中国で「EVシェアリングカーの墓場」急増中のヤバイ現実 | FRIDAYデジタル

中国で「EVシェアリングカーの墓場」急増中のヤバイ現実

EV大国・中国の「光と影」 最新レポート① 衝撃!郊外の農村エリアを中心に 2000台以上が雨ざらしで放置されているところも

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残された大量のシェアリングカー。政府主導のもとアプリも作られ、最盛期は50万人以上が登録していたが…
残された大量のシェアリングカー。政府主導のもとアプリも作られ、最盛期は50万人以上が登録していたが…

「世界で最も競争力の高い自動車メーカーを持つのは中国だ」

今年9月に開かれた『世界新エネルギー車会議』にて『テスラ』CEOのイーロン・マスク氏(50)が賞賛したように、いまEV市場は中国を中心に回っている。実際に’21年上半期、世界で販売された260万台のうち、中国車は110万台に上る。

一方で、郊外の農村部では、ある社会問題が浮上している。写真を見てほしい。これは中国東部の浙江(せっこう)省杭州市に放棄された大量のEVシェアリングカーだ。中国では、このような『EVの墓場』が次々に出現しており、大規模なところでは2000台以上が放置されている。

長年、中国の自動車産業を取材する米経済紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』のトレファー・モス記者が明かす。

「中国政府は’15年に打ち出した『中国製造2025』計画の中で、’25年までにEVを含む新エネルギー車の生産を強化する方針を発表しました。企業の初期投資を支援すべく総額1兆5000億円という巨額の補助金を投下。なかでも国民にEVを運転する機会を提供するため、カーシェア事業を厚くサポートし、500社を超えるベンチャー企業が殺到しました。

しかし、補助金の支給が’20年に終了すると、過剰に集まったベンチャー企業が軒並み倒産。その過程で大量のシェアリングカーだけが残されてしまったのです」

急速な成長の弊害として社会問題化している郊外への大量放置。現地でカスタムパーツの販売を行う自動車メーカーの幹部は、カーシェア事業の失敗には、別の要因もあると語る。

「’19年からタクシーアプリが本格普及したことも、EVのカーシェアが広がらなかった原因です。もともとEVは長距離移動には適しておらず、カーシェアには向いていなかった。そこに実用的なタクシーアプリが登場したことで一気に落ち目になってしまったようです。

また中古車としても買い手がつかない。中国では日進月歩で開発が進むため、1〜2年も経てば、すぐに時代遅れな性能となってしまう。叩き売りで捌(さば)きたくても、買い手がつかないのが現状です」

新商品が次々と生み出される裏で、『EVの墓場』はいまも増え続けている。

廃棄されたEVを狙い、窃盗も頻発。とくにエンジン周りの部品は高額転売できるため、被害が後を絶たないという
廃棄されたEVを狙い、窃盗も頻発。とくにエンジン周りの部品は高額転売できるため、被害が後を絶たないという

『FRIDAY』2021年11月26日号より

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