吉高、小栗、杉咲…撮影秘話から読み解く「秋ドラマ本当の傑作」
読めばドラマがもっと面白くなる!

新型コロナや東京五輪による超変則的な編成に苦しめられたテレビマンたちが、”実りの秋”に目を細めている。
「どこの局の作品も好調ですが、注目は世帯視聴率と個人視聴率二冠王の『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)。今シリーズは新型コロナのネタをガッツリ入れてきました。タイムリーなネタを貪欲に取り入れる姿勢に感心しました」(ライター・大山くまお氏)
この快進撃にテレ朝社内は「米倉涼子(46)は失敗しないので」「マンネリ上等! ドクターXは現代の水戸黄門だ」と大盛り上がりだという。
TBSも看板枠の日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』が好調だ。小松左京原作の名ドラマを小栗旬(38)、香川照之(55)、松山ケンイチ(36)、杏(35)ら豪華出演陣で現代風にリメイクしている。
「かつての作品を知っている年配の人も、環境問題に関心がある若者も引き込んでいる。実はこの作品、昨年11月にクランクイン、今年4月ごろにクランクアップしています。小栗が来年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で主演を務めるという事情もありますが、Netflixで世界に配信されることも、撮影を前倒しした一因でしょう。スピンオフの制作や、先行配信などのPR対策だと思います」(民放ドラマ制作班スタッフ)
そのネット配信での再生回数がダントツなのが、吉高由里子(33)主演の『最愛』(TBS系)だという。ドラマウォッチャーの吉井和美氏は「主婦人気ナンバーワン作品」だと明かす。
「第1話で吉高が延々と女子高生を演じていたのには『さすがにムリがあるだろう』と閉口しましたけど、あそこでめげずに観続けた人は皆、ハマっていますね。初恋の人が刑事、吉高が重要参考人となって再会するという、サスペンスに恋愛を絡めた展開にグイグイと引き込まれる」
中堅放送作家が補足する。
「『中学聖日記』『アンナチュラル』『MIU404』などヒット連発の名コンビ、新井順子プロデューサーと塚原あゆ子監督の作品だから、面白くならないはずがない。登場人物が週替わりでナレーションを担当するというのも斬新!」
業界内評価が高いのが、視覚に障害を持つ女性(弱視)とヤンキーの恋という難しいテーマに挑んだ『恋です!~ヤンキー君と白杖(はくじょう)ガール~』(日本テレビ系)だ。
「障害を持つ人が働くということや、健常者家族とのかかわりなどを安易に単純化せず、わかりやすく描いていて好感がもてます。その一方で恋愛ドラマや、コメディの要素も入っていて、多彩で飽きさせない」(前出・大山氏)
貢献度大なのが主演の杉咲花(24)だ。
「子役時代から定評のある演技力、元朝ドラヒロインの好感度が炸裂しています」(ドラマウォッチャー・北川昌弘氏)
共演するファーストサマーウイカ(31)や生見愛瑠(ぬくみめる)(19)も「雰囲気がある。女優として化けそう」(制作会社スタッフ)と高評価。エポックメイキングな作品となるかもしれない。



『FRIDAY』2021年11月26日号より
撮影:榎原優美(吉高)、近藤裕介(杉咲、小栗、濱田)