千原せいじ「誹謗中傷とコンプラだらけの時代に僕がやりたいこと」 | FRIDAYデジタル

千原せいじ「誹謗中傷とコンプラだらけの時代に僕がやりたいこと」

妻の浮気を問い詰めるシーンに注目! マレーシア人監督の最新作に出演したワケとは――

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本誌カメラマンの「思い切りの笑顔をお願いします」というリクエストに、快くご覧の表情で応じてくれた
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「監督とはずいぶん前に友達の紹介で一緒にメシを食いに行ったことがあって、その時に映画に出ることを約束していたんですよ。あらためて事務所を通じてオファーがあったので出演することになった。事前にどういう作品かは聞いていない。ギャラも関係ないです。約束ですから。マネジャーには『(出演しないと)俺が嘘つきになるやろ』と言いました」

そう語るのは、お笑い芸人・千原せいじ(51)である。千原は11月19日に公開される映画『COME&GO カム・アンド・ゴー』に出演する。マレーシア生まれで大阪大学を卒業し、世界を舞台に活動するリム・カーワイ監督の最新作だ。

作品は大阪・キタで暮らす人々を描いた群像劇である。せいじは殺人事件を追う刑事役。リム監督のスタイルは独特で、ストーリーと設定を決め、あとは現場で役者が即興で演じる。台本もない中で、せいじはテイクを重ねるたびに違ったセリフ、演技で共演者を驚かせたという。

「同じことはできないんで、完全なアドリブです。事前に考えたことを当てはめるほうが具合悪いんですよ。ボクは役者じゃないし、器用じゃないので気持ちを作って演じるとかはわかんないです。周りの空気を感じて、監督がこんなん撮りたいんやろなと思ってやるだけですよ」

浮気について語る

作中に印象的なシーンがある。せいじ演じる刑事が、外国人男性と浮気していた妻を問い詰める場面だ。せいじは’19年に半年間で2回も浮気を報じられている。映画では逆の立場だったわけだが……。

「撮影は、(浮気報道の)全然前なんです。記事が出た時は、映画でそんなシーンを撮ったことも忘れてました。話題になってくれれば良いですね。『誰が浮気を詰めとんねん』『お前は詰められる側やないかい』って書いといてください(笑)」

では、実際に自分の妻が浮気をしていたら、どうするだろうか?

「だいたい気づかへんでしょ、男なんて。でも、気づいたら別れるやろな。だって普通はバレんように浮気してるでしょ。それなのにボクが気がつくっていうことは、別れたいからわざとやってる。ということで、相手の気持ちを汲(く)み取って別れると思います」

本作は世界9ヵ国の俳優が出演し、外国人と日本人の人間模様がリアルに描かれている。単純な娯楽映画ではない。主要キャストである彼に作品の見どころを聞いたが、これは愚問だった。

「日本の整理整頓された映画とは違うかな。日本の作品は説明が多いでしょ。誰に見せてんねん? この長ゼリフいる? みたいな。ボクはそう思うことが多いんですよ。日本人はエンターテイメントを楽しむことがすごく苦手じゃないですか。監督のメッセージはこうなんだとかどうでもいいんですよ。みんな食うもんも違うし、親の教育もちゃうし、宗教が違うヤツもおる。好きに観たらええわ」

せいじは今夏クールのドラマ『ハコヅメ』(日本テレビ系)にもレギュラー出演し、味のある副署長役を好演していた。そもそもお笑い芸人がドラマや映画に出ることをどう感じているのだろうか。

「ボクはコントをずっとやってたんで、演じることはそんなに苦ではありません。プロがキャスティングしてくれて、必要だから呼ばれていると思っています。笑いとは関係ない演技でも、映像の場合はまったく気にならないです。お笑いの舞台やと『今日、ウケたな〜』ってなるんですけど、映画やドラマだと終わるとスタッフさんが『良かった〜』って言うてくれるだけで、ボクは『ホンマかい?』って思うだけ。撮ってしもうたら、もうどうしようもないんで。まあ、演技なのか素なのか、ようわからん」

念のため、今後、役者として演じたい役も聞いてみた。

「別に何もない。子供が小さかった時は『仮面ライダー』に出たかったですけど、テレビ朝日さんに丁重にお断りされました。出たいって方が多いんですって」

芸人、役者だけでなく、現在はユーチューバーとしても活動している。公式チャンネル『せいじんトコ』の登録者数は約2.7万人。不動産投資のために格安物件を購入したり、趣味のバイクを語ったり、ピザ窯を作ったりと内容は幅広い。

「データ上、ボクのYouTubeを見てる人は年齢層高いんですって。中学生とか全然見てなくて、90パーセントがオッサン。じゃあ、自分のやりたいことやったほうがいいやんか、という感じですね。(手ごたえは?)ないですよ、そんなの。だーれも見てない。俳優の山田裕貴君にゲストで来てもらった時だけ、70万回再生。それ以外は全然ですよ」

それでもベテラン芸人としてYouTubeの可能性をどう考えているのか。

「もうオワコンですよ。一時のようにYouTubeで爆発的に稼ぐなんてことはできないでしょ。もっと短い『TikTok』に移っていくやろなと思ってます。ずっと前からやってる人は別ですけど、芸人で最近始めた人は趣味でしょう。テレビよりも自由とは言うけど、コンプライアンスは一緒。むしろYouTubeの方がうるさいですよ。テレビ局にクレームを言うのはしんどいですが、YouTubeを見て書き込みするのはすごい簡単です。だから誹謗中傷もえげつない。

ボクのユーチューブに期待してるヤツはおらんやろうから、好きなことをやるだけ。世間に向けて何か発信するなんて考えたことない。仲間が増えて友達が楽しんでくれたら、それでええわ」

ちなみに現在のテレビ界を席巻している『第七世代』の芸人をどう見ているのか。やはりライバル視しているのか。

「みんな、滅茶苦茶おもろいわ。ボクは小学校2〜3年生までウチにビデオはなかった気がします。だから、何度も番組を見ることが不可能だったし、ラジカセで音だけ録音してそれを聞いてました。それが今は動画サイトでプロの芸を何回も見られる。そういう中で育ってきた彼らやから、それは面白いですって。テレビ局が『金払うから出てくれ』って仕事がある芸人はみんな凄い。誰が一番面白いかって聞かれても、直木賞作家で誰が一番凄いのか言うてるのと同じですよ」

現在51歳。最後に今後の展望についてこう語った。

「別に流されるままです。何も考えてないです。その場その場でやってますけど、それで30年以上やってきたのに、急に今後を考え出したらそっちのほうがおかしくなるでしょ。せっかく好きな仕事ができているんやから、わざわざ嫌な仕事を新しく始める必要はないじゃないですか?」

どこまでも自然体。だからこそ、スクリーンでも不思議な存在感を放つ――。

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本誌未掲載カット 千原せいじ マレーシア人監督の映画に出演 スペシャルインタビュー
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『FRIDAY』2021年12月3日号より

  • PHOTO小松寛之

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