被害総額650億円…「仮想通貨男」にダマされる人が続出したワケ | FRIDAYデジタル

被害総額650億円…「仮想通貨男」にダマされる人が続出したワケ

玉井暁容疑者 金融商品取引法違反容疑で逮捕 「月利20%」を謳って出資者を募り、集めに集めたカネは650億円!

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『マルチのカリスマ』と称される玉井容疑者。商材を変え、会社を変え、10年ほど前からマルチ商法に手を染めていたとされる 撮影:蓮尾真司
『マルチのカリスマ』と称される玉井容疑者。商材を変え、会社を変え、10年ほど前からマルチ商法に手を染めていたとされる 撮影:蓮尾真司

「報酬は毎日出るから元本割れしないと言われて120万円を投資しました。額はそれぞれですが、大学の友人たちの間でも騙(だま)された人はたくさんいます」(被害に遭った都内の大学生)

11月9日、金融商品取引法違反の疑いで、警視庁は投資会社『ジュビリーグループ』役員の玉井暁(あきら)容疑者(53)ら男女7人を逮捕した。玉井容疑者らにはほかにも、’19年4月から’20年11月までの間に、仮想通貨を不当に集金した疑いが持たれており、被害総額はなんと650億円にも上る。

「最新AIを使って仮想通貨を運用することで、高い利ザヤが生まれると謳(うた)い、投資を呼びかけました。最高で月利20%という超高額配当に惹(ひ)かれて『ジュビリーエース』販売サイトには登録者が殺到。その数は10万件以上と言われています」(全国紙社会部記者)

月利20%とはどう見ても胡散(うさん)臭いが、なぜ、これだけ多くの人が騙されてしまったのか。10回以上セミナーに参加したという20代女性が明かす。

「最初は私も怪しいと思っていました。ただ、やってみると簡単にお金が増えた。初めて投資したのは’19年12月で、当時は一口10万円という手軽さもありました。事態が変わったのは’20年7月。さらに利率のいい投資案件があると持ちかけられ、そこに大口投資をしないかと誘われました。しっかりと成功体験を刷(す)り込まれた後だったので、簡単に信用してしまった。

でも8月末には急に現金化ができなくなったんです。焦った時にはもうすでに手遅れで、最終的には370万円を失ってしまいました。母親も紹介して、約400万円を投資してもらっていた。家族揃(そろ)って、途方に暮れています」

今回の事件の特徴は、社会人経験のない若者の被害者が多いことだ。仮想通貨やAIといった今流行りのキーワードに加え、”独自の運用システム”という触れこみに若者が飛びついた。救済団体の『詐欺被害者駆け込み寺』代表・西条和秀氏が解説する。

「およそ600件以上の相談連絡が来ていますが、他の詐欺事件に比べ、学生の比率がとても高い。投資の知識がない若者のほうが、騙すのが簡単だと考えたのでしょう。学生ローンでカネを借り、100万円を超える借金を背負ってしまった被害者も少なくありません」

悪辣(あくらつ)な手法で大金をせしめた玉井容疑者。今回はその悪事が露見したわけだが、実は罪に問われるのは初めてではない。’13年11月にも所得税法違反で在宅起訴され、執行猶予付きながら実刑判決を受けている。当時の取引先の関係者が明かす。

「『モナヴィージャパン』というアサイージュースを販売するネットワークビジネスを手掛けて大成功していました。ド派手な金ピカのスーツを着て、流暢(りゅうちょう)に成功体験を語る。トップセールスとして事業の説明会によく登壇していましたが、『この人の言う通りなら儲かるかも』と思わせる演説力があった。言うなれば”マルチのカリスマ”。当時から玉井さんを慕う『玉井グループ』なるものがあって、年収は、数千万はあったと思います」

近年、仮想通貨関連の詐欺事件は頻発している。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、今回の逮捕が事件の全容解明には繋がらないと言う。

「玉井容疑者の罪状は『金融商品取引法違反』ですが、これはあくまでも摘発するための入り口であり、本丸は詐欺での立件だと思います。ただ近年の詐欺グループは構造が巧妙化しており、玉井容疑者も本当のトップではない可能性が高い。丁寧にカネの流れを解明していくこと。時間はかかりますが、仮想通貨犯罪を根絶するには、それしかありません」

真の解決への道のりは、まだまだ遠い。

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「FRIDAY」2021年12月3日号より

  • 撮影蓮尾真司(送検写真)

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