ならない信頼を口にする。清原は‘18年に安達が脚本を手掛けたドラマ『透明のゆりかご』(NHK)で主役のアオイを演じて数々の賞にも恵まれたが、この作品も『透明のゆりかご』に勝るとも劣らない意欲作となった。

『おかえりモネ』の伏線回収の中で最も驚きを持って迎えられたのが、10月27日に放送された第118話ではないか。最終回まで残すところ後3話と迫った放送回で、妹・未知(蒔田彩珠)の故郷を離れることができないトラウマが突然、明らかになる。

「東京の大学から進学を勧められた未知は、東日本大震災当日にどう言っても、引っ張っても動いてくれない祖母を残して、一人で逃げたことを告白。『私は絶対、自分を許すことができない』といって泣きじゃくる未知を驚き見つめる百音。その瞳の力強さには魅了させました」(制作会社ディレクター)

翌日放送された第119話では、百音が未知を冬の海に誘う。「頭の中の記憶は消せないから」という未知に対して

「みーちゃんがなんどもなんども自分を許せなくなるなら、そのたんびに私が言う。みーちゃんは悪くない」

「絶対に悪くない」

と繰り返す。そんな百音に抱き寄せられ未知は、囚われていたトラウマから解放され、進学を決意する。泣きじゃくる未知を抱き寄せ、ハラリと涙を流す百音の神々しいほどの美しさには目を見張るばかりだ。

しかし、神々しいばかりが女優・清原果耶の魅力ではない。清原は、現在公開中の映画『護られなかった者たちへ』の中で猛々しいばかりの眼差しを露わにしている。

「東日本大震災から10年目の仙台で、全身を縛られたまま”餓死”させられるという異様な殺人事件が相次いで発生。その捜査線上に震災当時、避難所で出会い肩寄せ合って暮らした遠島けい(倍賞美津子)、利根泰久(佐藤健)、そして一人の少女の存在が浮かび上がります。

やがて利根が容疑者として逮捕されるも、第三の殺人事件と共に一人の少女・丸山幹子(清原)の禍々しい過去が白昼のもとにさらされます」(制作会社プロデューサー)

この難しい役どころを演じるにあたって、清原は

「彼女自身のピュアな部分と心の奥底にある荒々しさをどこまで両立させて演じるか悩みました」

と打ち明けているが、注目すべきはやはり、清原のその瞳である。

「生活保護を受けずに餓死してしまったけい(倍賞)。その火葬場に、殺人のターゲットになる上崎(吉岡秀隆)が駆けつけ『死んでしまったらおしまいじゃないか』と口走る場面で、幹子(清原)は目を見開き上崎を凝視する。その瞳の奥に潜む怒りは尋常ではありませんでした。

インタビューでは『そのシーンを撮り終わった時、”ここから始まるんだな”と思って悶々となった』と清原は話しています。震災をテーマに描かれたまったく異なる作品に出演した清原。瞳に光が灯ると菩薩にでも、殺人鬼にもなれる。清原の瞳は、そんな恐ろしさを秘めた眼差しです」(前出・制作会社ディレクター)

清原を”天才”と呼んではばからない俳優に、山田孝之がいる。

「‘19年に公開された藤井道人監督の映画『デイアンドナイト』で、山田は一切作品に出演せず企画プロデュースに専念。この時清原は、児童養護施設で生活しながら、次第に主人公・明石(阿部進之介)を翻弄するミステリアスな少女・奈々を演じています。

オーディションで500人の中から清原の芝居を見た山田は『圧倒的に奈々だったんです。見つけた!という喜びと奈々を最初から汲み取ってくれた喜びで泣いてしまった』と話しています」(前出・制作会社プロデューサー)

この作品でも、児童養護施設のオーナー・北村(安藤政信)に思いをぶつける場面で、清原演じる奈々は瞳に猛々しい光を宿している。清原果耶、19歳。女優としての潜在能力はまだまだこんなものではない。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

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