夜逃げ専門の引っ越し業者が明かす「夜逃げ、驚きの理由」 | FRIDAYデジタル

夜逃げ専門の引っ越し業者が明かす「夜逃げ、驚きの理由」

成功率100% 最短15分で完了! 55年間の夫のモラハラ、ストーカーに追われた女性…… 実は8割が“身内”のトラブル

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交際相手からDVを受けていた20代女性の夜逃げ現場。相談を受けた当日に夜逃げを決行することもある

「夜逃げ=借金というイメージが強いですが、依頼者の8割はモラハラなど家庭内トラブルの被害者です。当社の強みは職員のほとんどが、『かつてウチに夜逃げを依頼してきた人たち』ということ。“当事者”だったからこそ、依頼者の気持ちがわかり、夜逃げで何が難しいかを熟知している。成功率は100%、最短15分で夜逃げを完了させるケースもあります」

そう語るのは夜逃げ専門引っ越し業者『TSC』代表のS氏。彼女も30代のとき、交際相手から暴力を受け、夜逃げした経験から同社を立ち上げたという。年間100件以上、モラハラ、DV、ストーカーなどのトラブルを抱える依頼者を“悲惨な人生”から逃しているスゴ腕だ。

「夜逃げには3つのルールがあります。①逃げたいというゆるぎない意志があること ②前もって警察署に夜逃げすることを伝えておくこと ③逃げる旨を記した置き手紙をすること。②と③は行方不明と勘違いされないためです」

今回はS氏が近年、手掛けた夜逃げの中で、最も衝撃的だったというケースを3つ紹介する。

いつか息子が夫を殺してしまう

依頼者は40代くらいの主婦でした。息子さんが幼少期から、ご主人に日常的に暴力を振るわれていました。奥さん自身は何もされたことはないけど、見て見ぬフリをしていた。ただ、息子さんは暴力にじっと耐えながら、「大人になったらやり返す」と決めていたそうです。高校生になるころには格闘技を始め、復讐の準備をしていた。「息子を人殺しにしてはいけない」と、奥さんは夜逃げを決めたそうです。ご主人が仕事で日中、家を空けたスキに一気に、トラックに家財を運び出し、母子で逃げました。

元カレが変態ストーカーに

依頼者の20代女性は元カレからの執拗な嫌がらせに悩んでいました。ポストに別の女性の下着が入っていたり、ドアに精液がついていたことも。最低限の荷物だけを持って、相談が来たその日のうちに決行したんですが、元カレに勘づかれてしまった。逃走用のトラックを確認すると、発信機が付いていたんです。発信機に気づいていないフリをして、高速のサービスエリアで鹿児島行きの長距離トラックに付けたら、元カレから『いま、三重にいる?』と連絡が来ました。なんとか元カレを出し抜き、クライアントは新天地で生活を始めました。

55年間のモラハラ生活

「75歳の母を父から解放してあげたい」と、泣きつかれたこともありました。クライアントは娘さんでした。彼女の母親は20歳のときにお見合い結婚したんですが、嫁ぎ先が家父長主義の家庭で、父の靴下も履(は)かせてあげるなど、召し使いのような人生を送っていた。ある日、娘さんは、母親が鏡の前で「この人は誰?」と言ったのを見て、オカシイと気づいた。家事で鏡を見る暇さえなく、化粧も浮気を疑われるからできず、自分の顔を忘れていたんです。家では「おい、お前」としか呼ばれず、自分の名前すら覚えていなかった。引っ越し当日も「ご飯作らないと」などと言っていたので、娘さんと母親を抱え込むようにして、身一つで新居に連れ出しました。

夜逃げの依頼件数はここ10年で増え続けているという。S氏はその原因をこう分析する。

「昔のような隣人との助け合い精神が希薄化したのに加え、ネットの普及や格差拡大から精神を病む人が増えました。鬱屈した感情が家庭という小さな集団のなかで発散されているのです。私たちはそういった悩みを抱える人たちを救う“最後のライフライン”として機能していかなければなりません」

悩める依頼者を救出すべく、今日も夜逃げ屋は人知れず奔走している――。

『TSC』代表のS氏。自身も交際相手から暴力を受け、夜逃げした経験を持つ。依頼者の雇用、アフターケアも行う
依頼者が実際に書いた置き手紙。夫のモラハラ、子供への虐待から夜逃げを決意。1歳半の子供と家を出た
トラックへ運びこまれる依頼者の荷物。夜逃げの際は知人を装い、「家具を譲り受けた」と隣人に伝えるという

『FRIDAY』2021年12月3日号より

  • PHOTOTSC提供 濱﨑慎治(2枚目)

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