「ホストの帝王」愛田武さん 女性に一生を捧げ、この世を去る | FRIDAYデジタル

「ホストの帝王」愛田武さん 女性に一生を捧げ、この世を去る

「歌舞伎町を変えた男」の人生を秘蔵写真で振り返る

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生前の愛田氏。600カラットの宝石で作った自らの肖像画とともに。制作費は2000万円以上  PHOTO:菊地弘一
生前の愛田氏。600カラットの宝石で作った自らの肖像画とともに。制作費は2000万円以上  PHOTO:菊地弘一

「幼い頃から女性が好きでね。祖母が遊郭を営んでいましたから自然と興味を持ったんです。13歳の時、風呂にいると遊郭の20代後半の女性が入ってきた。そこですべてを教えてもらいました。自信を持った私は毎日ナンパ。どうすれば女性にもてるか、24時間考えていました」

これは、10月25日に78歳で亡くなった「ホストの帝王」愛田武氏が筆者に語った言葉だ。筆者は『ホスト王・愛田流天下無敵の経営術』という書籍を構成するため、「クラブ愛」元社長の愛田氏を長時間にわたりインタビューした。当時の発言をもとに、女性に捧げた愛田氏の人生を振り返る(以下、発言は愛田氏)。

新潟県北蒲原郡(きたかんばらぐん)出身の愛田氏は19歳の時、地方の生活に馴染めず家出同然で上京する。いくつかのアルバイトを経て「フランスベッド」の営業職についた。

「会社員の初任給が10万円と言われる時代に、1台3万円のベッドをひと月に130台も売りトップセールスマンになりました。奥様相手の商売で、ナンパで鍛えたトークで攻めまくったんです。『ベッドの使い方を教えましょう』とね。奥様方はダンナがいてもおかまいなし。寂しくて大胆なんです。一度関係を持つと女性は協力的で、奥様同士のネットワークで客をどんどん紹介してくれました」

女性客相手の商売が自分に向いていると確信した愛田氏は、都内の有名店でホスト修業。31歳で独立し東京・新宿に「愛本店」をオープンさせると、歌舞伎町を中心に店舗を拡大した。

「ホスト業界に入った当初はコンプレックスの塊でした。みな美男子ぞろいでスタイルもいい。都心のホスト店に来るようなセレブ女性には、見向きもされません。そこで話術を磨こうと腹を括(くく)ったんです。女性を笑わせて盛り上げ、席を立つときに『もう行っちゃうの?』と思わせればシメたもの。ただ面白がるポイントは人によって違います。客の誕生日や趣味など、こと細かくメモしていました」

トラブルに巻き込まれることも、たびたびあったという。

「ヤクザとトラブルになり、特攻服を着た男が9人も来た時にはド肝を抜かれました。私をさらいに来たんです。店の前に3人、入り口に3人、店内に3人。電話の受話器で頭をガーンと殴られたので『これで気がすんだろう』と開き直ると、『なんだと!』とさらに怒らせてしまってね。内勤の者が機転を利かせて裏口から警官を呼び入れ助かりましたが、警察の到着が5分遅れていたらどこかの山に生き埋めにされていたでしょう」

波乱に満ちた愛田氏の人生を支えたのは、9歳年上の朱美夫人だ。

「客として出会った時、彼女は人妻でした。ダンナは東大卒の大手銀行支店長。お父さんは岡田哲郎という有名な建築家で、和光大学の教授という家柄です。私は不思議となんでも話せたので『絶対に幸せにします』とプロポーズしましたが、当然親戚からは大反対されたそうです。それでも妻は、家族に絶縁状まで書いて私を選んでくれました。彼女は聡明で、経営に関する意見も後から考えると正解であることがほとんど。店が繁盛し拡大できたのも、妻のおかげです」

歌舞伎町を「ホストの街」にしたのは、女性に人生を捧げた愛田氏の功績だろう。

歌舞伎町の中心にある「クラブ愛」。外国人の観光スポットにも
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店内の様子。本店だけでも50人ほどのホストが在籍している
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  • 取材・文丸山あかね(ライター)

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