岸田総理の掲げる「憲法改正」は結局いつものやるやる詐欺で終わる | FRIDAYデジタル

岸田総理の掲げる「憲法改正」は結局いつものやるやる詐欺で終わる

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拉致問題解決に向けての国民大集会で決意を語った岸田首相だが…(AFLO)

岸田文雄首相が、歴代政権が積み残した「難問」の突破に意欲を見せている。自民党の党是である憲法改正や北朝鮮による日本人拉致問題は、史上最長となった安倍晋三政権でも解決できなかった課題だ。自身の任期中にやり遂げると言い切る「岸田ビジョン」は本当に描けているのだろうか。

「私の手で必ず」というけれど…

「拉致問題は岸田内閣の最重要課題だ。私の手で必ず解決しなければならないと強く考えている」

岸田首相は11月13日、拉致問題の解決を求める集会に出席し、拉致被害者の横田めぐみさん=失踪当時13歳=の母、早紀江さんらを前にこう言い切った。

約1カ月前の10月18日には、拉致被害者家族から「数え切れないほど首相が代わったが、まったく動きがみられなかった。いつまでに何をするのかわかるようにしてほしい」と要望され、これに「回答」した形だ。

「内閣の最重要課題」「私の手で解決」という言葉は、かねて拉致問題の解決に向けて尽力してきた安倍元首相も用いていたが、外相時代を除いて拉致問題とは関わりが薄かった岸田氏がここまで言い切ったことに、期待感を膨らませる関係者は少なくない。

興味深いのは、岸田首相が内閣情報官や国家安全保障局長を務めた北村滋氏を内閣の重要ポストで起用しなかったことだ。安倍、菅両政権で「情報のプロ」として重用された北村氏は北朝鮮問題に精通し、中国や韓国などのカウンターパートとも協議を重ねてきたことで知られる。安倍氏らは岸田内閣での官房副長官(事務担当)就任も期待したが、首相が選んだのは栗生俊一・元警察庁長官だった。

全国紙政治部記者が解説する。

「首相はこれまでの方法では拉致問題は動かず、発想を変えないと打開できないと考えている。栗生氏は組織犯罪対策や刑事畑が主で、北村氏のような動きを期待しての起用ではない。つまり、『自分で外交をやるつもり』ということ。外相に、意思疎通がしやすい岸田派ナンバー2の林芳正氏を抜擢したのも、そういう理由があったのではないか」

岸田首相は「トップ同士の関係を構築することが極めて重要だ」と話しており、金正恩総書記との日朝首脳会談の早期実現を目指している。近く訪米し、米国のバイデン大統領との会談でも、こうした意向を伝える予定だ。

ただ、外務省内には不安も存在している。それは、2014年の「ストックホルム合意」の轍を踏むことにならないかということだ。

安倍政権時代、北朝鮮は「特別調査委員会」を設置して日本人行方不明者の全面調査を行うと約束した。だが、何ら進展が見られないまま調査中止を発表。その間も北朝鮮は核・弾道ミサイル開発を続けており、「厳しい国際世論をかわすための時間稼ぎに使われただけだった」(政府関係者)との評価もなされている。

北朝鮮が「解決済み」と繰り返す拉致問題で、不用意に首相が「電撃訪朝」に踏み切れば、再び時間的猶予を北朝鮮に与えるだけになる…との懸念は尽きない。ある外務省幹部は「北朝鮮からの『特定失踪者が見つかった』というような話に首相が食いつき、問題解決にいたらないような合意は避けなければならない」と語る。

岸田氏が「言い切る」のは、党是である憲法改正も同じだ。3年間の自民党総裁任期中に憲法改正を目指すという首相は、自著『岸田ビジョン 分断から協調へ』(講談社)の中で、「国民の判断を仰ぐときがきているのではないでしょうか」と強い意欲を示している。先の総選挙の結果、衆院の改憲勢力は国会発議に必要な3分の2を超える過去最大の議席数を持ち、「今やらない理由はない」(自民党中堅)との期待は高まる。

11月1日の記者会見では「党是である改憲に向け、精力的に取り組む」と述べ、自民党の憲法改正推進本部を「実現本部」に改称し、衆参の憲法審査会での改憲議論を前に進めていきたいとする岸田首相。ただ、政権内には「来年夏の参院選で勝利し、本格的に安定するまでは憲法改正推進は難しい。消費税など大きな課題には在任中は触りたくないのが本音」との声が漏れているのは事実だ。

総選挙で躍進した日本維新の会の吉村洋文副代表は「党是で改憲、改憲と言っているが、『やるやる詐欺』だろう」とプレッシャーをかけ、松井一郎代表は来夏の参院選と改憲の国民投票を同日実施すべきと提案した。だが、岸田氏が望むように、全会一致が原則となっている憲法審査会を「主戦場」とすれば、一部野党の慎重姿勢で進展は見られないというのが大方の見方だ。

首相は11月19日、内閣記者会のインタビューで自衛隊の根拠規定明記など4項目の自民党改憲案について「一部が国会の議論で進めば、4項目同時(改正)にこだわるものではない」と説明した。自民党案に慎重な公明党へ配慮した「変化球」と受け止められているが、自民党を支持してきた保守層からは反発もあがる。

「首相は、自衛隊の明記だけという『なんちゃって憲法改正』で終わらせようとしているのではないか。たしかに歴史には名が残るだろうが、それでは歴代自民党総裁の努力がほとんど無駄になることにもなる」(自民党ベテラン議員)

分断から協調へと掲げる岸田氏はどのようにバランスをとっていくのか。来夏の参院選で自民党が「憲法改正」を掲げられなければ、またしても改憲勢力である維新の躍進を招く…との懸念が、党内で高まっていることに、聡明な首相は気づいていないはずはないだろうが…。

  • 取材・文小倉健一

    ITOMOS研究所所長

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